映像業界1年の締めくくりの祭典始まる

[InterBEE 2013]会場出口インタビュー

2013年は、夏の猛暑から一気に秋冬モードに入り、気温も20℃をかなり下回るようになってきた。ここ幕張のメッセ会場も上着無しでは肌寒い陽気になってきたが、午後からは暖房のせいもあるだろうが、例年通りの熱気に溢れかえっている。

地デジ対応におけるHD化やVTRからファイルベースへ、音声もラウドネスの導入など目まぐるしく新たな対応に追われ、ちょっと一息つくまもなく4K8Kの波が押し寄せて来た。4K8Kは単にレゾリューションの問題だけでなく、今まで放送業界では馴染みの薄かったRAWや色といった問題も含んでいる。放送業界ではまだ当分先のことに思えた4K8Kは、総務省が前倒しを表明したこともあり、遠い未来の話ではなくなってきた。

今年のInterBEEではこうしたことも背景にあってか、HDはもはやスタンダード。4K8Kをアピールするところが数多くあるのは当然の事。この傾向は昨年辺りから始まったことだが、国内の家電メーカー各社のテレビ事業が苦しくなり、早くポストHDである4K8Kへステップを進め業績回復を狙ったという見方もできる。こうした観点から機材展を俯瞰するとテレビ事業を抱える大手メーカーほど4K8Kを大きくアピールしているようにも見える。特にAV機器に力を入れているメーカーほどその傾向が強いようで、ソニーやパナソニックなどは専門のコーナーを設けていた。

その一方で、デジタルシネマ制作機材に力を入れ、付加価値のある商品へ展開していくとうい方向性もある。キヤノンはすでにCINEMA EOS SYSTEMにより、アフォーダブルなデジタルシネマシステムの拡充を図っている。また、同社はカメラだけでなくInterBEE初日には4Kディスプレーの記者発表も行い、商品構成の幅を広げつつある。REDが切り開いてきたとも言えるアフォーダブルなデジタルシネマカメラは、キヤノンのようなカメラメーカーだけでなくBlackmagic Designや朋栄、アストロデザインといった今までカメラとはあまり縁がなかったメーカーも参入をしており、各社特徴的な製品を出すことで、多用な制作環境へ訴求を図り、なんとなく住み分けができているように感じた。

ソニー
interbee2013_day01_03.jpg

ソニーはブース正面で4Kを大きくアピール。現状のHDシステムの充実を図りながら来るべき4Kに備える方向性のようである。また、民生機も4K対応のプロジェクターを発売するなど、全社的に4Kを推進しているようである。

パナソニック
interbee2013_day01_08.jpg

パナソニックの4Kコーナーには民生機のテレビモニターや4Kディスプレーを搭載したPCなども業務用機器とともに出展されており、家電、PC、放送機器の各事業部を4Kをキーワードにつなげて行くという総合力を活かした戦略のようだ。

キヤノン
interbee2013_day01_01.jpg

展示会初日の午前中に開催されたキヤノンのプレス向けの4Kディスプレーの発表会には多くの記者が取材に訪れていた。既に量産に入っているようで、発表会場だけでなく、キヤノンのブースや他社のブースにも置かれており、そこここで目にすることができた。

ブラックマジックデザイン
interbee2013_day01_14.jpg

2.5KのBlackmagic Production Camera発表後直ぐに発表されたBlackmagic Production Camera 4K。スーパー35センサー、グローバルシャッター搭載で43万ほどの価格は驚異的ともいえ、個人のクリエーターからも熱い視線が注がれている。

朋栄
interbee2013_day01_07.jpg

朋栄はフル4KスーパースローカメラFT-ONEを複数使った撮影デモを行っていたが、ブース正面には4K対応の機器がワークフローとともに紹介した実機をはめ込んだパネルを掲げてトータルで4Kをフォローできることをアピール。

アストロデザイン
interbee2013_day01_11.jpg

アストロデザインは既に4Kの次のステップ8Kへ軸足を移しつつあるようで、ブース正面には大きく8Kが掲げられていた。8Kのカメラもレコーダーとともに出展されており、他社と競合するより、1歩先をいく戦略だ。