デジタルサイネージジャパン 2011が見せる新しい世界とは?
6月8~10日の3日間千葉幕張メッセにおいてInterop Tokyo 2011、IMC Tokyo 2011、デジタルサイネージジャパン 2011(DSJ 2011)が開催された。通信と放送の融合は10年ほど前から言われていたが、7月のアナログ完全停波によるデジタル放送への移行により、その勢いは更に加速しそうだ。
ワンセグやスマートホンなどのインフラの充実は、既存の放送電波や携帯電話網にとらわれないWiFiなどワイヤレス通信網の発達により、新たなリッチメディアとして今後の成り行きが注目される分野だ。また、中でもデジタルサイネージが注目だ。デジタルサイネージも既存のポスターや看板などとの置き換えにとどまらず、放送や通信との融合によりインタラクティブ性を取り入れ、大画面を生かした高精細化や3Dなど様々な取り組みがなされている。コンピュターや通信網に表現力を加えたらどうなるのか。それを具現化したのが昨今のデジタルサイネージといえるだろう。その活用の範囲は公共施設や交通機関は言うに及ばず、携帯電話やタブレットPCなど情報が映像や音声を伴って伝達できる手段をもつものであればほとんどすべてが対象となる。映画のマイノリティ・リポートで登場したデジタルサイネージの世界は、絵空事ではなく既に現実として始まっているといえよう。
アールエス
アールエスはアミューズメント業界から2007年にデジタルサイネージ事業に参入したということもあり、インタラクティブに遊べる要素のある「まじゾウ」のようなものやネットを介さないローコストなスタンドアローンタイプなどを出品。
体感型デジタルサイネージシステム「まじゾウ」。カメラが搭載されており、写った人のアクションで遊べる要素をもったデジタルサイネージシステム。
バーなどのメニュータイプのデジタルサイネージシステムDIGITAL FACE。普段はプロモーション映像が流れているが人が近づくとメニューを表示(バリュープロモーション)。
アスク
アスクはATIのグラフィックチップを搭載したACUBE社のディスプレーカードによるビデオウォールやデジタルサイネージ向けのソリューションを出展。
1枚のグラフィックカードで3から6画面出力可能なAMDのGPUを搭載したFireProシリーズ。
DisplayPortから3つの画面出力ができるアダプターを参考出品。最大1280×1024のレゾリューションで3画面を60Hzで出力できる。
アストロデザイン株式会社
ビデオカメラや各種測定器など様々な映像機器を手がけるアストロデザインだが、デジタルサイネージ向けの製品として、メディアインテグレーターMI-2100やマルチメディアスキャンコンバーターMC-2075、フレキシブルスキャンコンバーターSC-2067などの新製品を出品した。
フレキシブルスキャンコンバーターSC-2067。RGB、コンポーネントYPbPr/Y(R-Y)(B-Y)、コンポジットVBSのアナログのほか、DVI-DやHDMI、SD-SDI、3G-SDIなどのデジタル信号など幅広く対応。
メディアインテグレーターMI-2100。スキャンコンバーター機能やコンテンツの不正コピーを防止する著作権保護技術HDCPにも対応したデジタルマトリックススイッチャー。最大68chの入出力に対応しており、運用タイムスケジュール機能や入力チャンネル毎のOSD表示なども可能だ。
アルファジャパン
高輝度屋外型デジタルサイネージを展示。屋外型サイネージ利用による自治体をはじめとする地域情報・災害発生時情報ネットワークの構築提案、地域振興・観光促進をねらいとしたネットショップコンテンツ連携などを出展。
ディスプレー表示されている映像情報に関連する詳細情報を紙媒体出力するプリント連動型やタッチパネルサイネージ、ネットショップ連動サービス、スマートフォン連動サービスなどを出品。
ITTOCAN
4面マルチディスプレーを使用したREACT。人の動きに反応して浮遊しているバルーンにキャラクター画像やロゴ画像などの画像を表示可能。表示されているバルーンは跳ねたり、割れたりして視覚効果を高めている。
NTTグループ
Interop TokyoのNTTコミュニケーションブースとは別にこちらにも出展。規模や用途に応じて選択できるデジタルサイネージサービス「ひかりサイネージ」やデジタルサイネージ用Androidアプリ「ひかりサイネージLite」のほかメディアプレーヤーを搭載したネットワーク対応型ディスプレー、携帯電話連携サイネージなどを出品。
