Inter BEE 2023 エーディテクノブースでは液晶ディスプレイ、映像信号変換器など様々な製品を展示していたが、その中から注目の製品を紹介していく。

Dante AV Ultra トランスミッタ/レシーバ

参考展示品のコーナーで注目を集めるのが、エーディテクノ オリジナルブランドによる「Dante AV Ultra トランスミッタ/レシーバ」で、2024年春の発売が予定されている。

映像・音声をIPで伝送する規格として知られるAudinate社設計の「Dante AV」があるが、それをさらに進化させたハイエンドユーザー向けの「Dante AV Ultra」を採用した製品である。

「Dante AV Ultra」の特徴は、1 Gbpsネットワークにおいて低遅延かつ高解像度の映像伝送を可能にする点だ。H.264やH.265形式の場合、1~2フレームの遅延が発生することがあるが、「Dante AV Ultra」ではそのような遅延もなく映像・音声信号をIP伝送できる。

2024年春の発売予定のこの新製品は、2つのモデルで展開される。一つは12G-SDI端子を搭載したモデル、もう一つはHDMI2.0のみを搭載したモデルである。

もう一つの特徴は、2インチの液晶モニターを搭載している点だ。これにより、伝送中の映像やオーディオレベルを確認できる。さらに、Danteネットワーク上のデバイスの設定と管理を行う「Dante Controller」の設定画面も表示できるため、現場での作業が効率的になる。これは、現場目線での運用に配慮した嬉しい機能である。

2インチの液晶モニターが搭載された「Dante AV Ultra トランスミッタ/レシーバ」

12G-SDI対応4K UHDプレビューディスプレイ

ディスプレイのエリアでの注目製品は12G-SDI対応4K UHDプレビューディスプレイだ。

4Kのパネルを採用しネイティブで4Kの映像を映す事ができる。12G-SDIで4K映像を映したり、3G4本で異なる映像4つを映したり、クアッド3Gにも対応しているので、3G4本で1枚の4K映像を映すことも可能だ。

1つの画面上に4つの異なる映像を4分割表示させる「マルチビューモード」や各種波形表示、VESA対応、ユーザーLUT対応など多彩な機能を搭載し、映像制作者にとってはありがたい機能が盛り込まれている。

本体はメタル筐体で堅牢性もありながら、ディスプレイ内部温度センサーにより冷却ファン速度を自動マネジメントする排熱機能もしっかりと搭載。

なおかつ、リーズナブルな価格設定で、6月の発売開始以来、非常に好評とのこと。様々な場面で12G-SDIの4Kプレビューのニーズに応える製品となっている。

映像制作者向けのアシスト機能を多数搭載

AVMATRIX:ビデオスイッチャー「VS0605E」

AVMATRIX社はエーディテクノが日本代理店となっている香港のビデオスイッチャー、ビデオコンバーターなどのメーカー。ブースではビデオスイッチャーの試作機「VS0605E」を展示していた。

SDIが4系統、HDMIが2系統あり、PTZカメラをLANケーブルで接続するとカメラのリモートコントロールも可能。さらにSDカードスロットとUSBキャプチャの端子も搭載しているので、レコーディングしつつの配信ができるなど、オールマイティーなスイッチャーだ。

また、本体にディスプレイが搭載されているので、映像を確認するために別途モニタを用意する必要がない。狭い場所などでのオペレーションでは非常に有効だろう。

DIGITAL FORCAST:クロスコンバーター 「X_TS_mini」

DIGITAL FORCAST社もエーディテクノが代理店となっている、SDIに関連した製品に特化した韓国のメーカー。展示されていたのはアナライザー機能も兼ね備えたコンバーター「X_TS_mini」だ。

SDIとHDMIの相互変換が可能で、モニタではベクトルスコープ、ウェーブフォーム、SDIケーブル長測定、オーディオレベル、パターンジェネレーターなど様々な情報を表示、確認することができる。

さらに、キヤノン製「LP-E6」とソニー製Lシリーズ互換バッテリーに対応する2種類の専用バッテリープレートをオプションで提供している。ACアダプタが使用できない環境でも、バッテリー駆動により「X_TS_mini」を利用できる。

「X_TS_mini」の「TS」は「トラブルシューティング」を意味しており、製品名の通り、施工現場での信号チェックやトラブル発生時の原因切り分けに大きな威力を発揮する製品である。

Blustream:Dante対応ネットワークパワーアンプ「NPA20DA/NPA70DA/NPA100DA」

Blustream社もエーディテクノが代理店となっているHDMIに関連した製品に特化したオーストラリアのメーカー。今回はDanteオーディオネットワーク上の音をスピーカーに増幅して出力するアンプ「NPA20DA/NPA70DA/NPA100DA」の3種類を展示していた。それぞれ20ワット、70ワット、100ワットとなっていて、コンパクトな筐体が特徴的だ。

また、Blustream社のマルチキャストトランスミッタ、レシーバ、NETGEARのProAVスイッチ、QSCのタッチスクリーンコントローラを組み合わせて、AV over IPのソリューション展示も行なっていた。

複数のHDMIソースを入力して、複数のディスプレイで大きな1枚の映像を表示したり、複数の映像を同時に表示できるので、サイネージやイベントなどで活用できるだろう。

AV over IPのソリューション展示

ロック機能付きHDMIケーブル

ケーブルのエリアでは、HDMI、DVI、USBの光ファイバーケーブルが展示されていた。中でも、ロック機構がついたHDMIケーブルは、瞬間的な耐荷重として8キロまでの力に耐えられる。

ブースでは、HDMIケーブルを機材に挿したまま、2kgのダンベルをケーブル巻き付けてぶら下げる展示をしていた。撮影現場でケーブルが抜けてしまう事故を未然に防ぐこの製品は今回の展示会ですでに多くの反響があったという。参考展示ということなので、1日も早い製品化を期待したい。

ロック機能付きHDMIケーブルに2kgのダンベルをぶら下げて展示