IFA2014が今年も9月5日からドイツベルリンで開幕した。IFAはいわば欧州圏最大の家電ショーである。いうなれば、1月年初に取り上げるCESshowと同じだと思っていただきたい。今年も映像周りの新製品というよりは注目点を中心にレポートしたいと思う。
パナソニックは4Kワールドとテクニクスの復活
パナソニックブース
パナソニックは映像関連の展示を4Kワールドとして、テレビ、カメラなどの総合的な展示を行った。中でも目を奪われたのは、65インチの湾曲4K OLEDテレビだ。CESでは56インチの凹凸それぞれの湾曲4K OLEDテレビを展示したが、今回はそれよりもさらに画質が向上している。個人的感想であるが、IFAで展示されたディスプレイの中でも最もクリアな画質である。あえて欲を言えば、奥行き感というか空気感が感じられれば更に素晴らしいだろう。なおパネルの詳細は公開されていないが、市販化を否定していなかった。
パナソニックの65インチ湾曲4K OLEDテレビ
画面再撮だが料理の質感まで伝わってくるのが感じられると思う
パナソニックブースでの目玉は、プロシューマーや業務用をターゲットにした4K60pに対応したカムコーダー「HC-X1000」である。
パナソニックの4Kカムコーダー「HC-X1000」
センサーは1/2.3のCMOSセンサーを搭載し、総ピクセル数は18.47メガピクセルで、有効画素は885万。4K撮影記録は3840×2160ドットの60p/30p/24pやDCIにも対応。フルHDではAVCHDにも対応する。ビットレートは4K60pで150Mbpsだ。
1枚のSDカードに4K60pで記録が可能で、これは世界初だ。SDカードスロットは2基あり、1スロット単独はもちろん、2枚のカードへの同時記録の他に、スロット2に連続記録をしながらスロット1で必要なときだけ記録することができるので、重要なシーンの取り逃しが防げる。音声はXLR入力に対応。
音声まわりはカバーで保護される
LCDモニターは3.5インチタッチスクリーンで115.2万画素。使用しない時は写真のように収納できる。4Kで問題になるフォーカスに関しては、フォーカスアシストによって10倍に拡大できる。
3.5インチLCDモニターはタッチ可能
このように収納が可能
レンズは20倍のライカのDicomarレンズを搭載し、F値は1.8-3.6である。フォーカス、アイリス、ズームの3連リングを搭載で操作感はやや硬めだ。1/4、1/16、1/64のNDフィルタも搭載している。ユニークな点としてはレンズリングが電源投入時には青く、撮影時には赤くタリーのように点灯するので、撮影していることが一目瞭然でわかる。ユーザー設定でOFFにすることも可能。本体重量は1,550グラムと非常に軽く携帯性もよい。
電源オンの場合は青く点灯
撮影中は赤く点灯
またもう一つの話題は、「Rediscover Music」というブランドメッセージとともに往年のオーディオブランド「テクニクス」を復活させたことだ。テクニクス展示エリアにはかつての製品も展示されマニアの目を引いていた。今回はパワーアンプ「SE-R1」を中心にしたコンポーネント「R1シリーズ」と、プリメインアンプ「SU-C700」を核とした「C700シリーズ」をラインナップした。どちらも巨大なアナログVUメーターがアクセントである。専用ルームで試聴した印象では、圧縮された音に慣れてしまい、忘れていた音を思い出させてくるような印象。試聴音源がアコースティック系とクラシックだけだったので電気音の印象は不明。R1シリーズによるボーカルの再生は、まさに口の動きがわかるほどのリアリティを感じた。
テクニクスの展示エリア
往年の銘器が展示されている。手前はプロジェクションマッピング
パワーアンプ「SE-R1」は巨大なアナログVUメーターを搭載
試聴ルーム
ソニーは4Kテレビしか展示がない
テレビ関連では75と65インチの湾曲4Kテレビを出展した。ソニーとして湾曲テレビを出展させたのはこれが2回目である。ソニーは湾曲部分にサラウンドスピーカーを内蔵させて、映像音声を一体化させて映像と音声で包み込むような臨場感を提案している。またソニーブースには今回展示されているディスプレイは全て(機能説明などのサイネージ的利用は除く)4Kだけであるというのも時代を象徴しているといえる。ディスプレイもカメラも、まもなく4K以外の製品は消滅していく方向性で、これはソニーに限ったことではない。
65インチ湾曲4Kテレビはサラウンドスピーカーが特徴
あと興味深いのが「Smart Lifelog Camera」というコンセプトモデルだ。消しゴム程度の大きさの超小型カメラで、常に身につけて生活のさまざまなシーンを記録しようというもの。類似のものは「Narrative」などがある。こうしたライフログを記録しようというコンセプトを写真で行う場合に、昨今の日本では、盗撮とみなされたりする可能性もあり、ソニーが商品化できるか微妙かもしれない。あとは撮影した写真をクラウドに置くのか、誰かと共有するのかといった点は明確には示されていない。
「Smart Lifelog Camera」は首から下げたり、ポケットに入れたりして装着
友達との食事のシーン
ペンダントっぽく装着
こんな写真が撮れるというデモ映像
サムスンは超巨大な新ホール独占
サムスンは今年完成した新ホール「CityCube」に会場を移して広大な空間を自社だけで利用した。「Galaxy Note4」と「Galaxy Note edge」だ。特にGalaxy Note edgeはディスプレイの右側が側面までディスプレイが回りこんで付いているというもの。写真を見ていただければわかると思うが、この部分はいわゆるサブディスプレイとして機能する。表示内容は通気機能や天気、ニュース、Twitterのフィードなどから設定できる。カメラとして動作させるときにはシャッターなどがここに並ぶ。これはなかなか便利ではないかと感じた。エッジが丸くなってはいるものの、落とした場合のことが若干気になる。またこれは左手で持つ前提であり、逆バージョンの予定はないという。
右端にサブディスプレイ機能
ディスプレイ右側が回りこんでいる
その他のテレビ関係では、LGが77インチフレキシブル湾曲4Kテレビを展示したが、デモ映像がコマ撮りと夜景とCGだけなので評価のしようがない状況だった。ということは今一歩だと思っていいと思われる。東芝はあまり目立った動きはなく、CESで展示したミラーディスプレイをIFAでも展示を行った。シャープは今年出展そのものがない。中国勢ハイアール、ハイセンス、TCLも目新しい展示はない。中国メーカーの画質はまだまだ日本や韓国メーカーには遥かに及ばないままであった。
LGの77インチフレキシブル湾曲4K OLED
また、スマートテレビ、クラウドテレビに関しての展示は目新しい物はなく、個人的にも注目しているグーグルの「Android TV」についてはGoogleも対応を表明しているソニーからも展示がなかったのは残念である。