新しいカメラが多方面からリリースされる
本日16日より千葉市の幕張メッセでInter BEE 2011が開幕した。昨年同様4~8ホールの5ホール分の開催となった。いろいろあった2011年だが、抜けるような青空で始まった初日は何かを予感させる日となった。
デジタル化とファイルベースワークフローが一般的になるにつれ、必ずしもテレビフォーマットにとらわれない制作環境が実現した。これにより、放送フォーマットに依存しない自由なシステムを運用することが可能になり、カメラを始めとした制作機材は様々なものが製品化されている。それは、映画クルーが扱いやすいシネライクなHDカメラであったり、ビデオクルーが扱いやすいデジタルシネマカメラであったり、スチールのカメラマンが扱いやすいカメラであったりするわけだが、放送フォーマットに準拠したハイスピードカメラや超高感度カメラなどの特殊なカメラも製品化が進み、従来ビデオカメラを製造販売していなかったメーカも参入している。
今年のInterBEEは、3Dや大判センサーを全面に打ち出していた昨年や一昨年と異なり、より充実した制作環境と映像に関わる誰もがテレビや映画の制作に参加できる土壌が本格的に整った年といえそうである。従来とても個人では購入できなかったシステムも高級乗用車を購入する程度で揃えることも不可能ではなくなり、才能あるクリエーターが育つ可能性も大きくなった。InterBEE初日はこうした視点から新領域ともいうべきカメラを中心にレポートしよう。
ある意味REDが先鞭をつけた新領域のカメラの世界は、キヤノンのEOSムービーやソニー、パナソニックなどのカメラメーカーがその後を引き継いでいる格好となっている。先般そのキヤノンから集大成ともいえるC300が発表となった。InterBEE前日には一般紙にも見開き広告を打つなど力の入れようが窺い知れる。
今回の目玉とも言えるC300。CINEMA EOSは業界に何をもたらすのか?
また、それ以前にデジタル一眼のフラッグシップモデルEOS 1Dxも発表になっていたこともあり、ブース内は午前中からごった返していた。
アストロデザインは、マルチスキャンモニターなどの測定に使うジェネレーターや各種ビデオ用の測定器を開発していたが、4kのレコーダーやカメラも開発。今年は発売当初あずき色だった4kカメラがブラックになり改良版が出展されたほか、マイクロフォーサーズの4kカメラを開発。従来のカメラに比べ大幅に小型化された。
医療など産業用のカメラを開発していたフローベルも4kカメラやEM-CCDセンサーを搭載した超高感度カメラなどを出展。超高感度カメラは、福島原発事故の際に活躍。報道やニュースなどの番組制作で活躍しているという。今年は更に高感度かつ小型なモデルを参考出品した。
ARRI ALEXAは発表当初4モデルが予定されており、Plusはその一つだが、ヘッド部分が分離可能なALEXA Mが出展された。3Dリグに搭載するなど多様化する制作現場に柔軟に対応する姿は従来のフィルムカメラとは一味違った世界だが、見事に適応しているようだ。
HDの醍醐味の一つにスポーツ中継があるが、その際欠かせないのがスローモーション撮影だ。トムソンのLDK8300は中継用のカメラとして光ファイバーによるベースステーションとの接続や競技場の照明によるフリッカー除去、3倍速までの撮影に対応可能などスポーツイベント収録に必要な機能を搭載している。