業務用ビデオカメラの世界にもメモリーカードで記録できるカメラが増えてきましたが、コンパクトフラッシュやSDカードに「133倍速」や「×133」といった表記をよく見かけます
当然数字が大きな方が高速な書き込み・読み出しができると、誰もが漠然と分かっているんですが、この数字いったい何なんでしょう。
そもそもこの倍速表記は、CD-ROMドライブの等速転送速度150KB/s(秒速150キロバイト)が基準となっています。この150KB/sに対して、何倍の速さで読み書きできるかが、「**倍速」や「×**」なのです。
ですから、たとえば「133倍速」と謳われているメモリーカードでは、150KB/s × 133 = 19,950KB/s ≒
20MB/sの読み書き速度を持っていることを表しています。
ところが、注意する点もあります。
この倍速表記は、あくまで理論値であって、その表記に絶対的な保証を持っている訳ではないのです。連続したデータを読み書きしている間のある瞬間に出た最大値をもって、「**倍速」と表記していることもあるのです。つまり表記された「**倍速」の転送速度を、購入したメモリーカードが使用環境や機器によっては下回る場合もあるということなのです。メモリーカードで記録するビデオカメラでこのような製品を使用する場合には、特に注意が必要です。ビデオの場合は、記録中は止め処なく一定量のデータがメモリーカードに書き込まれていきます。いくら、メモリーカードの速度表記が高速だったとしても、一瞬の最大値だけが高速なメモリーカードだったりすれば、不意に転送エラーが出ないとは言い切れません。
特にメモリーカードの市場相場は同じ容量の製品でも、メーカーによって大きな開きがあります。16GBのメモリーカードが数千円で買えるメーカーのものもあれば、数万円するメーカーもあります。
こういった製品の違いはやはりその記録速度の精度に如実に出てきます。
たとえば、コンパクトフラッシュの場合、PC系のショップなどで多く見かけるTranscend社の300倍速 8GBのものが9,000円程度で購入できますが、製品仕様には、「データ転送速度: 21.5MB/秒(最大)
注記: 弊社独自の測定環境において測定結果を元に表記している最大値であり、全ての環境における速度や、他製品・他社製品との速度差を保証するものではございません。 」といったような表記があります。
一方、SONYの業務用に販売されている306倍速の8GBコンパクトフラッシュは、40,000円超とその差は5倍近く。しかし、製品紹介には、「データ転送速度(書込み速度=46MB/s、読み出し速度=44MB/s)の全数検査を実施しているため、安定したパフォーマンスを保証いたします。」といった表記で、安定した映像記録に使用できる点をアピールしています。
何度でも取り直しが出来るシチュエーションなら、安いメモリーカードでも構わないでしょう。でも一度しかない大切な撮影に貴方は安いメディアで冒険しますか?それとも安心を選びますか?