Inter BEE 2014 11月19日

ふるいちやすし

InterBEE始まりました。まぁ4Kでしょう。カメラも編集も回線までもキーワードは4K一色。そんな中、隣の会場でSONYが12K:2Kという巨大な映像をテスト上映している。とは言え、よくよく聞いてみると素材は4Kを精密アップコンバートしたもので、それを3台のプロジェクターで投射しているものらしい。なのでこれが12K映像だと言う事が果たしていえるのかどうかは微妙なところではあるのだが、なんとなく近い未来を暗示しているような感覚を覚えた。少なくとも地デジ化の時のように世の中、各家庭一斉にHDになるように、4K、8Kが義務づけられるような事にはならないのだろう。でもおそらく2年もすれば今“4K!”と叫ばれてるレベルで“8K!”が常識的になるのだろう。どこまでいくのだろう?どこで落ち着くのだろう?その答えは永遠に出ない。つまりアウトプット次第で必要な大きさが選ばれてゆくのだと思う。

今の映画館ではHDのBlu-rayでクレームが出た試しはないという。むしろはっきりしすぎて目が疲れるといった感想の方が多く耳にする。そもそも大きな映画館がこの先増えるのかどうかは疑問だ。HD、デジタル化の波に乗れず、多くの映画館が閉鎖に追い込まれた事は記憶に新しい。だとすれば、例えば巨大スタジアムでのコンサート映像か?どこまでも拡大できるオンデマンド放送か?つまり必要なところには必要ということだ。逆に言うと必要を感じない人は他の物を見ればいい。今年の私のテーマは“フィジカル&メンタル”。あれ?去年もそうだったかな?まぁ、とにかく今年も長屋が熱いわけですよ。特にスライダーとかジンバル、必ず触ってみよう。画質とは関係ない“いかす画”が撮れる気になってきますよ!!

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手塚一佳

今年のInterBEEは、解像度よりも色だ!オタク社長的InterBEE2014の見所は、なんといっても、カラーグレーディングやそれを支えるRAW、LogなどのHDR収録ファイルの充実、さらにはライトやフィルターなど、豊かな色味を収録するための様々な道具の充実であろう。単に解像度を競い合っていた昨年度に比べて、実際にその高解像度の中でどうした画作りをして行くかという点に重点が置かれたため、より、現実的になったと言うことが出来る。

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今年のInterBEEの見所は、高解像度映像における色だ!会場は昨年とは比較にならない盛り上がりを見せた

まず、私のお勧めする基準点は、やはりARRIとRED Digital Cinemaだ。ARRIは言わずと知れた映画のデファクトスタンダードだし、REDは映画のデジタル化の最先端である。ARRIは、新型ARRI ALEXA 65で6Kという高解像度を見せただけでは無く、ライトからレンズ、RIG、そして2K ENGカメラのAMIRAなど、トータルでの画質向上を目指した全般的な映像システムでその地位を確固たるものにしている。それに対してREDはDragonセンサーに付けるローパスフィルタに選択肢を与え、そもそも撮れる画質そのものを変えてしまうという手に出てきた。こうした工夫も、色をより多く捉えるためのものだと言える。

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何といっても、カメラ内グレーディングに始まるVARICAM 35の色環境の充実には注目したい

さらに注目すべきはPanasonicのVARICAM 35だ。インカメラグレーディングを売りにする同カメラの周辺環境もいよいよ整ってきており、中でも、DaVinci Resolveへのネイティブ対応や、同社製一眼カメラAG-GH4への搭載が噂されているV LUTを通じて、あらゆる環境を通じて、VARICAM 35カメラでの収録時の色情報を、サブカメラまで含めた全てのワークフローに共通化させることに成功している。これは、映像における色の概念そのものの大きな変革だと言えるだろう。とにかく、まずは、こうしたハイエンド環境での「色」に注目して欲しい。

また、そうした撮影を支える特機の充実も特徴で、中でも、今流行りの無人機ドローンはPRODRONEが電撃的に発表した訓練や保険付きのトータルコーディネイトシステムが特徴だ。

