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はじめに

2022年10月に発売され、2024年6月に2年待たずして惜しまれつつディスコンされた先代「LUMIX G99D」。

その後継機として今回、「G99M2」(以下、G99II)が突然発表されたことに驚かれた方も多いと思う。

スペックを見てみるとG99Dから細かいフラッシュアップはあったにせよ、大きく変更された箇所はなく、「マーク2」を冠した割に…」という声を筆者もSNS上で多く目にした。

しかし逆に、名機として完成されていた「LUMIX G99」の後継機として期待する声も多かったのも事実だ。

本記事ではLUMIX G99IIを実際に使用した感想を皆さんにお伝えしていこうと思う。

スペックと特徴

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左:G99II 右:G9PROII
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上面から見ると厚みの違いに驚く
  • 4/3型 CMOSセンサー
  • 有効画素数:約2,030万画素
  • 手振れ補正:5軸5.0段 Dual I.S.2
  • ISO:100-25600
  • AFシステム:コントラストAF
  • 測距点:49点
  • 撮影速度:~約秒9コマ(AFS, MF時)/約秒6コマ(AFF, AFC時)
  • 撮影枚数:RAW+JPEG連写:27コマ以上
  • ファインダー:0.39型 236万ドット 有機EL(OLED)約1.48倍
  • モニター:約184万ドット 有機EL(OLED)
  • 動画:4K:3840 x 2160(4K/30p:約100Mbps)
  • インターフェース:USB Type-C(USB充電/給電対応)micro HDMI Type D
  • 重量:約530g(バッテリー、カード含む)
  • 防塵防滴
  • 市場想定価格:税込99,000円前後

先代のG99Dからのスペック表から読み取れる変更点

  • USB typeBからtypeCへ
  • Live MOSセンサーからCMOSセンサーへ
  • スーパーソニックウェーブフィルター(SSWF)からセンサーシフト式へ
  • Bluetooth 4.2から5.0へ
  • 背面液晶が3.0型約104万ドットから約184万ドットへ
  • モードダイヤルデザインC1 C2からC S&Qへ
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使用するバッテリーはDMW-BLC12。かなり小型なバッテリーだが、G99IIが省エネなのか長持ちする印象

今回のモデルチェンジにおいて大きな変更点はない。とはいえセンサーがLive MOSセンサーからCMOSセンサーへ変わっていたりと気になるポイントはあれど、実際に使用してみて画質は上位機種の「G9PROII」譲りの写りの良さがあり、バッテリー消費もスペック以上の良さを感じられた。

ボディデザインもLUMIX定番の3連ボタンで操作感が上位機種と統一されており、すぐに手に馴染んだ。小型軽量をウリにしたボディではあるが、手に持った時に小指がグリップからはみ出る事もなく好印象に感じた。LUMIXらしい妥協のない作りこみがしっかりされている機種であると太鼓判を押したい。

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このUSB-Cはバッテリーのチャージから給電まで対応している

先代G99Dからの改善点として目に引くのはUSB-Cの採用だと思う。昨今ではUSB-C以外を使わなくなっているので、この変更は地味にありがたい。

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メーカーとしても意図した改悪ではないと思うが、ノンダストシステムをスーパーソニックウェーブフィルタ(以降 SSWF)からセンサーシフト式に変更した点は残念に感じた。LUMIXにおいて最近では一切採用されなくなってしまったSSWFだが、エントリーモデルという、初心者向けだからこそ採用してほしかった。玄人であれば、センサーの汚れにも自分で気付くことができ、ゴミを除去する方法も知っている。しかし、初心者が使う道具であるならば、比較的センサーについたゴミが取れやすいSSWFが望ましかったと思う。

LUMIX機にSSWFが採用できない理由があるとするならば、SSWFに変わる新たなノンダストシステムの開発をメーカーにはしてもらいたいと願っている。

もう一点、残念ポイントとして、アプリ「LUMIX Lab」の非対応を挙げたい。LUMIX Labは最近リリースされたLUMIX専用公式アプリで最近のLUMIX機では同アプリを使うことでスマートフォンへ写真をスムーズに送ることができたり、スマートフォンに転送した写真の色味を変更したりすることができるのだが、G99IIでは本アプリに対応しない。

メーカーに確認したところ、今後対応する予定もないというので、本アプリとの連携を目的にされている方は、対応機種を確認してから購入検討してほしい。ただし、対応アプリは「Panasonic Image App」から、「LUMIX Sync」に変更されている。

高倍率ズームレンズキット

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左手に収まりやすい大きさと軽さ
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葉の輪郭も綺麗に描画している
※画像をクリックして拡大

G99IIにはレンズキットとして「LUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6 II ASPH. POWER O.I.S.」がセットになったモデルLUMIX DC-G99M2Hが販売される。ボディのみに約40,000円追加することで購入できるが、このレンズの市場価格が約69,000円することを考えると非常にお買い得感が高いセットとなっている。

筆者もこのレンズに初めて触ったのだが、小型軽量でG99IIボディとの相性も非常に良い。35mm判換算28㎜~280㎜の10倍ズームがこのサイズ感で作れるのはマイクロフォーサーズの強みだ。これ1本あれば大体のものが撮れる。写りも10倍ズームの割にしっかりとした解像感を見せた。これからカメラをはじめようと購入を検討されている方にはぜひおすすめしたい。

一緒に使ってほしいレンズ

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左から42.5mm/F1.2、10-25mm/F1.7、12-60mm/F2.8-4.0

キットレンズも素晴らしいレンズではあるが、マイクロフォーサーズのカメラを使うにあたり3本のオススメレンズを挙げておく。

LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.

