はやくも最終日を迎えた16日、暖冬のせいもありInterBEE会期中は比較的穏やかな気候に恵まれた。それにもまして熱気のあった会場内では、汗ばむほどであった。3日間の会期中来場者は3万1857人とのことだが、この穏やかな気候の如く日本経済やビデオ業界も発展していって欲しいと切に願う次第である。

レンズ交換可能な小型ビデオカメラ、デジタルシネマ、ファイルベースなど映像を取り巻く状況は急速に変貌を遂げつつある。レンズ交換可能な小型ビデオカメラやデジタルシネマカメラは、その価格に見合うレンズやレコーダーといった周辺機器の開発に拍車をかけたと言えるだろう。その根底にはファイルベースやメモリーの大容量高速低価格化が貢献している。

単板大判センサーは従来の業務用ビデオカメラの3色分解光学系という特殊性からフィルムカメラのレンズ(光学系)がそのまま流用可能という発想になり、すでに各社のカメラに装着可能なアダプターが発売されている。こうしたアダプターでは、オートアイリスやオートフォーカス、使い勝手など必ずしも動画を撮影するのに適しているとはいえない。デジタルシネマでは、マニュアル撮影が基本とはいえ、やはりそれ用に作られたレンズには叶わない。

PLマウントレンズは映画用の撮影レンズとしてSchneider、Carl Zeiss、Cookeなどが定番とされていたが、キヤノンやフジノンなども参入、低価格化の流れもあり現在ではキヤノンCINEMA EOSやソニー、phononなどもPLマウントレンズを発売している。もちろんスチールカメラ用のレンズと比較すると高価だが、従来のPLマウントレンズとは比較にならないほど身近になった価格設定である。

こうした光学系だけでなく、ファイルベースの普及により4KやRAWデータ、非圧縮が特別なものではなくなり、対応したレコーダーもアストロデザインや計測技術研究所、AJA、Blackmagic Design、Cinedeck、S.two、Convergent Designなどから発売されている。また AtomosやSound Devices、FOCUS(VITEC)、Fast Forward Video (FFV)では小型LCDモニターにレコーダーを内蔵したようなデザインの製品もあり、カメラで記録できるコーデックを超えた運用が可能になっている。

新領域カメラはデジタルシネマやファイルベースの普及により出現した必然ともいえるが、従来まったく別の道を歩んでいた映画やビデオ、スチールを融合し、周辺機器も含め様々な業界に与えた波及効果は非常に大きなものと言えそうだ。3日目最後はそんなレンズ、周辺機器を取り上げてみたいと思う。

様々な表現を広げるレンズの奥深さを知る

Schneider Cine-Xenar IIIプライムレンズ
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Schneider Cine-Xenar IIIプライムレンズ。18/25/35/50/75/95mmの6本がラインナップされており、色再現やT値、操作が統一されている。

Carl Zeiss ZEISS CZ.2 70-200 T2.9 ZOOM
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今年のNABで発表されたCarl Zeissの ZEISS CZ.2 70-200 T2.9 ZOOM。コンパクトプライムレンズだが200万ほどする。映画用のプライムレンズは単焦点レンズが多かったが最近ズームレンズが増えてきた(ナックイメージテクノロジー)。

Carl Zeiss Master Anamorphic MA50/T1.9
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Carl Zeissの Master Anamorphic MA50/T1.9。Master Anamorphicシリーズは35/40/50/60/75/100/135mmの7本がラインナップされており、T値は1.9で統一されている。シネスコ用の特殊なレンズ(ナックイメージテクノロジー)

ZK3.5×85
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新たなラインナップとして登場した小型軽量シリーズZK3.5×85 。PLマウントのレンズだが、ENGカメラ用レンズと同様なズームシーソーを装着可能。85〜300mm T2.9(85〜218mm)〜T4.0(300mm)、質量2.5kg(フジフイルム)

ソニーPLマウントレンズ
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ソニーPLマウントレンズ。昨年PMW-F3の交換レンズとして発表されたもので、当初35/50/85mm T2.0の単焦点3本だったがその後20/25/135mmが加わり6本がラインナップされている。カメラとレンズ3本のセットで200万ほどの価格が話題になった。

トキナー16-28シネマレンズ
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トキナー16-28シネマレンズ。今年のフォトキナで試作品として出展されたもの。英文のカタログに16-28mmF2.8(35mm Full Size)という記載があることから、スチールカメラ用の光学系を流用している模様。(KPI)

フォノンFZ16-28mmF2.8
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フォノンの広角バリアングルレンズFZ16-28mmF2.8。ソニーのPMW-F55/F5/F3用となっており、ソニーが用意している単焦点レンズではカバーしていない広角域をカバーできる。価格は50万ほど。(KPI)

フォトキナ C100用PLマウントアダプター
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フォトキナのキヤノンC100用PLマウントアダプター。通常のアダプターと異なりカメラ上部のアクセサリーシューから補強用のロッドで支える構造となっており、重量のあるPLレンズでも安心して装着可能。(KPI)

カメラの力をさらに広げる周辺機器の魅力

4K非圧縮SSDレコーダーHR-7510
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アストロデザインのキヤノンCINEMA EOS C500に対応した4K非圧縮SSDレコーダーHR-7510。RAW出力を非圧縮で収録できるほか、アルタイムRAW現像でモニタリング可能。

4K非圧縮レコーダーUDR-N50A
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計測技術研究所のハーフラックサイズ4K非圧縮レコーダーUDR-N50A。3G SDIと4K 対応HDMI(Ver.1.4a)出力を装備したほか、10Gbイーサネットによる高速ファイル転送にも対応している。また、PC以外にもタブレット用のアプリが用意されている。

AJA Ki Pro Quad
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AJA Ki Pro Quad。4Kのほか4系統のHD、2K、HDに対応した非圧縮ソリッドステートレコーダー。ディベイヤー処理を搭載しているほか、Thunderbolt経由のRAWデータをリアルタイムパススルー。デイジーチェーンでの接続が可能。

非圧縮ポータブルレコーダーGemini 4:4:4
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ConvergentDesign 非圧縮ポータブルレコーダーGemini 4:4:4。4:4:4 RGB S-Log 10bit収録に対応しており、ARRI RAWレコーダーしてALEXA SxS収録ファイルと同じプロジェクトネームで記録することが可能。(テクノハウス)

Atomos RONIN
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Atomos RONIN。NINJA、SAMURAIと続き今回RONINが登場。よりプロフェッショナルな使用にも対応すべくコネクター周りの仕様が強化された。HD-SDI入力を備え、ProResまたはDNxHD記録が可能。

Sound Devices PIX 240i
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Sound Devices PIX 240i。Sound Devicesは業務用のレコーダーのメーカーだったがビデオ用のレコーダーに進出。Apple ProRes 422とAvid DNxHD 36 / 145 / 220 Mb/s、8bit or 10bitに対応。記録メディアはSSDとCFカードを使用することができる。

Codex On Board S Plus
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Canon Cinema RAW対応のSSDマルチフォーマットレコーダーCodex On Board S Plus。撮影時にRAWデータとともにQTとDPXなどを記録することが可能。RAW現像を行わずに現場で収録データの再生確認が行える(西華デジタルイメージ)