CEATEC 2012の3日目の来場者数は35,625名と発表された。天気は晴れということもあって、2日目より1割以上も来場者は増えていた。今回はCEATECの目玉の展示の1つであるスマートフォンやタブレット端末について紹介しよう。
研究開発段階の技術が発表されたドコモブースに注目
NTTドコモ
NTTドコモブースの正面ではスマートフォンと生活家電をつなげたステージデモが行われていた
NTTドコモのブースは、3つの研究開発段階の技術が公開されていて人を集めていた。中でももっとも人を集めていたのがハンズフリービデオフォンだ。メガネをかけるだけであたかも正面から撮影をしているようにテレビ電話が可能というデバイスだ。従来のテレビ電話は端末を手で持って自分を映し続けなければいけなく、気を抜くと画角がずれてしまって顔が映らなくなるという問題があった。
デモでも使われているメガネ型ウェアラブル端末(プロトタイプ)を装着した状態
左の5つの画像は各超広角カメラから入力された映像の様子。右が各超広角カメラをCGベースのアバターにリアルタイムに合成した状態
そこで手に端末を持たずになんとか自分撮りができないかということで生まれたのがこのハンズフリービデオフォンだ。メガネをかけて自分撮りをするなんて普通に考えたら無理なのだが、近距離から遠景までピントが合う魚眼レンズを複数搭載して、その画像をCGのアバターに貼り付けることによって相手には目の前から撮影しているかのような自分のバストアップを送り続けることができるという仕組みだ。3DCGの人体モデルを使っているといっても、目の周囲は実際のカメラ画像を直接転送するので細かい表情を伝えることができることができる。また、手や頭の動きはカメラで撮った映像やセンサーに信号から推定して、装着者本人の身体モデルに反映させている。端末後部にもカメラが搭載されていて、撮影した背景と上半身の映像を合成するようになっている。
ウェアラブル端末には背面にもカメラを搭載。背景が夕日になれば相手に送信される自分の画像の背景も夕日になる
現在の問題は、顔のほとんど全部撮れているものの720pのハイビジョンのカメラを使っていても180度の魚眼レンズになると画素が足りないということだ。特に周辺部はまったく画素が足りなく、デモでは目の周りの部分だけをくりぬいて使われている。口の部分も下のカメラで撮れているが、画素が足りないので、現在ではCGをはめ込んで音声から口パクを合わせている。将来的にはCGベースのアバターで送るのではなくて、あくまでもテレビ電話としてリアルタイムの画像を撮ったものをそのまま相手に送れればとのことだ。また、メガネ型端末に搭載されているさまざまなセンサーを生かして、なもないところでもパソコン操作などが行えるバーチャルオフィス、健康管理のバイタルモニタリング、ARショッピングなどに使えるように研究開発を進めていく予定と紹介していた。
「Grip UI」は握る場所や握る順番、握る強さの3つの組み合わせにより、オリジナルの操作が可能というものだ
「i beam」で操作している様子。視線が緑のマーカーとして表示されている
このほかの技術では、視線を動かすだけでブラウザのスクロールやブックリーダーのページ送りなどの操作ができる「i beam」を紹介していた。ブックリーダーであれば左下に視線を向けるとページをめるくことができ、右下に視線を向けるとページを戻すことができるといった具合だ。「Grip UI」は握るという操作でパターンを登録することが可能な技術で、片手だけでパターンロック解除や特定のソフトの起動などがスマートに行えるようになる。
「i beam」や「Grip UI」の体験ブースには電車のつり革から電車の座席まで再現されていた
面白かったのは「i beam」や「Grip UI」の体験コーナーには電車のつり革が用意されていたことだ。両技術とも電車の中という手がふさがった環境の中でいかにスマートフォンやタブレット端末を快適に操作するか? ということをコンセプトにおいた技術というのがよくわかる。おそらく近い将来、電車のつり革につかまっている環境では海外製の端末はNTTドコモの端末に太刀打ちができなくなることをことをちょっと予感させてくれるデモだった。
NTTドコモブースの入り口では、10月11日12時から行われる「新商品・新サービス発表会」で発表する2012冬モデルの一部機種の先行展示を行っていた。その1つが尾田栄一郎による漫画「ONE PIECE」とコラボレーションしたスマートフォン「N-02E ONE PIECE」だ。
ディズニー・モバイル・オン・NTTドコモの「N-03E」
アークフォルムの採用と8.7mmのスリムボディ、4.3インチのディスプレイ、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信などを搭載した「XPERIA V SO-01E」
NTTドコモの待望の新機種といえばGALAXY NoteIIの「SC-02E」だ。大画面の5.5インチ有機EL液晶ディスプレイとクワッドコアCPUを搭載。HD SUPER AMOLED PlusでWebや動画などさまざまなコンテンツを高精細に楽しめるのが特徴だ
