Blackmagic Designの発表によると、アラスカ州のグレイシャーベイで行われた、国立公園局百周年記念式典のライブストリーミングおよびアーカイブ制作で、Blackmagic URSA Mini 4.6K、Blackmagic Micro Studio Camera 4K、Blackmagic Duplicator 4Kを含む同社製品が使用されたという。

国立公園局は1916年の設立以来、毎年2億7500万人以上が訪れるアメリカの国立公園の管理を担っており、2016年は国立公園局の設立百周年にあたり、アメリカ各地で特別イベントが行われた。フーナ・トリンギット族の先住の地、グレイシャーベイ国立公園で行われた式典もこの一つだ。

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国立公園局の百周年記念日に、同局と部族が共同で「Huna Tribal House」をオープンした。同施設は、250年以上前に氷河の進行によりグレイシャーベイを離れることを余儀なくされた部族すべてを象徴する場所として建てられ、トリンギット族の先祖がかつて住んだ地に戻ることができる集いの場を作り、部族の文化や価値観を、国立公園の訪問者と分かち合う場所の提供を目的としている。

Huna Tribal Houseでの式典はFacebook、YouTube、フーナー・インディアン協会のWebサイトでライブストリーミングされ、国立公園局のサイトにもリンクが掲載された。ライブストリーミングはStreamVuにより行われ、グレイシャーベイ国立公園内の自然を撮影したフッテージは、アーカイブのために4Kで撮影を行った。

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ビデオ制作は、プロデューサー/監督ジョン・ブルックス氏、撮影監督ロビン・チャーターズ氏、放送エンジニアのジム・トーテン氏が行った。撮影では、2台のBlackmagic URSA Mini 4.6K PLと、Blackmagic URSA Mini Shoulder Kit、5台のBlackmagic Micro Studio Camera 4K、2台のBlackmagic Micro Cinema Camera、5台のBlackmagic Video Assist 4K、2台のATEM 1 M/E Production Studio 4Kスイッチャー、1台のATEM 1 M/E Broadcast Panel、1台のTeranex 3D Processor、3台のTeranex Express、2台のTeranex Mini-SDI Distribution 12G、1台のSmart Videohub 20×20ルーター、1台のHyperDeck Studio 12G、1台のBlackmagic Duplicator 4Kに加え、多数のBlackmagic Designのモニターとコンバーターを使用した。

ライブストリーミングでは、イベントをあらゆる角度から撮影できるようにカメラをセットアップした。これには、リモートヘッドに接続した2台のBlackmagic Micro Cinema Cameraと、ワイヤレスRFスタビライザーに取り付けた1台のBlackmagic Micro Studio Camera 4Kをメインカメラとして使用し、カメラ、Teranex、再生ソースは、Smart Videohub 20×20ルーターに接続された。ここからすべての信号をモニター、レコーダー、ストリームエンコーダー、そしてライブスイッチングを行う上で重要なATEM 1 M/E Production Studio 4Kスイッチャーに配信した。

5台のBlackmagic Micro Studio Camera 4KにBlackmagic Video Assist 4Kを接続し、各カメラからの4Kマスターの収録を行われると同時に、ライブストリーミング用にカラーマッチした信号が送信され、Blackmagic Duplicator 4Kはイベントの生収録に使用された。過去にグレイシャーベイ国立公園でフィルム撮影を監督した経験をもつブルックス氏は、グレイシャーベイのような苛酷な気象条件の遠隔地での撮影は、簡単な作業ではないと語る。

ブルックス氏:アラスカへの機材運搬の手段と費用を考慮する必要があるだけでなく、スタッフと機材がその場の状況に合わせて臨機応変に対処できるように準備しておく必要があります。

機材のサイズと重量は最重要事項のひとつです。特にアラスカでの撮影では、十分に考慮する必要があることですね。そういった点で、Blackmagic Designの製品は、今回のマルチカム撮影と配信を行う上で適した機材でした。以前に遠隔地で同様の撮影をしたことがあるのですが、今回使ったBlackmagic Designの機材と比較して、その時のセットアップはサイズ・重量ともに軽く5倍はあったと思います。

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ライブストリーム以外に、Blackmagic URSA MiniとBlackmagic Micro Studio Camera 4Kは、グレイシャーベイ国立公園内の氷河、風景、インタビュー、手彫りのカヌーを漕ぐアメリカ先住民の姿などの文化紹介でも4K撮影にて使用された。国立公園局は、4Kでのアーカイブ映像を希望していたが、遠隔地であることからバンド幅に制限があり、4Kでの生放送は不可能だと制作チームは判断していた。そこで、多様なテストが重ねられ、Teranexの様々なモデルを使用して、4Kから1080pに信号をダウンコンバートし、720pでライブストリーミングを行った。チャーターズ氏は次のようにコメントしている。

チャーターズ氏:8時間に渡り生放送を行いました。それに加え、フッテージを撮影するためにグレイシャーベイ内を旅して回るのにも長い時間を費やしました。2つの役割を果たしてくれるカメラを使ったことで非常に助かりました。例えば、URSA Mini 4.6Kはシネマスタイルのカメラなので、屋外での撮影に向いているのに加え、ライブカメラとしてもとても優れています。

野生の動植物の撮影、ボート上での撮影、水辺での氷河の撮影、ライブストリーミングに全てを同じカメラで行いました。全てが完全に融合していて、カメラの優秀さには脱帽しました。Blackmagic URSA Mini 4.6Kを長時間使うことになったのですが、本当に美しい画像が撮れますね。