4Kに向けて加速するNAB
景気の行方は何とか良い方向へと向かっているようで、NABの会場も一時期のような空きスペースもなく満杯の様子である。明日から始まる展示会と並行して昨日からプレス向けの発表が各社から始まっており、プロダクトだけでなく今後の方向性も含めた発表が行われている。
展示会場はLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)が中心となるが、各社プレス向け発表会は各ホテルのカンファレンスルームで行う事が多い。昨年は、この戦列から離れたパナソニック。今年は、プレス向け発表会を展示会中に行うという(後日レポート)。先般モジュラータイプの4Kカメラやスイッチャーなどを発表しているほか、昨年同様のブーススペースを確保していることから、さらに大きな発表があるのでは?と思わせる向きもある。今後の方向性についてどのように発表するのか楽しみな所である。
一方ソニーは4Kをメインに着実に駒を進めている感じだ。昨年はオリンピックのため欠場したNHKも今回はスーパーハイビジョンを中心に出展している。4Kは日本で放送を開始するほか、来年地上波で韓国KBSが放送開始を発表しており、カメラやレコーダーなどコアになる機材も各社から出そろい、すでに国内では試験放送を行い伝送方式など放送に必要な要件を満たしている。
昨年とは4Kを取り巻く環境も1年で一気に様変わりしたといえよう。明日から開催される展示会もこうした流れを受けて様々な製品が出展される。特に昨年からアフォーダブルな4Kカメラや機材の発表が多く、今年から一気に4Kへ加速しそうな気配だ。ファイルベースが一般化、VTRという縛りがなくなったことで、REDやキヤノン、BMDなど放送業務用カメラメーカー以外からの参入もあり、各社とも特徴的な製品を発売している。4Kをキーワードに今年のNABはどのような展開を見せるのだろうか。明日からの展示会が待ち遠しいかぎりだ。
新時代に向けてリリースされるカメラ群
本日プレス発表を行ったソニーは、民生機から放送機器など撮影から制作全般にかかわる機材をもつだけでなく、映画会社(コンテンツホルダー)も傘下に持っており、その動向は業界に大きな影響力を持っているといえる。今回のプレス発表では、Beyond Definition 4K for 2K、4K for 4K、4K for allをテーマに新製品の紹介と今後の動向などが発表された。
カメラ関連では、ファミリーごとに新製品が並んだ。2/3型IT CCDを搭載し、S/Nの向上(62dB)など高画質化を実現したXDCAM HD 422カムコーダー「PDW-850」、2/3型FIT CCDを搭載した「PDW-750」、3層(100GB)・4層(128GB)の大容量プロフェッショナルディスクとXAVC HD記録に対応したレコーダー「PDW-HD1550」を発表。
中でもハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダー「PXW-X180」に注目だ。1/3型フルHD Exmor 3CMOSイメージセンサーと、新設計による広角26.0mm、光学25倍のGレンズを搭載。MPEG HD422(50Mbps)に対応しているほか、XAVC記録にも新たに対応。さらにMPEG HD420、AVCHD、DVの各種記録フォーマットにも対応。また無段階可変NDフィルターが実装されユーザーの声が大きく反映された物となった。
プレス発表最後に紹介されたカメラはかねてから噂のあった「α7S」だった。新開発の有効約1220万画素35mmフルサイズExmor CMOSイメージセンサーを搭載し、ISO409600という高感度を実装している。120fps/720のハイスピード撮影、S-Log2、50Mbpsの高ビットレートに対応したXAVC Sフォーマットを採用した本体でのフルHD高画質記録を可能とした。また、画素加算のない全画素読出しに対応し、4K(QFHD:3840×2160)出力することにより外部レコーダーで4K映像が記録可能となった。
プレス発表を経て明日より会場から、できるかぎり様々な情報をお届けして行くので楽しみにしてほしい!