Inter BEE 2016 11月16日
山下ミカ 気がつけば今年で5回目の参加となるInterBEEです。少しは用語がわかってきたような…気もしはじめています。今年のInterBEEでは、1ホール増えて会場も非常に広くなりました。昨年は4Kを非常によく見た気がしましたが、今年は4Kはもちろん、8Kも目立ってきています。中にはテストではありましたが、12Kという文字も…。年々進歩していく技術とそこにコンテンツがあわさってどのように見えていくのか楽しみです。また他にもHDRのカメラやモニターも各社多く出展をされています。VRもたくさんの方が試しているのを見かけています、私もこの会期中にはぜひ試してみたいですね!
昨年に引き続きロケ弁グランプリが今年も開催されています。お昼ご飯を食べるところを毎年困っていた方に朗報とも言えるロケ弁グランプリ。ロケ弁を知ることもできる一石二鳥のイベントです。サンドウィッチなどがメインの軽食で可愛いボックスに入ったものから、ステーキガッツリ!というお肉メインのお弁当まで個性豊かで様々なお店が並んでいます。お値段も700円台~1000円台とお手頃価格なので、毎日試してみたくなります。
InterBEEは放送局向けのものから、現在は個人で活動されている方、学生さんも来られるとても広い立場の方が来られるイベント。ここからまた新しい何かが生まれてくるのだろうなと思うと楽しみです。
岡英史 Sony
InterBEE2016がスタート、いつものパターンで恒例の朝一プレス発表会への参加。大きな話題としてNABshowからの引き続きでHDRとIP伝送がメイン。かなりIP伝送が実用化され、国内でも正式に採用されているところが何か所もあるが、ミドルレンジ的に気になるのはSonyから登場したスモールパッケージのスイッチャーシステム。既に色々な情報が上がっているがNX5Rを中心に小型SW・MCX-500とLANC互換カメラリモコンRM-30BPで構成される。小型スイッチャーは今や色々なメーカーから出ているが、しっかりRタリー・Gタリーを出して来るのは流石と言える。このシステムも別途レポート予定。
PROTECH
このメーカーは社長自身が使いたいと思ったものをすぐに具体化して作ってしまうメーカー。今回はかなりの自信作らしく、社長自ら声をかけて頂いた機材、その名もチョイJIB。アームにネーミングをしっかり入れている所は以前紹介したWAKEWAKE君に近いものがあるが、製品その物はかなりまじめに作りこんであり、ショルダーカメラなら問題なく載るレベル。カウンターバランスとアームの支点が肝で、この写真の通りウェイトが必要ない状態での運用も可能だ。なかなかこのサイズでしっかりとした剛性感のあるミニJIBは無いのでこれは中々いい機材だ。
AZDEN
今回の出展の中で目を引いたのは、インカムヘッドセットの参考出品。入力に関してはカスタムで色々対応して貰える。フィット感も中々よく勿論コスパも良い。大きさも大中小の三種類を用意しているので自分の現場に合わせて選択できる。
IDX
最後に紹介というか目についたのが(いやSちゃんに引っ張り込まれた?!)この怪しげなBOXの中のガジェット。詳細は一切不明でNABでのお披露目を予定している。とは言えこのシルエットはガンバで近づいてみると何となくその概要がわかる。これも中々楽しい機材なのは間違いない。
ヒマナイヌ ネット配信回りで注目のRoland VR-4HDは待望の製品だ!なんだよ!HD-SDI版も同時に出してよ!と思う人も多いかもしれない。自分もそう思ったのだがよく考えてみればHDMI to HD-SDIコンバーターも1万程度で買える時代なので4入力をHD-SDI化するのにもプラス4万で済む話だ。そう考えるとVR-4HDは筐体の強度やデザインといい黒で統一されたUIといい個人配信から業務配信の現場まで幅広く使えそうな機種になった。
実際に触ってみると、VR-3EXより粘りのあるオーディオフェーダーや業務用スイッチャーのようなスイッチングボタンが高級感がある。機能的には映像のクアッド分割とUSB3.0アウト対応と音声のオートミキシングが注目だ。
クアッド分割は分割線の太さや色は変えられないものの、ボタン1発でカット代わりに4分割に出来るので、ゲーム配信やバンド配信などで重宝しそうだ。ゲインやフェーダー位置さえ初期調整しておけば入力される音声の大小に合わせてバランスを自動調整するオートミキシングはワンマン配信してる人には待望の機能かもしれない。
価格は30万円前後ということで安いか高いか?は人によって違うだろうが、マルチカメラ収録&配信の必要な機能がバランスよく詰まっていて完成度が高い。個人的にはPinPにもっとサイズとレイアウトのバリエーションが欲しい。正方形の小窓や1/2.1/4に加え1/3などもあるとセミナーやシンポジウムにも使いやすそうだ。今後のファームアップに期待したい。
小寺信良 放送局はどこへ舵を取る?
