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中国開催の展示会「BIRTV 2019」
8月21日から24日までの5日間、中国・北京の中国国際展覧中心で「BIRTV 2019」が開催された。BIRTVは、中国国内や世界の映像器機メーカーが集まる中国のラジオやテレビ業界で最も権威ある展示会だ。5万平方メートル以上の規模を持つ展示会場に500以上の企業が出展し、今年は8Kや5G伝送の展示が目立っていた。
中国だけでなく、アジアや世界中の映像業界から注目を浴びるBIRTV。来場者数も5万人以上を集め、世界的にも見逃せない放送機器展示会となっている。今年も注目メーカーの展示をレポートしよう。
- Vol.01 ソニー、3板式4Kイメージセンサーを備えたグローバルシャッター搭載「PXW-Z750」を世界初公開
- Vol.02 中華レンズメーカーDZOFILM、約15万円相当のマイクロフォーサーズシネマズームレンズ「LingLung 20-70mm T2.9」「LingLung 10-24mm T2.9」を展示
- Vol.03 ニコン、Noct0.95大口径レンズやフルフレーム対応ミラーレス用ProRes RAWソリューション展示
- Vol.04 富士フイルム、AF機能を搭載した4K対応放送用レンズ「FUJINON UA107×8.4BESM AF」を初公開
- Vol.05 Tilta、腕の負担を軽減するジンバルスタビライザのサポートシステム「Armor Man 3」を展示
- Vol.06 FalconEyes、さらなる大型化を実現したロール型LED新製品2機種を展示
- Vol.07 Aputure、LS C300dより20%明るくなった人気のLEDライト「LS C300d II」を展示
- Vol.08 Pilotfly、カメラをあらゆる方向に向けてもモニターの角度は保てるスマートトラッキングローラー「Pilotfly Cavalier」を展示
- Vol.09 DJI、Zhiyun Tech、FeiyuTech、MOZAの4大ジンバルメーカーに注目
BIRTVで3板式4Kイメージセンサーやグローバルシャッター搭載のPXW-Z750を発表
8K関連の展示がひときわ注目を浴びていたソニーブース
ショルダーカムかつ、グローバルシャッター付きCMOSカムコーダー「PXW-Z750」
ソニー(Sony Professional Solutions China)はBIRTVに合わせてショルダーマウントタイプの「PXW-Z750」を発表。BIRTVで世界初公開されたカメラだ。
4K対応の本格的ショルダーカムコーダーといえば国内ではPXW-Z450が有名だが、単板CMOSイメージセンサー搭載のモデルだった。しかし、新たしく発表されたPXW-Z750は、2/3インチで3板式4KイメージセンサーでグローバルシャッターCMOSを搭載。これまで、ショルダータイプでHDをずっと使っている人たちからすると、「ようやく3板式がきた」、それに加えて「グローバルシャッターもついてきた」という待望の新モデル登場といった感じだ。
CCDから乗り換えたくないというカメラマンが多いと聞くが、PXW-Z750はグローバルシャッター搭載で動体歪みやフラッシュバンド現象もない。ようやくCCDからCMOSに乗り換えを検討する人も多くなりそうだ。
PXW-Z750は2020年2月発売で、価格は未定。日本国内での発売はまだ発表されていない。
ニュース撮影用ショルダーマシンの「CNG」キット
また、FS7シリーズカメラを、ニュース撮影用ショルダーマシンに変更できる「CNG(C=Cinema)」キットも展示されていた。国内では、「CBK-FS7BK」と呼ばれているEFPスタイルビルドアップキットと同じモデルだ。CNGを使うことにより、シネマニュースギャザリングと呼ばれるシネマ風の取材が可能になる。
8K放送カメラ「UHC-8300」と8Kクライアントモニターとして98インチと85インチの2台の8Kテレビを展示
1.25型8K 3板式カメラシステム「UHC-8300」
8Kのほかに4K、HDの同時出力が可能。下はCCU
ブースの中ひときわ注目を浴びていたのは、中央正面に展示の8Kカメラだ。中国の展示会に来て感じることは8Kの勢いの強さだ。中国政府の力の入れ方が大きく変化し、大注目の展示となっていた。
カメラは、8K3板式カメラシステムの「UHC-8300」だ。NHKで稼働しているモデルで、ブースでも一番人気の展示となっていた。8K/4K/HD信号の同時出力対応を特徴としており、ビューファインダーやリモコンは従来のHD、あるいは4Kで使っていたものがそのまま使用可能だ。ファイバーケーブルも同じで、そこに8Kを通す形で使える。
CCUは、背面に8K、4K、HDのコネクターがたくさん並び、8Kは120Pまで対応。8本の12G-SDIを搭載しており、8K60Pの場合は4本のSDIで8K60P、中国の場合は8K50Pの出力が可能。ブラビアの8Kテレビは家庭用のモニターなので、8KのSDIからHDMIに変換して映像を映し出している。
UHC-8300の映像の表示に使われれいた8K対応ブラビアの85インチモデル「KD-85Z9G」
8K対応ブラビアの98インチモデル「KD-98Z9G」
8K対応モニター「KD-85Z9G」も注目で、放送局で使われるマスターモニターとは違うブラビアシリーズのテレビがクライアントモニターとして展示されていた。
ソニー初の8KテレビZ9Gシリーズは、CES 2019で発表された民生用のテレビだが、マスモニクラスの実力を持っていると話題のテレビだ。家庭用だけではなく、BtoB的な使い方の提案が行われていた。
3つの新しい4Kシステムカメラを展示
マルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-3500」
4Kポータブルカメラ「HDC-5500」
マルチパーパスカメラ「HDC-P50」
NAB 2019に発表された製品だが、HDCシリーズが新しくなった。これまで2000シリーズだったのが3000シリーズになり、HDカメラ「HDC-3500」が登場。5000シリーズは4Kカメラ「HDC-5500」、4KのPOVカメラ「HDC-P50」も登場した。すべて、新しく開発したグローバルシャッターを使っている。
CCUには、「HKCU-REC55」が登場。カメラの画を同時に記録して、USBのハードディスクやSSD、NASに転送することもできる。記録して終了したら、そのまま素材を持ち帰り、NASのほうでノンリニア編集が可能。これもBIRTV初発表となった。
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