ブロードキャストアジア2013
経済成長著しいシンガポールは、まさにASEANの中心。商法や税制優遇措置で拠点をシンガポールに移すところも少なくない。そのためASEANやアジアでの拠点とする海外企業も多い。シンガポールの位置するASEAN諸国は実に1万以上の諸島(正確な数字は確認されていない!)があり、映像産業も近年盛んになっている。ケーブルテレビや通信が日常に欠かせないインフラである事は言うまでもない。
そんな中、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ・コンベンション・センターを会場にして、6月18日から21日までBroadcastAsia2013(以下:BCA)が開催された。映像業界の流れとして、日本では、4月のNAB SHOWを受けての秋にInterBEE開催になるが、ここシンガポールでもNABで発表されたものを確認する意味での展示会として、BCAはその役割を大きく担っている。コンシューマを含めNABで発表された最新の製品や機材を、コンパクトにまとめた会場に注目の製品が抽出されたカタチで一気に見ることができるのはBCAの大きな特徴でもある。
会場はCMでも御馴染みのマリーナ・ベイ・サンズ。開催時期は街中がスモッグで視界を遮られる事に…
今年から会場が全てマリーナ地区にあるマリーナ・ベイ・サンズ・ホテルのコンベンション会場に移され、利便性やトーンも変わり、入場にはドレスコードも設けられている(亜熱帯地域ではあるが、半ズボン、サンダルは厳禁)。Marina Bay Sandsホテルは日本のCMでも使われ、3棟のビルに支えられた船の形をしたシンガポールの代表的なランドマークだ。ちなみにNABが開催されるラスベガスのSandsグループが運営しているホテルでもある。
BCAだけを見ると会場はコンパクトだ。同時開催されているCommunicAsia2013(国際通信機器展)やEnterpriseIT 2013 (クラウド、ビジネスとITソリューション展)を合わせるとInter BEEぐらいの規模となる。来場者数の熱気は どこか日本とは違って非常に熱いものを感じる。ブースも各国ごとにカテゴライズされ、何気に各国競い合う感じが醸し出されていたのが印象的だ。事務局の発表によれば、両会場を合わせて世界から56カ国、登録入場者数が約5万人規模で毎年増加の傾向にあると言う。出展の特徴としては、メーカーの直接出展ではなく、メーカーを冠にして現地ディーラーが出展する事が少なくない。そのため競合のメーカー製品が同じブースに並ぶと言う微笑ましいブースもいくつか見受けられた。
会場もいくつかの企画ブースで構成されており、”THE Cinematography FILM Production Zone” が設けられ、デジタルシネマに関する制作のプロセスを一堂に会したコーナーがあり多くの人が関心を寄せていた。
各国別にサインが掲げられていたここまで多いのは珍しい
また中国、韓国、イギリス、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、スペインなどなど各国別にゾーンを分けられたコーナーもあった。展示会でよく見られる区分ではあるがここまで国際色豊かに細分化されているのも珍しく、ワールドカップを彷彿とさせる物があった。残念ながら日本はなかった。
さて、折しもシンガポールは、スマトラ諸島からの影響を受けて、クリティカルな予報が出てしまうくらいのスモッグ状態。参加者の顔ぶれは中国系を始め、インド圏から足を運ぶ人も多く見られた。逆に日本メーカーは出展しているが、日本人の参加者はほとんどいない。極東までおよばない商圏の人々を多く見かけた。あまり伝え聞こえてこないASEANで開催されたBroadcastAsia2013をダイジェストで見て行こう。
様々な展示に賑わう会場から
Panasonic
昨年からBCAに復活したPanasonicは、ボールルーム一つを貸し切り独自のブースを展開。定評のある業務用プロジェクターをうまく活かし、ライブ形式で人目を引くブースとなっていた。期間中は、ファッションショーなども行われた。
業務用TOUGHBOOKのタブレット「TOUGHPAD JT-B1」発表がメインだったが、業務用カメラコーナーには、AJ-PX5000GとさらにレコーダーのモックアップがAVC-ULTRA製品としてAVC-ULTRAのコーナーに展示されたほか、VARICAM3なども並んでいた。
55型のLEDディスプレイTH-55LFV50Uを使用したワイド画面。またHDインテグレーテッドカメラAW-HE120を4台使用することで、ワイドな画面で撮影できる。実際のソリューションも展示。
実際にAW-HE120をフレームに組んだソリューション
Canon
レンズや周辺機器を含めたラインアップの紹介、映像制作における様々なワークフローやソリューションなどを総合的に展示。C300、C500など充実したCINEMA EOS SYSTEMを AJAやCODEXなどのレコーダーと組み合わせた4Kソリューションを展開。小さいながらも4Kスクリーニングを行うなど勢いは止まらない様相。中でもHDMIとHD-SDI端子を装備のXA25の注目度は高く、多くの人だかりができていた。
Blackmagic Design
エントランスホワイエ部分にそびえ立つ、いつものBlackmagic Wall。やはり注目の的は4Kカメラと、US$995でデジタルシネマの世界を手に入れる事ができるPocket Cinema Cameraだ。ただ映像がどのような物なのかのデモンストレーションは行われていなかった。
SONY
SONYがワールドワイドで掲げるテーマは、”Beyond Definition”。BCAおいてもその展示内容が見られた。先日発表されたばかりの1/2型Exmor 3CMOSイメージセンサーを搭載したハンディタイプのXDCAMメモリーカムコーダー「PMW-300」の実機を初公開。展示会場とは別室が設けられそちらでも詳しく見る事ができた。
AUTODESK
Smoke 2013が好調なAutodeskブースは、デモを多数展開し、多くの人が賑わっていた。特に学生からの支持は高く期間中ブースを通るたびに人だかりが見えた。聞くところによると教育機関でのSmoke 2013を採用率が高く、この人気の理由も理解できる。
THE Cinematography FILM Production Zone
アジアでもデジタルシネマの隆盛が見られ、シンガポールを中心にASEAN地域に拠点をもつCine Equipment社(映画機材関連の代理店)が中心にレンズ、カメラ撮影に関する機材、特器、照明、周辺機器などを一つのボールルームに一堂に介して展示。
VStudio
韓国企業のDARIMはバーチャルセットを販売する企業。なかでもLEDの照明は簡易的に運べるので重宝する。LED Light Setが便利だが、基本的にはChromudioというクロマキーセットとバンドルされている。