7月1、 2日の両日、東京都大田区南雪谷のアストロデザイン本社ビルにおいて、同社の開発した新技術や最新製品を一同に展示した「ASTRODESIGN PRIVATE SHOW 2009」が開催された。6階と7階ではモニターや計測機器、3Dシステムや4K/8K機器などが、2階の4Kシアターでは、4K カメラAH-4410で撮影された沖縄座間味島における水中映像が展示された。
今回新製品として披露されたのは、4K カメラAH-4410、4K SSDレコーダーHR-7512、HD SSDレコーダーHR-7502、ウェーブフォームモニターWM-3202、WM-3204、WM-3217、フレキシブルスキャンコンバーターSC-2465A、ワンセグ変調器CT-5901、HDMIプロトコルアナライザーVA-1831などで、同社が力を入れている3Dや4Kシステムやモニター、測定機器など最新のシステムだ。
4Kカメラシステム
1.25インチ890万画素(有効画素数3840 x 2160)の高解像度CMOSイメージセンサを採用した単板式4K カメラヘッドAH-4410。レンズマウントはニコンFマウントを採用しているが、PLマウントへの対応も検討しているという。ただし、現状では赤外線カットのフィルターしか装備されていないので、制作用のカメラとして利用するには水晶フィルターの装備やプロセッサー、コントロール系などの見直しが必要になるだろう。
カメラとプロセッサー(AP-4411)間は光ケーブルと専用制御ケーブルで接続。最大100mまで延長可能。カメラプロセッサーからSDI DUAL LINK信号(1080/59.94p)に変換、出力される
カメラのコントロールは専用アプリケーションソフトでPCより操作する
4K伝送システム
4KカメラAH-4410による監視カメラシステムのデモンストレーション。AH-4410はこうした監視システムやテレビ会議用に開発されたシステムだ。
4KカメラAH-4410の映像をIP伝送するためのシステムデモンストレーション。AH-4410からのHD-SDI Dual Link信号をフレキシブルスキャンコンバーターSC-2055Bにより4系統のHD-SDI信号に変換。それをCD-5530でH.264にエンコードエンコードしてTSマルチプレクサCX-5528でIP伝送するというもの。4系統の信号は同期が取れた状態で伝送可能なので、3D映像の伝送へも応用できる。
受信側はH.264デコーダー4台でSinge LinkのHD-SDI信号に変換され、4K2KモニターDM-3410に表示される。
4K収録システム
HD-SDI Dual Linkで約80分の録画が可能な4K SSDビデオレコーダーHR-7512。3840×2160 12bit 4:4:4 59.94pで約10分の記録が可能。出力は、HD-SDI、Dual Link DVI/HDMIから選択ができ、4K映像信号を非圧縮で録画・再生することが可能。HR-7512を4台同期運転することでフルスペック8K映像信号の録画・再生も可能。
4K カメラAH-4410用の水中ブリンプ。沖縄座間味島における水中映像の撮影で使用された。
QFHDリアル10bit液晶パネルを採用した4K×2K 56インチ液晶モニターDM-3410。入力は、HD-SDI (Single/Dual Link)とDVI-D入力に対応しており、輝度や色温度、ガンマなどの変更が可能。
3Dシステム
撮影から記録、伝送まで3Dシステムフローを紹介
フルHD3DカメラSHVC-03SG(左)と3D無線伝送システム(右)
双眼鏡タイプの3Dビュアー。メガネなしで立体視できるので、屋外などでビューファインダーがわりに使えそう
24型3DモニターSM-3324。サイドバイサイド、フィールドシーケンシャル、ラインバイライン方式に対応した円偏光タイプの3Dモニター
ポータブルHDレコーダー
交換可能なSSDパックを採用したHDレコーダーHR-7502。映像確認および設定用のLCDモニターを装備しているほか、裏面にVマウントバッテリーマウントを装備しておりバッテリーオペレーションが可能。1080i/60で47分、1080p/60で24分の記録ができるほか、2048×1080のデジタルシネマフォーマットにも対応している。
HR-7502は、HD-SDI Dual Link入力に対応した非圧縮ポータブルHDレコーダー。RS-422によるコントロールやゲンロック、e-SATAインターフェースなどを装備している。
HR-7502のSSDパックをPC接続するためのSSDフラッシュディスクアダプターIM-1502。これにより。SSDパックに記録されたDPXやBWFファイルフォーマットのデーターをPCで直接読み込み可能になる。
モニター
Vマウントタイプ 5インチワイド液晶モニターDM-3105-B。HD/SD-SDI×2入力とアナログコンポジット×1入力を標準装備しているほか、タイムコード、オーディオレベル、簡易波形(Y信号)、簡易ベクトル(SDI入力時)表示が可能。対応フォーマットは1920×1080、1280×720、720×525、720×625で、基本性能はDM-3105と同じ。コネクターの配置を左サイドに、Vマウントバッテリーに標準対応した。
VE卓向け HD17インチ液晶マルチモニターWM-3204。最大4系統(2入力×4系統)のHD/SD-SDI映像信号のピクチャー、波形、ベクトルを1画面に表示することができるマルチモニター。ピクチャーや波形を自由な大きな・位置に表示ができるほか、CCUやスイッチャーと連動してアイリス、カメラ名、素材名を表示する事が可能。
ポスプロ向け波形モニターWM-3202。最大2系統の映像信号のピクチャー、波形、ベクトル、ヒストグラムを画面の自由な位置に表示可能なモニター。違うシーンの2つの映像を比較することができるほか、精度の高いヒストグラム表示や色再現領域表示機能など、ポスプロ作業に必要な機能を搭載している。
マスター送出監視向け波形モニターWM-3217。映像、波形、ベクトル、音声に加え、アンシラリー(局間制御信号、字幕信号、CMキャッチ信号等)の同時監視を実現しているほか、映像、波形などを同時に表示できるマルチ表示機能も備えている。
オーディオモニターAM-3800。3G/HD/SD-SDI信号のエンベデットオーディオをモニタリングすることができる。エンベデットオーディオを分離し、スピーカで同時にL/Rのモニタリングが可能なほか、5.1ch音声のダウンミックスのモニタリングも可能。
AM-3800はVUメーター、PEAKメーター、音声レベルメーター、位相表示、スペクトラムアナライザー、入力映像表示、 dB表示など豊富な表示に対応している。
測定機器など
デジタルワンセグ変調器CT-5901。館内放送やイベント等限られた範囲でワンセグ放送を行うことができる。miniSDメモリーカードに保存したコンテンツなどを実際に放送していた。
センサーの色補正技術の紹介。メモリーの容量が多く必要な3D LUTを少ないメモリーで実現する技術で、Y信号の非線形補正を少なくし2D LUTとしたもの。
HDMIプロトコルアナライザーVA-1831。HDMI1.4aに対応したプロトコルアナライザーで、VA-1809Aにスルーモードやジェネレートモードなどに機能が追加された。これにより、HDMI機器開発や設計、メンテナンスなどの効率アップなどが可能となる。