参考出展のメディアプレーヤー内蔵のネットワーク対応型23型ワイド液晶ディスプレーVIDEO AMART。
参考出品の携帯電話連携サイネージ。携帯電話からの音声ガイダンスを利用した双方向サービスを実現。
株式会社構造計画研究所
カメラセンサーを活用した行動計測や属性推定、場の空間を計る技術やARなどの表現処理、計測されたデータを活用するレコメンデーション技術などを応用したサイネージシステムの提案を展開。
カメラが捕らえた顔を元に個人認証や性別、年齢などを認識する技術デモ。
光文堂
印刷機材を扱う商社だが、ポスターなどの印刷媒体からデジタルサイネージシステムも手がける。タッチ式デジタルサイネージTOUCHENGEやモーションキャプチャーを利用したインタラクティブなサイネージシステムなどを出展。
光和コンピューター
光和コンピューター、ニッセン、オールが共同提供するデジタルサイネージを核とした店頭支援サービス。タッチパネルで服装を選ぶと、画面内のキャラクターが着替えるバーチャルコーデ、書店用サイネージほんやチャンネル×PiTSPOT、音で情報伝達するINFOSOUND~サウンドサイネージのほか、サイネージ配信・編集ソフトウェアirodoriなどを出品。
シャープ
シャープは高輝度大画面で液晶パネルの目地が目立たないインフォメーションディスプレーi3wallをふんだんに使ったブースを設営。通路の目立つ位置ということもあるが迫力のある展示を行った。他にも32v型薄型ディスプレーやクラウド型サイネージ配信サービス、タッチパネル一体型インフォメーションディスプレーなど液晶のシャープらしい出展を展開していた。
LEDバックライトの採用により高輝度かつ低消費電力のi3wall。組み合わせたときの目地が6.5mmで目立たない。
タッチパネル一体型ディスプレー。デジタルサイネージシステムのほか、電子黒板としての応用も可能
セガ
男性トイレ用のおもしろ電子POPトイレッツを全面にPR。既存のトイレに取り付け可能で画面はUSBメモリーで簡単に入れ替え可能なほか、スピードセンサーによりおしっこの量が計れたり、おしっこ落書き洗い流しゲームなどを搭載可能。男子トイレ専用でイス型の洋式便座用はないので、残念ながら女性は利用できない。
セガブース近くの会場のトイレに設置されたセガのトイレッツ。実際に利用してみたが、これにより駅のトイレとかで利用マナーの向上につながるかも。
田中印刷所
3D動画コンテンツの制作会社がその技術を生かしてバーチャルマネキンを制作。人型に切り抜いたアクリル板にリアプロジェクションフィルムを貼り、背面から3DCG化した人物やキャラクターをプロジェクターで投影するというもの。
左が3DCGバーチャルマネキン、右が人形LEDパネルLiPで、メガネを掛けることで立体視も可能。思わず裏を覗き込んだり触れてみたりする人が結構いた。
大日本印刷
大日本印刷といっても既に印刷以外の事業比率のほうが高く、進出している事業分野も多岐にわたっている。今回同社では「今、DNPデジタルサイネージにできること-つたえる。うごかす。つながる。」をテーマに5つのコーナーで電子ペーパーや災害時情報発信自販機、裸眼3D映像ソリューション、透明液晶POPなどを出展した。
電子ペーパーのソリューション。ハードからコンテンツ、通信技術までトータルサポート。
裸眼3D映像ソリューション。明るさでメリットのあるレンチキュラーレンズ方式を採用している。
透明液晶電子POP。背面に現物の商品などを置くことで、液晶を表示していない時には奥の商品が見えるというもの。
災害時情報発信自販機。停電時に自販機内の商品を無料提供するだけでなく、バッテリーやソーラーパネルを装備することで、一定時間テレビ放送やWEBの情報を受信することができる。
日本サムスン/エヌジーシー
「Digital Signage for Ecology」をコンセプトに、サムスン電子の低消費電力LEDバックライトディスプレーを中心に、タブレットPCやスマートフォンなどとデジタルサイネージの連携のデモ@サイネージや裸眼立体3Dディスプレー、65型タッチパネルなどの出展が行われた。
タッチパネルディスプレーを組み込んだデスク型サイネージシステムSurface。