ソニーNAB出品のNXCAM2機種を披露

先日開催されたNAB2011では、魅力的な新商品を多くリリースしてきたソニー。PRONEWSでも多く伝えてきた。さらに中でももう少し見てみたいという声が多かったのが、この2機種だ。スーパー35mm相当単板CMOSイメージセンサー搭載NEX-FS100Jと防滴仕様NXCAMカムコーダーHXR-NX70Jだ。いずれも去る3月23日に発表されたもので、NAB直前にNXCAM新製品ということで、少し触ってきた。その際のインプレッションをお伝えしたい。

筐体に特徴のあるNEX-FS100J

NEX-FS100Jは昨年のInterBEEでモックアップとして発表したカメラで、PMW-F3と同等なスーパー35mm相当のセンサーを搭載し、レンズマウントはNEX-VG10と同じEマウントを採用している。このため、すでに発売されているEマウントのレンズやマウントアダプターにより、スチルカメラ用のαマウントレンズを使用することができる。

ソニーでは、スーパー35mm相当のセンサーを搭載したカメラとしてF35、SRW-9000PL、PMW-F3をすでに発売しているが、NEX-FS100Jの登場によりスーパー35mm相当のセンサーによるフィルムカメラと同様の浅い被写界深度での撮影をがより身近になったといえる。

記録方式は、MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD規格となっているが、1920×1080/60pが独自規格として搭載されている。この記録モードは民生機として先に発売となっているHDR-CX700V やHDR-CX180、パナソニックのHDC-TM700なども採用しており、今後AVCHDの正式規格となるものと思われる。

NEX_FS_0903.jpg

外観はボックス型の筐体にレンズマウントが付いたような格好

外観はボックス型の筐体にレンズマウントが付いたような格好をしており、ボディだけを見ると測定用のカメラかレコーダーのようである。LCDモニターも昨年のInterBEEではサイドにあったが、上部に位置している。一般のビデオカメラやデジタル一眼のような構え方ではなく、ハッセルブラッドやマミヤ、ブロニカといったブローニーフィルム一眼レフカメラのようにウエストレベルでの撮影スタイルだとホールディングも良くシックリくるのだが、目線より下からの撮影になるので、賛否両論ありそうである。

NEX_FS_0906.jpg

本体上部に3/8ネジ穴が2個、底部には三脚とは別に4個のネジ穴が用意されている

デジタル一眼でもビデオカメラでもそうだが、シネスタイルでの撮影用に各社から様々なアクセサリーが発売されているが、こうしたアクセサリーと組み合わせて使う上で便利なように本体上部に3/8ネジ穴が2個、底部には三脚とは別に4個のネジ穴が用意されている。ユーザーの撮影スタイルに応じてアクセサリーを組み合わせて使用する上での利便性が高く、この点も今までのビデオカメラやデジタル一眼と一線を画す部分だ。

NEX_FS_0956.jpg

AVCHD規格となっているが、1920×1080/60pが独自規格として搭載されている

撮像素子は約353万画素(16:9約337万画素、4:3約253万画素)の単板CMOSイメージセンサーを採用しており、スーパー35mm相当のサイズなので、画素の面積が大きくその分感度が高くSNも良い。

操作系は、LCDモニターがタッチパネル式になっており、各種設定は主にここで行うようになっている。操作系のスイッチやボタン類はところ狭しと配置されているが、基本的に1ボタン1機能なので操作性は良い。そのうちのいくつかはユーザーが自由にアサインできるようになっている。記録媒体は、フラッシュメモリーユニットHXR-FMU128とメモリースティック/SDHC兼用のスロットがあり、同時記録にも対応している。

