[InterBEE 2015]会場出口インタビュー
過去最多となる出展者数、天候に左右されない来場者数
小雨がぱらつきちょっと肌寒い最終日。過去最多となる出展者数996社となった今年のInterBEEの登録来場者数は35,646人となったそうだ。昨年過去最多の37,959人には及ばなかったものの連日の天候不順を思えばまずまずといえそうだ。
4K8Kを前面に出した池上通信機。放送機器や業務機器中心の同社は小型ビデオカメラを出していないが、スタジオカメラでは老舗であり、8Kカメラなどは早い時期からNHKと共同開発している
4K8Kは以前からのトレンドだが、4Kの放送はすでに始まっており、8Kも射程距離に入ってきたということもあり、新製品が目白押しであった。特に4Kはカメラやレコーダーだけでなく放送設備系へと幅が広がっている。放送用のビデオカメラを手掛けるメーカーはそのほとんどが日本製であり、スタジオや中継用のカメラもソニーやパナソニックだけでなく池上通信機や日立などテレビ放送が始まりカラー化に至る時代にスタジオ用の箱型カメラを開発してきたメーカーもチャンスを逃すまいと新製品を投入してきている。もともとスタジオカメラを手掛けていたメーカーだけに注目したい。
ソニーブースをはじめとしていくつかのブースではスカパーJSATによる4K HDR放送を披露していた
4K8K時代でもう一つ注目したいのがHDRだ。SDからHDへの移行時は主にレゾリューション中心だったがHDから4K8Kでは色域が広がっている。HDまでのRec709からBT.2020になり、表現できるダイナミックレンジやカラースペースが広がった。今までのベクトルスコープとマスターモニターによる確認から色度図による表示やモニターのキャリブレーションなど付随した技術や製品も注目を集めてきている。
またHDと4K8Kを相互に変換する場合の問題でもあり、解像度やフレームレート以外に色域の変換といった要素が加わり、考え方としてはデジタルシネマのタイミングのような作業になるわけだ。すでに民生用のテレビモニターも出始めており、一般にも注目されているHDRだけに、作り手の意識も変える必要があるといえよう。
4K8K発祥の地ともいえる日本だが、家庭用のテレビ業界はあまり芳しくないようだ。4K8K放送の普及に伴い、放送から家庭用まで新たなフォーマットになることで、なんとか挽回したいところだ。さて来年はどのようなInter BEEとなるのだろうか?楽しみである。
池上通信機4K(UHD)カメラ。2/3型CMOS3板式で現行HDカメラと同じB4マウントレンズが使用可能なので、今までと変わらない操作感で運用可能
池上通信機スーパーハイビジョンカメラSHK-810。収録時の運用をサポートするフォーカスアシスト機能やタリー、インカムなどの機能を搭載。PLマウントの採用により各種レンズが装着可能。カメラとCCUが現行のHDカメラと同じ光複合ケーブルが使用できる
日立国際電気も4K8Kカメラを出展。4Kワークフローソリューションや伝送装置LiveLinkやFPUなども出展。
日立国際電気の放送用8K単板式カメラSK-UHD8060B。NHKと共同開発したもので、後部にビルトインされているのはレコーダーHR-7517。下部にカメラコントロールユニットCU-UHD8060があった
日立国際電気4K(UHD)カメラSK-UHD4000。2/3型B4マウントレンズ対応の4板式デュアルグリーン式。2160p/1080p/1080iなどマルチフォーマットに対応している。CCUは2Uサイズの小型なものが用意されている
NECの8K対応スタジオ機器。スイッチャーSHVS-110、8K-DSK SHVD-110、8K対応フレームシンクロナイザーMF-8300FS、8K HEVCエンコーダーVC-8300のほか、4K8KアップコンバーターMF8300UCや8K4KダウンコンバーターMF8300DCなど
NECの8K対応スイッチャーのコントロールとDSK
多くの場所で語られたHDR
ソニーブースでのHDR比較のコーナー。HDRによるハイダイナミックレンジの映像と従来のものを2つ並べて比較視聴できるというもの。こうした試みはいくつかのブースで見られた
キヤノンのHDRワークフローのコーナーでは、同社のカメラやモニターなどを使ったカラーグレーディングをデモしていた
リーダー電子LV5490。色度座標上に映像信号の色域をプロット表示できるので、オーバーレイ表示したBT.709やBT.2020の範囲に収まっているかオーバーしているかが一目でわかる