Inter BEE 2009 2日目である。昨日から雨が続いているが、人の出足は多いと感じられる。様々なカメラのアプローチから、その素材を取り扱う事が取り沙汰されるが、少しノンリニア編集について考えてみたい。しかしながらInter BEE 2009でのノンリニア編集システムでの話題は、大きなトピックは少なかった。NAB Show以降のバージョンアップ製品が国内でお披露目となったという状況で、既にバージョンアップが行なわれている製品だけに、派手な新製品デモは見当たらなかったという印象だ。
その中でも、目新しいことといえば、オートデスク。これまで、フィニッシング製品を中心にLinux版の製品ラインアップを揃えてきたが、今回初めてエディティング製品Smoke for Macのテクノロジープレビューを行なった。昨年夏以降、北米市場でもローバジェットな制作が増えてきており、低価格な制作ツールで制作したことによるクリエイティビティの落ち込みの声もあり、高品質な制作が行なえるエディティングシステムとして、開発を進めていくことにしたようだ。
さて、対応機器の幅を広げる取り組みをしていたのは、トムソン・カノープス。最新版のEDIUS Neo 2 Boosterにおいて、AVCHD素材のプレビューやスクラブ再生での応答性の良さに対して関心が高まってきているようだ。これは番組に応募される視聴者投稿ムービーがAVCHD素材ベースのものが増えていることが背景にあるようで、AVCHD素材のレスポンス改善が望まれていたということの証でもある。深夜番組で芸能人が扱うハンディカメラが小型HDVカメラレコーダーへと回帰していたことでも、AVCHD素材の扱いが一苦労するということがわかるだろう。
EDIUS Neo 2 Boosterでの取り組みは、各社のデジタル一眼レフカメラが扱う動画への対応も強化している。解像度720のAVCHD Liteはもちろん、ニコンのモーションJPEG、キヤノンのH.264+リニアPCMについても対応し、ソフトウェア内でフレームレート処理を行なうことで、特別な変換を行うことなくタイムライン上で扱えるようにしているという。EDIUS Neo 2 Boosterは誰もが気軽に編集できるようにするノンリニアエントリー製品でもあることから、こうした気遣いが必要なのだが、30pと29.97pの違いで生じる尺長のズレに悩まされるケースも多いだけにありがたい機能と言える。
プロ向けノンリニア編集ソフトでは、AVC-Intra 100などのハイビットレートI-Frameコーデックや4KネイティブファイルのREDCODE RAWといったハイエンドカメラコーデックへの対応に注目が集まるのは、周知のことだ。民生機などの取り扱われるフォーマットやコーデックは、ほとんど無視されてきたと言ってもいい。しかし、プロが扱う製品だからこそ、民生で使われているAVCHDコーデックやデジタル一眼レフムービーが、ストレスなく扱える製品を、現場は求めていたのではないだろうかと感じた。