txt/movie:MonkeyHills(岡英史&猿田守一) 構成:編集部
2025年7月16日から7月17日の2日間、福岡国際センターにて「九州放送機器展2025」(以下:QBEE)が開催された。本展示会は、2日間で2,857名の来場者を記録し、これは過去10年間で最高の来場者数であった。映像業界の最新技術が集結した同展示会より、各出展ブースの注目製品を速報として報告する。
日本ビデオシステム(PROTECH)
毎回何かしら新製品を出してくる同社。常にアップデートされるカタログも毎年厚くなり、見るのも楽しみなのだが、今回はプロンプターが一番前に鎮座していた。サイズは24インチモデル。大きくもなく小さくもなく絶妙な大きさが現場の声を主に聞く同社の強みだろう。
東京オフラインセンター(TOC)
都内で24時間レンタルしてくれるのはTOCだけ。値段もリーズナブルで、お世話になっている方は多いだろう。そんなレンタルショップが遂に九州に上陸。なかなか九州ではレンタルが少なく苦労されていた方もいたと思うが、これで安心だ。
どちらかと言えば、本格的な業務機器というよりもエンドユーザー向けの機材と価格設定が、その方向性を示している。しかしこの価格設定は相変わらずビックリする値段だ。
三和映材社
ビデオカートに関心を持つ方は日本では少なめの印象を受ける。Inter BEEでミニカゴ台車が筆者的に大ヒットだったのだが、この「CART TRUCK M2」もカート好きの筆者の目を引いた。大きさはビデオカートとしてはやや小さめだが、折り畳み機構が素晴らしく、ミニバンどころか軽自動車でも楽に乗せることが可能だ。
3段棚があるのも他にはなかなかない。大きさと相まってDITベースはもちろん、配信系のベースとしても使いやすいはずだ。もちろん、本来の目的である物を運ぶというのは、改めて言うまでもないだろう。
ITGマーケティング
PC不要でカードメディアなどを高速バックアップできる「TAINER 3.0」がなかなか秀逸。PCを繋いでバックアップが難しい現場では、利用価値は高いはず。
特にドローン系のユーザーだと、この恩恵は特に大きいのではないかと思われる。またiPhoneのリグTILTA「Khronos」も興味深い。筆者はiPhoneにリグを組んで収録というスタイルがあまり好きではないが、このリグは別格だ。いろんなパーツを組み込んで自分のスタイルに組み替えられる。もちろん、その手の組立が苦手な方向けのキットパッケージもラインナップにあるので心配はない。
エレックス(Airly Vision)
QBEEの会場に入ると一番最初に出迎えていたモニターが印象的だった同社。今ではこの手の多段で組まれているLEDモニターは数あるが、ここの「Airly Vision」の優れている所は軽量化に特化したこと。これが何を意味するかと言うと、300インチ以上の大きいモニターをしっかりしたトラスを組まなくても、例えばホテルのバンケットルームに組まれているバトンに吊り下げることが可能になる。
さらに屋外専用パネルでは、輝度が高いことは当たり前で、パネルLEDの素子の間にスリットがあり、これで風を受け流すことができる。ユニット単体では問題ないが、300インチ以上だと風の抵抗も大きいので、これは有効な手段のはずだ。
銀一
オールインパッケージも可能なスイッチャーOSEE「GOSTREAM」シリーズの展示が目を引いた。一見すると、よく見る小型SWだが、その中身は大きく違う。ベースとなるSWは4入力でHDMIタイプとSDIタイプの2種類。特に展示してあったHDMIモデルのオールインワンパッケージのものは、60W程度のモバイルバッテリーでの給電・運用が可能。野外収録ではかなり重宝できるはずだ。
また近年ジンバルが流行っているなか、ステディカムのワークショップが募集をかけると一瞬で埋まってしまうのは何故なのか?その現状と理由を解説いただいた。
ローランド
ローランドのビデオスイッチャーは「V-60HD」登場後、急速な速さで進化してきた。特にワンマンOPをする方には、いろいろな連携やアプリケーションも含めて重宝している方も多いはず。今回の展示は、まさかのヤマハ製品とのコラボと言えるアップデートだ。
V-80HDでDM3をコントロールできる。SWに入るHDMI信号の中の音声レベルをDM3でコントロールできるようになっている。DM3のフェーダーに合わせてSWのレベルが動き、逆にSWのボリュームを動かすとDM3のフェーダーが動くのがなかなか面白い。一方通行ではなく双方向でコントロールできるのは秀逸。
平和精機工業/Libec
平和精機工業/Libecと言えば三脚メーカーのイメージだが、電子機器もリモートヘッドを始めとして様々な物をリリースしている。今回は、システムカメラに使用できるデマンドと大型VFの展示。デマンドはキヤノン・フジノン対応、大型VFはソニー・池上・日立製のカメラに対応する。価格は純正品に比べてかなり低価格。一度現場で使ってみたい。
アイ・ディー・エクス
バッテリーは純正品が一番と思っているが、社外品でIDXだけは別。やはり日本製は信用が置ける。そのIDXが作ったのがポータブル電源。「何を今更」的に思う方も多いと思うが、半固体リチウムイオン電池をベースに2008Whものパワーを出せるのは市場で見たことがない。
半固体電池を採用することで、今までの同容量ポタ電と比べると明らかに筐体は小さい。これなら小さめのビデオカートに積んで、電源レスでDITスペースを簡単に構築できるはずだ。
キヤノン
「UHD DIGISUPER 111」のエクステンダー部分に、Novel Lookができる光学レンズを入れることにより、浅い被写界深度ながらピントの幅が従来のF値に比べると広くなるという魔法のようなオプションパーツ。空いているエクステンダーに入れるだけなので、従来の映像を撮りつつ、ここぞという場面で切り替えができるのが特徴だ。詳しくは以下の映像を見てほしい。
またInter BEEで参考出品されていたカラーマッチングアプリが、製品として展示されていた。この色調調整機能は、現場でのセッティング時間短縮に大きな影響を与えるはずだ。
DPSJ
Salrayworksからは「N BOT」の出品。簡単に言えば、3kg以下でLANC制御ができるカメラなら機種を問わずPTZ化できるもの。POEにも対応しているので、本体の電源供給はLAN経由で可能。
ただの電動雲台と違う所は、HDMI信号をNDI変換させて送り出すことができる点だ。これにより遠隔操作と映像をLAN1本で圧送が可能になる。もちろん、カメラ本体にHDMIとSDIが装備されているなら、NDIとは別にSDIを引き回してSWに直接入力するのもありだ。
RAID
長距離伝送のマスト的存在のTeradekのRangerに後継機種が登場。現行のRangerでも十分に満足できる結果が得られているが、新たに4.9Ghz帯を使い、ほぼ遅延ゼロを実現した。この周波数帯だと免許が必要となってくるが、その分信頼性は高い。
また、より高機能なワイヤレスインカムHollyLand Solidcom H1の展示もあった。4グループにチャンネルを分けることができるので、演出と技術チームなど同じシステムの中で動くのは非常に使い勝手がいいはずだ。