NAB2014始動
小寺信良
今後のソニーを象徴するプレゼンの1枚
本日は明日の開会を控えたPressDayということで、あちこちのホテルで主要メーカーのプレスカンファレンスが行われた。今回はソニーとグラスバレーカンファレンスに出席し、新製品情報などを事前に知ることができた。
実際の模様は動画などでお伝えすると思うので、ここではプレスカンファレンスでの情報プラス事前に伝え聞く話などから、今年僕なりの注目ポイントをご案内しておこうと思う。
グラスバレーもいよいよ4Kソリューションへ
技術的な注目はやはり4Kということになるのだが、日本と海外、特に米国との傾向はかなり違っていた。日本は昨年のInterBEEがそうであったように、世界に先駆けてなんとしても今年中に4K放送を実現させるとして、ブロードキャスト4Kに注目が集まっている。一方米国ではシネマ4Kという路線から、映画制作で使われるのは当たり前として、むしろそこから先、完成品のエンコードからネット配信というところに注目が集まっていたように思う。
しかし今年のNABは、どうやらブロードキャスト4Kもかなりメーカーは力を入れてきているようだ。もちろんいくらメーカーがプッシュしようとも、放送局が乗らなければ話にならないのだが、ワールドワイド的には2015年頃から4K放送がロードマップに乗ってくるので、今年のNABが予算取りや機材選定に重要なタイミングとなる。
このタイミングで、特にライブ4K放送、あるいは配信ソリューションが充実してくるのではないかとみている。そしてシネマやドラマのほうでは、もはや放送にこだわる必要なしとして、ネットストリーミングをターゲットにしたドラマ制作にフォーカスしたソリューションも注目されそうだ。
ブロードキャストのクオリティをネットで実現する、そんなところまで今年のNABでは見えてくるのではないかと期待している。明日からの映像三銃士あらため、「チャーリー石川と東京ロマンチカ」のレポートにご注目いただきたい。
「業界再編」とそれによる「制作環境の変化」がキーワード
石川幸宏
今年もまたやってきました、NABの季節。この期のラスベガスの1日はとても短い。いや短く感じる。とにかく移動距離と時間が半端ではないのだ。中心街である“The Strip”沿いにある、ホテルなどの建物が全て巨大で、普段の生活の縮尺感覚と異なるため、目測と感覚がずれて場所を移動するだけでかなりの時間を要する場合が多い。また最近は建設ラッシュに湧くラスベガスでは道路工事なども多いため時間も読めない。それだけアメリカ経済が活況を呈しているという裏返しでもある。そんな中で始まった2014NABSHOWプレスデー。毎年、展示会初日の数日前からプレスデーが設定されおり、NABの会場であるLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)以外にラスベガス中の様々なホテルでプレスカンファレンスが開催された。
今年の5日(土)には、今まで以上にメディアインフラのシステム拡張に注力するアビッドテクノロジー。6日(日)にはSnellを買収したクォンテル。そしてF55、F5のProRes、DNxHDに対応するバージョンアップやコンスーマ製品からの本格的なプロ製品としてデビューする4K撮影、S-Log2搭載のミラーレス一眼「α7s」の発表を行ったソニー。そして世界的電線メーカーBELDEN社に買収されたグラスバレーなどのカンファレンスが開催。
グラスバレーは主な内容としてM&Aの状況報告と今後の指針表明がなされたが、個人的に奇遇だったのは、2000年の始めのころ、カナダ・モントリオールの企業取材に行った際に当時のMatrox社の主任エンジニアとして活躍していたMarco Lopez氏が、その後ミランダへ移り、そして今回なんと、新生グラスバレーのPresidentに就任していたことだ。映像業界は昨今、これまでの単一ビジネスでは利益構造が作りづらくなっていることからも、今年のNABは「業界再編」とそれによる「制作環境の変化」がキーワードのひとつになるだろう。まさに人と企業の変遷を感じた一日だった。
写真はソニーのカンファレンス内で行われた、IPライブプロダクションの技術プロモーションとして行われた、ライブ中継の模様。カンファレンス会場のMarageホテルの会場と、NAB会場(LVCC)を生中継で繋ぎ、会場のブースの様子を解説。技術力以上にこれまでに無いこうしたアプローチは、プレスカンファレンスの意義としても非常に好感が持てた。
4度目の正直!やってきたぜNAB
岡英史
今年もNABの時期がやってきた。これで参加4回目。とりあえず三日坊主は逃れたかなと思いつつ初日(正確にはプレスDay)を消化。2014はスイッチャー侍こと小寺氏が再び戻って来た事と、最近PRONEWSでの執筆も好調の猿田氏の参加、もちろん重鎮チャーリー石川(?)と自分も含めていざチームPRONEWS出動!
今年の機材
毎年この機材選びには中々苦労している部分だ。なんと言っても世界中の映像関係者が集まるイベントなので少なくても変な事は出来ない。毎年各メーカー様のご協力により最新機種をお借りして行ったが、今年は新機種発表が余りにも直前過ぎてお借りする事が出来ず(JVC GY-HM850)ここ最近非常によく使っているNEX-EA50EFマウントレンズ3本と言う構成。
初日のソニーは会場が広いので70-200/f2.8を選択、それに伴う脚はマンフロットの写真用三脚055XPROBJPにヘッドはMVH502AHの組み合わせ。ヘッドのカウンターバランスが長玉分、若干重量が足りないが、カメラ本体を軽量化する事で何とかギリで収まってくれた。何よりもハンドキャリーで、日本から個人で持って行くには重量的な制約を考えるとBESTかなと。 此方での映像素材のサーブ及び編集用のHDDとしてソニーPSZ-HA1Tを使用、このHDDはSONY業務用。2mの高さから落としてもダメージが出にくい。現場には非常に助かる一品だ。
本日のカンファレンスはソニー・グラスバレー(以下GV)・オートデスクの3メーカー。大体の情報は既に発表されているので大きな動きは無いのだがGVはオールインワン4Kカメラが気になる所。カンファレンス内では実機が無かったので明日以降のブースで要確認機種の一つだ。オートデスクは余り縁が無い中、Smoke2015の発表が気になる所。
さて残るはソニーだが、先ずはF55のENG(ブロードキャスト)化。個人的には収まるべき所に収まった感が強く、そのスタイルも中々バランスが取れて良い。業務用ハンドヘルドとしてPXW-X180の発表、3CMOSスタイルでレンズ部分が26mmからの25倍はワイコン要らずで文句なしの性能だ。前玉フィルター径82mmはその大きさが解るだろう。更にXAVC-Intra・XAVC-Long・MPEG-422HD・MPEG-420HD・AVCHD・DVCAMのマルチフォーマットレコーディングを備える。もちろん2スロットでバックアップ収録OK、更にバリアブルNDフィルターを装備、業務用ハンドヘルドの世界にまたもや帝国の逆襲を見た。ENGカメラはまだある。BDレコーディングカメラのPDW-850(同750)の2機種。更に噂の4Kミラーレスカメラ、α7Sも登場、今年のSONYは中々面白い!