NEX_FS_0890.jpg

ボディだけを見ると測定用のカメラかレコーダーのようだ。LCDは回転可能

主な仕様
2011年5月13日改訂

  • 撮像素子:スーパー35mm相当 単板(”Exmor” Super35 CMOSセンサー)
  • 総画素数:約353万画素
  • 記録方式:MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD規格準拠(1920×1080/60pのみ独自規格)
  • 音声記録方式:リニアPCM 2ch(48kHz 16ビット)(HD画質のみ)、ドルビーデジタル 2ch(48kHz 16ビット)
  • 記録モード:PS…最大28Mbps:1920×1080/60p。FX…最大24Mbps:1920×1080/60i,30p,24p、1280×720/60p。FH…約17Mbps(平均):1920×1080/60i,30p,24p 1280×720/60p。HQ…約9Mbps(平均):1440×1080/60i。LP…約5Mbps(平均):1440×1080/60i
  • 電源:DC7.2V(バッテリーパック使用時)5.6W(付属マイクECM-XM1/液晶画面使用時、明るさ標準)
  • 外形寸法:約126.5×101.5×193.5mm(本体のみ)
  • 本体質量:約1.04kg
  • 価格:690,900円(NEX-FS100JK、11倍ズームレンズSEL18200付属)、627,900円(NEX-FS100J、本体)
  • 発売:2011年5月25日

防滴仕様のHXR-NX70J

HXRNX70_0934.jpg

防滴仕様のため、バッテリーは本体内部に装着するようになっている

HXR-NX70Jは、多少の雨や砂ホコリの多いところでもレインカバーなどなしで撮影できるような防滴仕様(JIS/IEC保護等級IP54)となっており、ニュースやドキュメンタリーなどの撮影に適した仕様となっている。水や埃の侵入口となる各端子にはキャップが付いており、蓋の部分にはOリングのようなシリコンゴム状のシーリングが施されている。ただし、キヤノンコネクターやオーディオボリュームなどが装備されたグリップは防滴仕様にはなっていないので、グリップ装着時は注意したい。

HXRNX70_0870.jpg
本体内に96GBのメモリーを内蔵している他、メモリースティック/SDHC兼用のスロットが装備されている

記録媒体は、本体内に96GBの内蔵メモリーを装備している他、メモリースティック/SDHC兼用のスロットが装備されているが同時記録には対応していない。なお、NEX-FS100J 同様1920×1080/60pが独自規格として搭載されている。

撮像素子には「裏面照射技術」を採用した1/2.88型”Exmor R”CMOSセンサーを搭載しており、従来型のセンサーと比較して1画素の面積を広くするクリアビッド配列を採用することで、最低被写体照度3lxでの撮影にも対応可能よしている(Low Luxモード時、1/30秒)

手ぶれ補正は、従来の縦・横の2方向(スタンダードモード)の手ぶれ補正に加えて、電子式補正により回転方向のブレも補正する「アクティブモード」を搭載。スタンダードモード時に比べてワイド端で約10倍、テレ端では約2倍の補正効果を実現している。

HXRNX70_0953.jpg

LCD表示部分。メニューなどタッチパネル式で操作可能

なお、アイリス/ゲイン/シャッタースピード/ホワイトバランスのマニュアル調整が可能となっている。 GPS機能も搭載しているので、原野などでの動物の生態記録や災害時の記録、ロケハンなど様々な用途で使うことができそうだ。

主な仕様
2011年5月13日改訂

  • 撮像素子:クリアビッド配列 1/2.88型 “Exmor R”CMOSセンサー
  • 総画素数:約665万画素
  • レンズ:3.8~38mm 10倍ズームF1.8~3.4、約14倍(エクステンデッド)、120倍(デジタル)
  •     
  • カメラ換算26.3~263mm(16:9)、同32.2~322mm(4:3)。フィルター径37mm
  • 記録方式: MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD規格準拠(1080/60p:独自規格)、SD画質MPEG-2 PS
  • 音声記録方式:リニアPCM 2ch(48kHz 16ビット)(HD画質のみ)。ドルビーデジタル 2ch(48kHz 16ビット)
  • 記録モード:PS最大28Mbps/1920×1080/60p/16:9、FX…最大24Mbps/1920×1080/60i,24p/16:9、FH約17Mbps(平均)/1920×1080/60i,24p/16:9、HQ約9Mbps(平均)/1440×1080/60i/16:9、LP…約 5Mbps(平均)/1440×1080/60i/16:9
  • 電源:DC6.8V(バッテリーパック使用時)3.6W(XLRアダプター、付属マイクECM-XM1、ファインダー使用時)
  • 外形寸法:約135×174×384.5mm(フード、アイカップ、バッテリー、マイク、XLRアダプター含)
  • 本体質量:約840g(フード、アイカップ含む)
  • 価格:330,750円
  • 発売:2011年5月25日
  •     

WRITER PROFILE

稲田出

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。