KDDI
KDDIのブース。ブース内の中央を広く使ってSmart TV Boxが展示されていた
KDDIブースでもっとも展示に力を入れていたのは、Android 4.0にテレビチューナーを内蔵したセットトップボックス「Smart TV Box」だ。今まではテレビはテレビ、インターネットはインターネットと別々に使っている人が多かった。そこでテレビ放送とネットの両方楽しめるというのがSmart TV Boxの特徴だ。地デジやBS、ケーブルテレビといったテレビ放送やアプリケーションをGoogle Playで購入したりすることも可能だ。Wi-Fiのアクセスポイント機能も搭載していて、タブレット端末やスマートフォンと連携して、番組表やDLNAコントローラー、ゲームなどでもあたかもリモコンのような形で同期をとってして使うことができるのも特徴だ。
Android 4.0にテレビチューナーを内蔵したセットトップボックス「Smart TV Box」
auスマートパスやGoogle Playといったサービスにも対応する
ゲーム「大富豪」のデモ。スマートフォンをリモコンとして使用できるのが特徴だ
「YouTube」や「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」といった動画共有サービスや、「ビデオパス」といったコンテンツサービスにも対応する
「ビデオパス」のインターフェイスはこのような感じだ
ファーウェイ・ジャパン
ファーウェイブース。中央のステージではファッションショー形式のステージが定期的に行われていて注目を浴びていた
今年のCEATECで中国に本社を置く通信機器メーカー、ファーウェイ・ジャパンの存在感には誰もが驚いたのはないだろうか?中国のメーカーが初出展ながらいきなりドコモブースの隣にKDDIやシャープと同じぐらいの規模のブースを構えていたり、JR海浜幕張駅の駅構内のほとんどのPRスペースだけでなくエスカレータや階段左右壁面のスペースまでも使ってファーウェイの広告で埋め尽くされている光景はだれもが「いったい何だ?」と驚いたと思う。
NTTドコモのAscend HW-01E。色はホワイトとブラックの2種類が用意されている
ファーウェイは日本では2007年から通信端末事業をスタートしたメーカーだが、提供先はイーモバイルのデータ端末が多かったために、あまり日本では馴染みのないブランドだと思う。しかし最近はいろいろなビジネス系やIT系の媒体で急成長ぶりが取り上げられている話題のメーカーでもある。スマートフォンのリリースも増えてきて、10月〜11月に初のNTTドコモ向けとなるスマートフォン「Ascend HW-01E」をリリースする。こちらがファーウェイブースの目玉で、大々的に紹介されていた。
HW-01Eの1つ目の特徴が電源を投入して5秒で起動できるという点だ。通常のスマートフォンの場合は30秒から約1分の時間がかかるが、5秒というのは桁違いの速さだ。この起動時間は世界最速をうたっている。2点目はカメラの性能だ。1310万画素とスマートフォンの中ではトップ級の解像度を誇るほかに、「パノラマ撮影モード」、目や唇を強調してきれいに撮れる「ビューティーモード」、一気に5枚の連続撮影写真を行いそこからいいとこどりができる「グループ撮影モード」というユニークな機能を備えている。Android 4.0にデュアルコア 1.5GHz、バッテリー動作時間が長いのも特徴だ。
「Ascend HW-01E」のカメラに搭載されているビューティーモードで撮ってみた。ブースという光量が悪条件ながら見栄えのよい写真を撮ることが可能だ
NEC
NECは「ライフスタイル」や「街づくり」、「先進技術」「スマートデバイス」などを紹介していたい
CEATECで出展されているタブレット端末で気になったのがNECの「N-08D」だ。発売はNTTドコモから行われている端末だ。特徴はなんといっても軽量なことで、7インチでありながらたったの249グラムしかない。他社の7インチタブレットと比べて約100グラムも軽量化を実現していることになる。
7インチながら重量は249gしかなないので、持っていて苦にならない
2つ目の特徴はハプティクスという振動を感じられる機構が搭載されることだ。例えば、ハプティクスに対応したゲーム「Haptics Ball」を体験してみると、スーパーボールが画面に当たると端末から「ゴン!」という感覚が伝わってくる。ゲーム中の玉を鉄球に変えると、鉄球らしい重みのある衝撃に変わる。ブースでこの感覚を初めて体験した人はみんなびっくりしていた。この技術は文字入力のキータッチにも使われていて、ソフトウェアキーボードにキーを入力した際にクリック感が得るところでも応用されているのもユニークだ。
ハプティクスに対応したゲーム「Haptics Ball」は、箱の中にボールを入れてボールと壁がぶつかるときの振動を味わうことができるというソフトだ
ソフトウェアキーボードをクリックした際にも指先にクリック感が伝わってくる