キットレンズ14-140mmと比較してズーム倍率は少ないものの、35㎜換算で24-120㎜と十分なズーム域を持ち、F2.8-4.0と比較的明るいレンズである。今回オススメするレンズは「LEICA」を関するだけあって非常に写りも良い。画質にこだわる標準ズームレンズとして本レンズは所有したい。

LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm/F1.7 ASPH.

35㎜換算で20-50㎜と、さらにズーム域は少なくなるが、F1.7という単焦点レンズ並の明るさと美しいボケ味を写し出してくれる。価格は張るが、単焦点レンズ2本分として考えれば、十分に価値のあるレンズ。

LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.

筆者が最もオススメするレンズ。このレンズのためにマイクロフォーサーズを使い続けていると言っても過言ではない。F1.2という明るさもさることながら、空気感まで写し出してくれる描写力の高さには、何を撮ってもうなずかせてくれる至極の1本。

これらのレンズは中望遠までをカバーしてくれる非常に写りの良いレンズたちだ。キットレンズで撮ることを覚えた後に、より繊細なボケ味を活かした撮影をしたくなった時に思い出してほしい。また列車や子供の運動会、飛行機撮影など望遠が欲しい場合には、手持ちで1600㎜まで撮れる超望遠ズームレンズも存在する。その時に一度調べてみてほしい。

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綺麗なボケを楽しめるのもミラーレス一眼の強み

内蔵ストロボ

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内蔵ストロボをポップアップしたところ

ストロボと聞くと「暗いところで被写体を照らしてくれるライト」と答える人がほとんどだと思う。実際その通りなのだが、明るい日中でも逆光の場合はストロボを焚くことがある。カメラにとってのストロボとは奥の深い大事な付属品なのだ。

なのに上位機種になると「内蔵ストロボ」は付属してこない。LUMIX上位機種の場合、内蔵ストロボが搭載される軍艦部にはセンサーや空冷ファンなど別用途に使われることが多いので、後付けで数万円出して買ってくれというのがメーカーの考えだろうか。

それがエントリーモデルである本機には最初から付属している。カメラボディの市場実勢価格99,000円前後にストロボが含まれていることを考えると非常にコスパが良く感じてしまう。

G99IIからカメラをはじめる人は、ぜひストロボを率先して使ってみてほしい。暗い時で撮る時も、明るいところで影を消す用途でも、自分の思いつく方法でストロボを光らせてほしい。思いもよらない写真が撮れるはずだ。数年経って上位機種に持ち替えた時に、その経験が大きな財産になっていることだと思う。

こんな人にお薦めしたい

ここまで読んでくれた読者であれば、おおよそ検討がついていると思うが、筆者がこのカメラを薦めたいのは「これからカメラをはじめる初心者」だ。

G99IIとは、初心者が扱うに十二分な性能を備えたコストパフォーマンスの高いカメラだと考えている。逆に言うと今までLUMIXの中級機以上を触ってきた人には若干物足りなさを感じる。

親指AFボタンをはじめ物理ボタンが少なかったり、リアルタイムLUTがなかったり、贅沢を言えばきりがない。だが筆者がこのカメラを使うにあたり不満は一切なかった。撮るという行為を純粋に楽しめたと思う。

このカメラを手に取ろうとしている人は、スマートフォンで得られなかった「カメラという道具を使って撮る体験」を得たいのだと思う。新たな趣味として、家族の記録として、色々な理由があると思うが、LUMIX G99IIならその役割を果たしてくれるカメラであると筆者は思う。

ただし、スポーツや車・電車など動体を主に写真を撮りたい場合は上位機種であるG9PROIIを。それらの動画を主体に撮りたいのであればGH7を薦めたい。

この2台はオートフォーカスに像面位相差AFを採用しており、より動体に強い(G99IIに採用されているコントラストAFも十分高性能なオートフォーカスであることを付け加えておく)。初心者・上級者関係なく、条件の難しい撮影にはより高性能なカメラが必要なのだ。

総括

G99IIを触らせてもらい、改めてカメラが何たるかを考えるキッカケを与えてもらった。

最初は旧モデルとほとんどスペックの変わらないG99IIに落胆している気持ちもあったが、使っている内にそれは必要十分なカメラであるから変える必要がなかったのだとわかった。メーカーがターゲットにしているのは「これからカメラを触る人」なんだと。

その人たちが必要十分に使え、コストパフォーマンスの高いモデルを提供しようとしたメーカーの強い思いがこのカメラからは感じられた。この記事を読んでくれたG99IIの購入を検討している方にはぜひ実機を手に取ってみてほしい。写真を撮る楽しみを感じてもらえるはずだ。

あきあかね

1977年生まれ。本業の傍ら2020年よりYouTubeにて映像作品や製品レビュー等を発信している。
近年では副業として企業VP制作や自治体からの依頼で映像制作や配信業務を請け負うサラリーマン映像作家として活動中。

WRITER PROFILE

編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。