今年もまたInterBEEの季節がやってきた。今年は幕張メッセのHall2から8までと、ほぼフルで展開されており、ここまで広く会場をとったInterBEEは久しぶりではないかと思う。会場を見渡しても、ブースに隙間がある感じでもなく、まんべんなく賑わっている印象だ。
初日である本日は、ソニーのプレスカンファレンスとパナソニックのスイート展示を取材した。業界のリーダーとも言えるソニーの今年のポイントは、4K-HDRとIP伝送ソリューションである。
IP伝送は一昨年ぐらいから展示が始まったが、昨年はカメラ-スイッチャー間をIPで繋ぐというところまでだった。今年はそこからさらに出力まで拡がった。というのも、ソニーの推進する「ネットワーク・メディア・インターフェース(NMI)」への協賛が60社に増え、他社も相乗りしてきた事が大きい。特に国内では放送局基幹システムに強い東芝とNECが乗ってきたのは強い。また海外ではGrass Valleyもアライアンスに参加、相互接続の可能性が出てきた。
HDRのライブコンテンツ制作は、IP伝送なしにはもはや難しいだろう。カメラからS-Log3で出力し、それをそのままIPで伝送、スイッチングもS-Log3のままで行ない、最終出力をHDRとSDRに分配する。
一方パナソニックで展示されていたのは、SDI 12Gのスイッチャー「AV-HS8300」だ。インターフェースボードを変えることでIP伝送にも対応できるようにはなっているが、これまでBlackmagic Designの一人旅であった12Gにパナソニックが乗ってきた事は、大事件と言っていい。
パナソニックで開発中の12G SDIスイッチャー「AV-HS8300」
放送局ではまだまだSDIの需要が強いというが、2020年のオリンピックイヤーに向けての設備投資は、IPなのか12Gなのか。放送のネット解禁も今後検討が進む中、どこへ行けば得なのか、放送局の舵取りは非常に難しいところにさしかかっている。
ふるいちやすし 4K、8K、HDR…高画質と言えば数値で表わす事ができるが、良画質、美画質という事になると急に基準が曖昧になり、その答は個人個人で違ってくるはずだ。我々撮る側はちゃんとそこにこだわっているだろうか?数値だけにたよって、納得してしまってはいないだろうか?
例えばレンズのトーンといった、微細だが根源的な違いにも気を配っているだろうか?それはクラシックレンズだけではない。レンズを交換できるデジタルカメラで動画が撮れるようになってそろそろ10年が経とうとしている今、番組で回った意外にも様々なレンズが発表、発売されている。それも明らかに動画撮影をターゲットにしたシネレンズが目立つ。
ぜひ皆さんも自分のカメラとマウントアダプターを持って会場に出かけ、実際に様々なレンズを付け、そのトーンの違いを感じてみてほしい。何も赤が緑になるといったはっきりした差ではない。「なんかグッと来る」とか「すこし冷める」とか、その程度の違いだ。だが、その差が作品の中でじんわり活きてくるもんだ。少なくとも撮影者としてその差には敏感であってほしいし、その為にも色んなレンズの差を感じてその感性を養って頂きたいと思う。
林和哉 今年も勝手に楽しく練り歩きをさせていただきました。巡った場所は、5カ所!それぞれ順番通りにトピックスを紹介していきましょう!
ブラックマジックデザイン
今年もブースが大きい!勢いを感じられますね。今年の注目はTeranex AV。4本の1.5G信号を12Gに。HDMIに。パラレルにクロスに。そんな変換が1台で出来てしまいます。それでいてリーズナブル。今までいくつものコンバーターを組み合わせていた人たちには朗報です。また、ブラックマジックデザイン社が迎え入れたFusion。Ver.8となって、DaVinci Resolveとの親和性も益々アップしています。日本ではゴリゴリの合成マンがNukeの代わりに注目している構図が聞かれますが、実はAfter Effectsのようなエフェクトも割と簡単に作れてしまいます。NukeとAfter Effectsの美味しいところを合わせた希有なソフトウェアなのです。ぜひその面白さをブースのセミナーで見てみてください。
RAID
8Kカメラがこんなに早く実用化!このサイズで!!というRED Digital Cinema社のHELIUM 8K S35をお披露目していたRAIDさん。4K、6Kとハイレゾリューションのワークフローが安定的に確立されている延長線上に突如やってきた8Kカメラ。いままでのノウハウがそのまま生かせるのが最大の強み。これは注目です。ColorfrontのTranskoderを使って、8K60pをリアルタイムに再生、Transcodeも素早く出来るデモもありました。8Kモニタが一緒に展示してあり、一見の価値あり。
ベルボン
なんと、Millerの三脚がベルボンさんの扱いに!すっかり影を潜めてしまっていたMillerですが、個人的にザハトラーよりも好きかも、という名機です。16段階のカウンターバランス、120cmのプレート稼働!是非盛り上がって欲しい。
Libec
一脚使いの行動パターンを徹底的にヒアリングし、その中ならユーザーの困ったをすくい上げ、ヒネりをきかせた一脚。自立して、足でスイッチを踏むと自立。また踏むとリリース。ちょっと押したぐらいでは、頑張って戻ってくる!Hands Free Mono Pod=「HFMP」。これは面白い!
ケンコープロフェショナルイメージング
s35対応レンズで、11ー16mmのショートズームは唯一無二。この便利さは試してみないと分かりません。NDフィルターは、普通のものだと、大きくかけ過ぎると色が変わってしまいます。TrueNDはその色変化がほとんどありません。この効果は絶大です。地味な感じがしますが、このきめ細かさがクオリティの差に繋がるのですね。
駆け足で見てきましたが、会期はあと2日!ぜひ足を運んで実物を見てみてください。