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2月18日、DJIからスマホ用のジンバル「Osmo Mobile 7P」が発売された。Osmo Mobileシリーズと言えば、スマホ用ジンバルの定番モデルで人気が高い。今回短い時間だがOsmo Mobile 7Pを試用する機会を得たのでレポートしたい。

2年半ぶりの新モデルは価格も良心的

Osmo Mobile 7Pは「Osmo Mobile 6」(2022年9月発売)の後継モデルということで、2年半ぶりの新モデルということになる。前モデル同様、延長ロッドやズーム用のダイヤルなどを備えている。新機能としては最新のトラッキング機能である「Active Track 7.0」や「多機能モジュール」への対応、三脚の内蔵、動作時間の延長などがあり高性能化が図られている。

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セッティングしたところ
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収納状態

価格は税込18,480円。Osmo Mobile 6のスタート価格が税込20,900円だったので、このご時世にリーズナブル感がある。ちなみに、下位モデルの「Osmo Mobile 7」という機種も同時に発売となっている。こちらは延長ロッドや側面のダイヤル、多機能モジュールの同梱が省略されたモデルだ。ちょうどOsmo Mobile 6に対する「Osmo Mobile 6 SE」のポジションと言える。価格は税込13,310円なので、価格重視ならこちらを選ぶのも手だろう。

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Osmo Mobile 7では側面のダイヤルがスライドスイッチに変更されている

スマホ用ジンバルはVlogといった用途を思い浮かべるが、PRONEWS読者のような映像制作者にとってもメインカメラとは別の手軽なBロール撮影用などとして有用なアイテムだ。例えば、インタビューの撮影中にOsmo Mobile 7Pで動きながら引き画を撮っておくといった使い方ができる。

Osmo Mobile 7シリーズはこれまで同様「DJI Mimo」というアプリに含まれているカメラ機能で撮影するのが基本の使い方となる。

一方、スマホではマニュアル主体で撮影できる「Blackmagic Camera」アプリが人気となっている。今回の環境ではBlackmagic Cameraの設定にある「音量ボタンで収録をトリガー」をONにすることでOsmo Mobile 7の録画ボタンを有効にすることができた。ハイレベルなカメラアプリと組み合わせることで、スマホ用ジンバルの活用範囲も広がりつつあると言えるだろう。

新たに三脚が内蔵

改めてOsmo Mobile 7Pを見てみると、サイズ感としては従来モデルを引き継いでいるが、重量は軽くなった。スマホクランプ込みで従来モデルが340gのところ、300gになったのも嬉しいポイントだ。

そして現場で使い勝手が高まるアップデートが三脚が内蔵されたこと。グリップ部分から引き出す方式なので、携帯性も損なわない(従来はアドオンタイプだった)。Osmo Mobile 7Pならアドオンの三脚を付けていなくても一時的に置くことができて便利だ。これはRonin(RS)シリーズよりも便利な点だろう。

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コントローラー部分ではジンバルモードの切り換え、録画開始、スマホの縦横の切り換えや方向調整のジョイスティックがある。加えて、側面のダイヤルではズーム、マニュアルフォーカス、多機能モジュールのライトコントロールが可能となっている。

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    テキスト
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ジンバルモードなどは同社共通のものなので、少しでもDJIのジンバルを使ったことがあればすぐに実戦投入できる。またオンスクリーンのチュートリアル機能も充実していて、初心者も使いやすいのではないかと思う。

    テキスト
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加えてシーンに応じた撮影指南の機能もあり、画面の撮り方動画の真似をするだけで映えるカメラワークができるようになっている。

    テキスト
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    テキスト
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簡単で使いやすいトラッキング機能

さっそくスマホ(Google Pixel 6a)を装着してみたが、マグネット式のクランプはかなりしっかりとスマホを固定してくれるので安心感が高い。スマホはケースを付けていてもそのまま固定できる。

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DJI Mimoアプリを起動させるとすぐにジンバルと接続されて撮影が可能になる。ジンバル自体はアームを展開すると自動で電源が入るので手間が少ない。

歩きながら撮影しても絵が安定しており、やはり手持ちとはまったく違った画が撮れる。一般的な3軸ジンバルで上下方向の補正はないため、上下の揺れが多少残るのは仕方のないところで、歩き方で工夫したいところだ。

歩きながら撮影

グリップの延長ロッドも試してみた。上に持ち上げるとかなりハイポジションから撮影ができるため、作例のように人混みでの状況撮影などがサッとできて良いと思う。ロッドを伸ばすと動かせる範囲が広がるので、画のバリエーションを増やせる点でも映像制作に向く機能と言えそうだ。

延長ロッドを伸ばして歩きながら撮影

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そしてトラッキング機能だが、被写体に向けると枠が出るのでトリガーボタンを押して被写体をセットする。すると多少ジンバルが違う方向を向いても、セットした被写体に自動で向いてくれる。人物の周りを回りながらといったカメラワークがしやすいだろう。

トラッキング

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トラッキングを設定したところ
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ダイヤルによるズーム機能も試してみた。ダイヤルなので望遠端までは何回か回す必要があるためビデオカメラのような滑らかなズームは難しいが、少し画角を調整したりするにはこのダイヤルが使いやすかった。作例では7倍までズームしているがデジタルズームなのでスマホの機種によっては結構画質が落ちる点には注意したい。

電源まわりも進化

同梱される多機能モジュールは、スマホクランプに取り付ける小型のアクセサリーだ。センサーを搭載しており、ジェスチャーによるトラッキング開始が可能となっている。手のひらをパーに向けるとトラッキングが開始され、Vサインで撮影が開始される。ダブルLでトラッキングを停止することができる。これらの3つの組み合わせ、またはトリガーによる操作も可能。

従来のDJI製品は、DJI Mimoアプリを通じてトラッキング対象を決定していた。しかし、Osmo Mobile 7シリーズでは、OM多機能モジュールを使用することで被写体を認識し、アプリを問わずトラッキングを利用できる。また、LEDライトも搭載されている。

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多機能モジュール

多機能モジュールは同社のワイヤレスマイク「DJI Mic Mini」のレシーバーにもなっているので、話し声をしっかり撮れるのも心強い機能だろう。

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オプションのDJI Mic Mini

今回のアップデートでは本体の動作時間も延びている。従来は6時間半ほどだったが、一気に10時間になったということだ。

加えて多機能モジュールとスマホをUSB接続し、ジンバル本体に電源を繋げることで、ジンバルとスマホの両方に給電が可能となっている。イベント記録など長時間のオペレーションもバッテリー切れの不安なくこなせそうだ。

武石修|プロフィール

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。iStockコントリビューター/DaVinci Resolve認定エンドユーザー

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。