[InterBEE 2014]会場出口インタビュー

昨日の快晴とは打って変わって、午前中から小雨の降る天気となってしまったが、会場内の熱気は相変わらずだ。昨年も4K関連製品は勢いがあったが、今年は更にその勢いが加速し、今年はそこかしこに4K/8Kの表示が目立つようになった。特に今年はカメラ以外の製品にも4K/8K対応が多くなってきたようだ。

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4K/8Kで放送ということになると当然スイッチャーや編集機、テロップ、伝送機器なども必要になってくるわけで、スイッチャーではソニーやパナソニック、朋栄、池上通信機といった従来から放送機器を手がけているメーカーが先鞭をつけている。編集はすでにAvidやAdobeなどから製品がでているが、クォンテルなども対応し、テロップ関係もラムダシステムズなどから出展があった。

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ソニーのMVSスイッチャーファミリーのうちMVS-8000XとMVS-7000Xは4Kに対応しており、すでに市場に出荷されているモデルである。写真のMVS-8000Xは2SI(2 Sampie Interleave)とSQD(Square Division)という2つの4K信号処理に対応しており、2SIでは低遅延かつ高機能な映像制作に対応できる。また、HDから4Kへのアップコンバーターを内蔵しているほか、4K設定の簡易も可能。

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来月より受注が開始される新製品のパナソニックAV-HS7300スイッチャー。現状ではHD対応だが、将来的にオプションで4Kに対応するという。会場ブース前面でHDによるスタジオサブのデモが行われていた

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4K対応が可能な池上通信機MuPS-4000。4K対応する場合はソニー同様M/Eを連動する必要がある。最大4台まで操作卓を接続することが可能となっており、6M/Eを複数の操作系に割り振ることができる

ソニーのMVS-8000XやパナソニックのAV-HS7300、池上通信機のMuPS-4000など、現状スイッチャーは比較的大規模な製品となっているが、いずれもマルチプラットフォーム仕様となっており、HDのスイッチャーとしても使用可能となっている。4KはHDの4倍の画面面積があり、HDを4つ束ねて4K対応としていることから、必然的に大型スイッチャーとなっているようだ。

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4K対応の製品版HDWS 4Kと8K対応のHDWS 8Kを参考出品したグラスバレー。いずれもEDIUSベースのターンキーシステムとなっており、参考出品のHDWS 8Kは60pのリアルタイム編集とフルスクリーンプレビューが可能

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収録を止めることなく、収録済みの部分からカット編集ができるカリーナシステムClipCutter 4K。スケジュール録画、カット編集、時差編集が可能で、4K対応は参考出品

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8K60pでの非圧縮ノンリニア編集&グレーディングシステムが可能なクォンテルPablo Rio 8K。海外メーカーだが、8Kの編集システムはNHKの協力のもと開発されている。来年発売予定

編集システムはグラスバレーのHDWS 4Kが新製品として出展されていたほか、8K対応の製品も参考出品されていたが、4Kや8Kになるとストレージも単純計算で4倍、16倍になり転送レートも高速なものが必要になってくる。こうした製品の出展もいくつかのメーカーからあり、ノンリニア編集の黎明期を彷彿させる。

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朋栄アドバンストバーチャルシステムInfinity Set。高度なセンサ連動システムから安価なセンサレスシステムまで幅広く対応可能で、解像度に依存しないためHDや4Kにも対応可能

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北海道日興通信NIXUSの4KテロップシステムCG-Store 4K。4K送出のビデオボードにアストロデザインGG-167-4Kを採用したリアルタイム3D CGテロップシステムで、作画からスケジュール送出まで対応可能

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ラムダシステムズは汎用テロッパーNeo・nによる8Kテロップシステムや4K対応のGRID-ZEROや、4K GRID-VEGA、電子フリップなどを出展

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NTT ATの映像コンテンツ用ファイルコンバートソフトRealFeel FileConvert 4K。HEVC 4:2:2 10bit 4K60p対応のファイルトランスコーダーで、NTT研究所のLQAアルゴリズムによるH.265/HEVC高画質4K変換が可能

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テクノハウスが国内代理店であるEvertzからインテグレーテッドスイッチファブリック3080IPXやEXE-VSRなどの4Kソリューションが出展された。これによりコンテンツマネジメントシステムMediatorやVistaLINK PROなどで4K/8Kのシステムを組むことが可能となる

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EMCジャパンは4Kファイルベースをキーワードに出展しており、IPベースのストレージシステムによる効率化のデモなどを開催。写真はEMC ISILONのストレージシステムがスカパーの4K放送に使われたことをアピールしているところ

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Harmonicでは、MediaGridハイパフォーマンス共有ストレージによる4K編集ワークフローやProMedia Carbonによる120fps 4K HEVC(High Efficiency Video Coding)エンコーディングなどが紹介された

テロップ関係やバーチャルスタジオなども北海道日興通信NIXUSや朋栄などから4K対応の製品が出展されていたほか、伝送系ではIP対応の伝送装置や伝送のためのコーデックなどがNTTやKDDIといったインフラ事業を行っている会社を含め様々な製品が各社から出展されている。デジタル化やIP伝送、圧縮となると遅延が懸念されるが、年々こうした問題も解決される方向に向かっているほか、GHz帯を使った無線伝送装置も4K/8K対応に向かっている。

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ヒビノはかねてより大型LEDディスプレーをヒビノクロマテックDivで扱っているが、今月発表になった4K対応のLEDディスプレーシステムChromaVision HCV16やLEDプロセッサーHLC-4Kを出展。293インチのディスプレーとしてブース正面に展示した

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共信コミュニケーションズは1.5mmピッチの260インチLEDディスプレーで4K映像をブース正面で展示。画像は4K/2K非圧縮ビデオサーバー7thSense Delta serverより出力されるが、このサーバーの出力はビデオカードの増設をおこなうことでサイズや解像度に合わせたシステムとすることが可能

4K/8Kは放送以外にもエンターテインメント系やサイネージ、プロジェクションマッピングといった分野にも利用が広がっており、ビデオウォール用のプロセッサーや各種表示装置、プロジェクションマッピングのための送出システムといった機材へと広がりを見せている。