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PRODRONEは、単に無線ドローンを売るのでは無く、訓練も含めたトータルパッケージを売りにしている

ヒマナイヌ

InterBEE2014でライブ配信の新製品の注目はやはり「TriCaster Mini」だろう。スイッチング、バーチャルセット、モーショングラフィック、配信に加え、マルチチャンネルレコーディングまでこなす業務用ライブ配信機器として多くの現場で実績のあるシリーズがぐっと手が届く価格に降りてきた。入力はHDMIの4系統のみだが4chマルチレックをはじめとした機能は400シリーズと同等で習熟すれば、テレビクオリティの番組オペレーションが可能になる。サイズも小さく百科事典1冊程度の大きさで持ち運びも簡単だ。専用のコントロールパネルも付属し、その感触も上位機種と変わらない。用意するべきものは他にモニターだけの手軽さ。

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TriCasterは番組進行に合わせて素材を緻密に仕込みオペレーションするのが理想だがツインモニターにすることで基本操作を1人が担当し、もう1人がマウスとキーボードで動画を頭出ししたり、タイトルの文字を変更したりなどの同時進行も可能だ。マクロを組めるので複数の動画とタイトルのフェードイン・フェードアウトなどを組み、ライブ配信開始前などに広告や関連動画を再生する時などに使える。オーディオミキサーも内蔵されておりHDMIの音声のミキシング、オーディオフォローはもとより外部音声入力とのミックスや各チャンネルのコンプレッサーや音質調整なども細かく出来る。

マルチチャンネルレコーディングは4chに対応しプログラムアウト、クリーンフィード、これに加えカメラのパラレックを2ch同時に録画可能。4台分の外部HDレコーダーと同じ働きをしてくれる。ライブスイッチングの素材をベースにあとで編集するための素材としても4種類の素材があれば心強い。今回12月25日までの予約に限り、キャリーバッグがついた特別なTriCaster Miniキットが128万で用意されているとのこと。完成度の高いライブ番組を配信したい個人やサークル、教育機関、中小企業の人は検討してみてはどうだろうか?

岡英史
スタートはSONY

今年も始まった放送機器最大の祭典であるInterBEE。2014年の締めくくりでもあり、同時に次年度の方向性の一端を垣間見ることが出来るイベントである。

いつもの如くスタートはSONYから始まった。毎年一発目はSONYプレスカンファレンスからのスタート。ここで毎年SBSC社長から新製品の発表がある訳だが、今年は既に10月後半で色々な機器が出てしまっているので期待は薄い半分、もしかしたら?と言う相反する期待もあったが、結果は良くも悪くも全部出ている機材の発表のみ。唯一、新A帯ワイヤレスが稼働製品のお披露目となった。しかしながら同社のカメラはもちろん魅力的だ。

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ハンドヘルド4K PXW-Z100

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来年には4Kが期待されるPXW-X70

           
4Kビヨンド
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4KショルダーPXW-FS7

F55等のハイエンド機は別にして、ようやく4Kがミドルレンジにも降りてきた感が大きくなった今回のSONYブース。昨年発表された4KハンドヘルドZ100は今までのXAVC-Intraだけでなく今回のバージョンアップによりXAVC-Longがフォーマットに加わった。

この事で64GBで10分ちょっとしか録画できなかった物が50分強収録が出来る様になった。また既に民生機として4K収録できているAX100の業務版、PXW-X70はまだHDのみだがXAVC-Lの収録が可能、来年の4K収録アップデート待ちと言うことになる。

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ショルダーマウントを装着したフルパッケージ版

今回の目玉でもある、業務用ショルダー型4KカメラPXW-FS7。筆者も3本ほどDEMOリールを撮っているが、このカメラの一番の特徴は普通と言うこと。つまり特に身構えることなく撮れてしまうカメラ。元々SONYのショルダー型カメラを扱ってる方ならスイッチの配置やメニュー階層まで大きく変更は無い為にアウトライン的な設定は出来てしまう。4K収録もさることながらHDサイズなら24Pで10倍速のHSが可能となっている。

