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若者からレジェンドまで、賑わう会場より
[InterBEE 2019]会場出口インタビュー
2日目は終日快晴ということもあり、開場直後から多くの来場者で賑わっていた。放送業界はIPのほか、4K8KやHDRなど大きな変革期にあり、日本はカメラをはじめとして多くの対応機器メーカーがある。
特にカメラメーカーは独占に近い状態で、今回もソニーからマルチフォーマットスタジオカメラHDC-5000のほか、XDCAMショルダーカムコーダーPXW-Z750などが新製品として出展されたほか、パナソニックは2/3型ショルダーマウントタイプのAJ-CX4000GJ、JVCケンウッドは4KメモリーカードカメラレコーダーGY-HC550/500が出展された。こうしたカメラはIP対応やネットに対応したものとなっており、クラウドを利用した制作にも対応している。
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ソニーXDCAMショルダーカムコーダーPXW-Z750。ネットワーク機能を内蔵しているため、現場からのストリーミングやファイル転送が可能。報道制作向けクラウドサービスXDCAM airに対応したモデル
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パナソニック2/3型ショルダーマウントタイプのAJ-CX4000GJ。ダイレクトストリーミング機能によりライブ配信サービスに配信可能なほか、優先LAN端子により、IP接続による伝送とカメラコントロールが可能
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JVCケンウッド4KメモリーカードカメラレコーダーGY-HC550。双方向のライブストリーミング機能を搭載しており、同一回線上でカメラからのライブストリーミングを中継しながら、スタジオ局からの番組映像とインカム音など同時受信できる
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JVCケンウッドGY-HC900CH。従来のUSBホスト端子を使った無線LAN、LTEなどのドングルに加えて、内蔵LAN端子、内蔵無線LANにより、さまざまなネットワークに対応
カメラのネット対応により、撮影した映像はクラウド上の仮想ストレージに保存し、クラウド上で編集、送出まで可能になった。ソニーやパナソニック、JVCケンウッドなどのビデオメーカーもそうしたネットへの対応サービスを開始している。
また、AvidではすでにMediaCentralやMedia Composerなど、クラウド対応製品を発売しているが、組み合わせや料金構成などが多岐に渡るため、ある程度汎用性のあるパッケージをいくつか用意し、できることや金額などわかる安く提示できるようにしていく予定だ。クラウドを利用したスタジオ機器の仮想化や管理はHarmonicなどが以前から商品に組み入れており、国内でも導入するところが増えてきたという。こうしたクラウド化はマイクロソフトAzureやAWSが絡むことが多く、ネット配信だけでなく、放送でも利用が始まってきている。
4K8Kは伝送容量の関係もあり、従来のSDIからIP化が進んできたが、圧縮技術が進んだとはいえ、収録から編集、配信に渡ってユーザーが用意しなくてはならないストレージ容量は多くなってきている。IP化によりIT系のストレージが利用できるようになり、クラウドの利用が加速されてきたと言えよう。
さらに放送以外にもダイジェスト版をネットで公開したり、見逃し配信など配信の多様化もあり、今後もそうした方向に進んでいくことになるだろう。
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ソニーストリーミング配信ソリューション。クラウド上のスイッチャーでマルチカム配信を実現するVirtual Production。なお、PXW-Z90やHXR-NX80はバージョンアップにより、カメラ単体での配信に対応
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JVCケンウッドCONNECTED CAM STUDIO。ネットワークを経由したIP制御により、遠隔地に設置したカメラのアイリス、フォーカス、シャッタースピード、ホワイトバランス、ゲインなどのカメラ設定が可能なほか、タリー表示とマルチカメラ撮影が可能
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Harmonicはインジェストからプレイアウト、ランスコーディング、暗号化、パッケージング、配信に至るまで、メディア処理の全体を統合化。OTT配信向けの独自編成といったチャンネルオリジネーション、ライブストリーミング、オンデマンドサービスなど、幅広いアプリケーションをサポート
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マイクロソフトAzureのCognitive Servicesには主に視覚、音声、言語、Web検索、および意思決定といったサービスがあり、文字認識や自動翻訳などが可能
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AWSはクラウドを利用したメディアソリューションとしてスポンサー17社の提案するクラウドを利用した収録やアーカイブ、AI機能を利用した放送や配信などを披露
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