景気低迷が続く中、放送局は広告収入が減り、映画産業も3Dで巻き返しを図ったものの完全復活には至っていない。制作予算は削られてはいるものの、ネットを始めとしたメディアの多様化によりコンテンツは不足気味だ。昨日とは打って変わって雨模様になってしまった最終日18日はこうした現状を踏まえ、アフォーダブルな機材を中心にInterBEE会場で目についた製品をピックアップして締めくくりとしてみたいと思う。
一口にアフォーダブルといっても機材そのものの価格が安くなったということだけでなく、ワークフローの短縮や制作に関わるクルーの効率化など様々だ。撮影から編集、送出までデジタル化が進んだ現在、コンピュターやIT以上にその進歩は著しい。すでに、撮影のかなりの部分は小型ビデオカメラで行われるようになり、レンズ交換が可能なカメラもここ1,2年で各社から発売されている。デジタルシネマにも対応できるカメラもソニー、パナソニック、そして今年はキヤノンから発売になり、こうしたアフォーダブルな撮影にマッチした交換レンズとしてPLマウントのレンズも発表された。
編集システムもすでに個人で購入できる価格になり、オンライン編集のために時間貸しのポストプロダクションを利用することは特別なことになりつつある。ポストプロダクションの業務はMA以外に無くなる方向にあり、映像制作全般を扱うかMAに特化するかの選択を迫られている。編集とMAの距離は短くなりAvidなどは相互の連携を強めているし、グラスバレーのEDIUSなどもシステムの一端末的な扱いだ。そんな状況を踏まえ会場を見渡してみた。
アイコマース
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170°の画角を撮影できる超小型ビデオカメラDRIFT HD。4万円前後の価格はGoPro HD同様トイカメラともいえる価格だが、今まで撮影出来なかったスポーツシーンや仕込みカメラとしては破格といえる。
ソニー
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ソニー3DショルダーカムコーダーPMW-TD300。3D撮影はカメラやリグなどが必要だが、PMW-TD300は通常のショルダーカメラと同等の取り回しが可能。めんどうな輻輳角調節などもオートで撮影できる。200万円台後半の価格帯で発売されている。
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ソニーPMW-F3用PLマウントレンズ。SCL-Z18×140が約100万円、SCL-P11×15が66万ほどで発売される
キヤノン
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キヤノンが参考出展したCINEMA EOS SYSTEM用EFマウントレンズ。焦点距離や明るさなども不明だが価格は既に発売を発表したレンズより低価格だという。PLマウントレンズは要望が多ければ発売を検討するそうである。
北海道日興通信
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北海道日興通信のバーチャルスタジオシステム。セットを組まなくてもCGでスタジを再現できるほか、ARを取り入れ手に持ったマーカーに別のオブジェクトを載せることができる。大掛かりなスタジオセットがなくてもスタジを撮影が可能だ。
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Atomos
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Atomos Samuraiハイビジョンレコーダー。HD-SDI入力でApple ProResコーデックの収録が可能。価格は15万円ほど。
ブラックマジックデザイン
2,5インチのHDまたはSSDパックに非圧縮HD収録ができるブラックマジックデザインのディスクレコーダーHyperDeck Studio。一般に非圧縮のレコーダーは高価だがHyperDeck Studioは10万円以下。コストパフォーマンスが高いのブラックマジックデザインの特徴とも言える。なお、11月16日のソフトウェアアップデートにより、非圧縮またはDNxHDフォーマットを選択できるようになった。
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