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F55に純正のショルダーKITをインストール。完全に制作よりのカメラがENGよりでの運用が可能になった

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収録したら4Kそのままでモニタリングしたいもの。有機EL 4Kモニターの展示と、SxSカードを媒体にプレイヤーの展示が在る。このプレーヤーはHDMIアウトとBNC4本束での接続が可能となる為に各々の環境に沿ったものが安価で入手可能となった。

新周波数帯

最後は来年度から順次変更になってくる新A帯のワイヤレス。この機器に関しては業務用途も放送用途も全く変わらない為に、特に放送曲での入れ替わりが相当数になるものの、この分野も今まではPanasonicだったが今回の発表で選択肢がふえた。

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デジタルワイヤレスになった事による遅延を気にする方も居るが、正直遅延はA/D変換を通す為にしょうがない。しかし、その遅延レベルは最大1.5msecという非常に小さい物。因みにこれがどの位の距離かというと大体50cm程度。つまり隣で歩きながらの会話がその距離に当たるが、これを遅延で我慢出来ないと言うのは驚くほど耳が良い感じだ。

総評
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今回のSONYブースの目玉はやはり新A帯の実機搭載だろう。と同時に4Kフローの色々な可能性を示唆している所も忘れてはいけないが!

江口靖二

InterBEE50周年を契機に、今年から新たに企画されたのが「InterBEE Connected」という併設イベントである。いうまでもなく、InterBEEは放送機器展であり、その50年にわたる歴史は、まさに日本の放送の歴史そのものである。一方でここ数年の放送を取り巻く環境の変化は、デジタル、インターネットなど、これまでの50年にも匹敵する、いやそれ以上のインパクトを業界にもたらそうとしている。InterBEEが日本の放送の中で極めて重要なものであればあるだけ、こうした環境変化にも柔軟に対応する、いや業界をリードする存在である必要がある。こういった視点から、機器展の中にあえて機器には言及しない、サービスやビジネスの議論や展示を行う場がInterBEE Connectedなのである。3日間に渡るセッションは今までのInterBEEでは見られないようなネット配信やソーシャルメディアとの連携、セカンドスクリーン、ローカル局の未来などといった、いま一番ホットなテーマが並んだ。展示ブースにはテレビ局の新しい試みや、クラウドサービスといったこれまでのInterBEEではカバーしきれなかった企業が展示を行った。InterBEEはこれからも放送の、映像の世界をリードする存在であり続けるに違いないことを確信した。

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山下ミカ

PRONEWSさんでInterBEE配信に参加させていただいて早3年目。映像に関して、まだまだ勉強中ではあるので、このInterBEEは非常に貴重な機会の一つ。今年は50年目というアニバーサリーイヤー。会場も広くなり、より盛り上がりが期待できそうで、とても大きな節目に参加させていただくことができた。

また、今回はPRONEWSmagという特別冊子も出された。「4K/8Kはクリエイティブに何をもたらすのか?」をテーマに様々な方へのインタビューや記事があり、大変読み応えのあるものになっている(手前味噌ながら、コラムを書かせていただきました…)。

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今年はなんといっても、昨年から続くキーワードともいえる4Kと8K。各ブースでは4K対応のカメラやレコーダー、ディスプレイなど非常に多く展示されていた。また、SONYの4K大型ビジョンでは、多くの人が足を停め、美しい4Kの映像に魅入っていた。個人的には、8Kでねぶた祭りの様子を撮影された映像があり、非常に立体的に見え、祭りの雰囲気がそのまま伝わってくるような凄さがとても印象的だった。出口調査もその日にさせていただいたが、4K、8Kの話はかなりの割合で出て来ており、また、これからのものでもあるため、今後についてもまだ思案されている方も多いようだった。これからの4K、8Kで何をどんな風に伝えていけるだろう?コンテンツを4K、8Kで表現することでお客さまに喜んでいただける何かをこれから制作、観られるかもしれないというのはとても楽しみだ。

番組表


[Inter BEE 2014の歩き方.tvデイリーレポート] Day02