計測技研ブースレポート

世界最高性能の非圧縮レコーダーのメーカーとして知名度を高めつつある同社だが、今回は8K対応のレコーダーを出展している。制作者にとって8Kはまだ現実的ではない領域だが、NHKが8Kでの制作を試験的とはいえ行なっており、8Kに対応した機材を開発する上で8Kレコーダーの意義は大きい。元々同社は電源関連の測定機器などのメーカーとして歴史のある会社で、こうしたレコーダーの開発も測定器としての商品化がそのルーツにある。とはいえ、HDを超える2K/4Kの制作環境が整う過程においてレコーダーの需要が高まり制作用としての利用を意識したUDR-D100のような製品が登場している。ちなみに8Kの先導役として積極的な対応が期待されるNHKだが今回のNABには出展しておらず、同社だけでなく8Kを推進するメーカーは肩透かしを食った格好になっている。

さて、そんなわけで8Kはまだ信号の規格なども正式に決まっておらず、映像の伝送やストレージではSDIを複数束ねたHDや4Kを基本にした方法をとっているものが多い。見方を変えれば8Kレコーダーは4Kを同時に4ch記録再生できる能力をもっているということになるわけだ。デジタルサイネージやイベント映像などで変則的なアスペクト比としてパノラマや4Kでの3Dといった分野で利用できる要素をもっているので、レコーダーに関して8Kは意外に身近な存在になりうる。

8Kレコーダーの新製品としてUDR-40SとUDR-N50が出展されたが、UDR-40Sは、複数のHDMIインターフェースを装備した非圧縮ディスクレコーダーとなっており、4ch入出力と8chモデルの2機種が用意されている(オプションで10Gb Ethernetに拡張可能)。UDR-N50は、ハーフラックサイズのレコーダーで、コンパネを兼ねた正面の大きなLCDモニターが特徴的な製品だ。インターフェースとして3G SDIの入出力を4つずつと10Gb Ethernetを装備している。対応カメラがパナソニックのVARICAMやARRI ALEXAおよびD-21(T-Link 対応)となっており、収録はUDR-N50でそれ以外のインハウスでの作業などではUDR-40Sシリーズといった使い分けが想定できる。

なお、UDRシリーズのWi-Fi経由制御Androidアプリケーションや各種再生制御が行えるiOSアプリケーション「iUDR」が無償提供されている。また、UDR-N50用ネットワークファイルシステムソフトウェア「UDR-VFS」の試作品もあり、UDRの記録メディアをあたかもネットワークドライブ上のドライブとしてWindowsマシンからの参照やアクセスを可能としている。

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8Kレコーダーの新製品UDR-40S。4ch入出力と8chモデルの2機種が用意されている(オプションで10Gb Ethernetに拡張可能)

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UDR-N50はパナソニックのVARICAMやARRI ALEXAおよび D-21のT-Linkに対応