いつでもどこでもポケットからサッと取り出し、ブレのない滑らかな映像を撮影できる画期的なツールとして、クリエイターから絶大な支持を集めてきたDJIのOsmo Pocketシリーズ。
前作の「Osmo Pocket 3」は、コンパクトなボディに大型の1インチセンサーを搭載し、10bit Log収録にも対応。動画撮影の常識を大きく塗り替えたのは記憶に新しいところだ。
そんなDJIからOsmo Pocketシリーズの最新バージョン、「DJI Osmo Pocket 4」がついに発売となった。外見は一見するとPocket 3と同じだ。しかし、その中身は異次元の進化を遂げている。
Osmo Pocket 4の商品構成には、最小セットの「エッセンシャルコンボ」、ジンバルクランプやDJIリストストラップが追加された「スタンダードコンボ」、さらにDJI Mic 3トランスミッターやマグネティッククリップなどを同梱した「クリエイターコンボ」の3種類がラインナップされている。本稿で評価を行うのは「クリエイターコンボ」である。Osmo Pocket 4の性能をフルに活用したいのであれば、このクリエイターコンボの導入を強く推奨したい。
新開発の1インチCMOSセンサーを搭載し、4K/240fpsのスローモーション、10bit D-Log対応、そしていざという時の「107GBの内蔵ストレージ」まで搭載し、とんでもないメジャーアップグレードを果たしてやってきたのだ。
今回は、筆者が実際に体感した「最大のアップデート」から順に、その実力をご紹介していこう。
SDカード忘れの救世主!絶大な安心感を生む「107GB内蔵ストレージ」
ハードウェアの進化において、最も筆者のテンションが上がったのがこれだ。Pocket 3には内蔵ストレージがなかったが、Pocket 4には新たに107GBもの大容量内蔵ストレージが標準搭載された。
いざ撮影しようとした時に「SDカードを忘れた!」と焦る状況でも、この内蔵ストレージがあればすぐに撮影を開始できる。実際、筆者も取材撮影に両方の機材を持っていった日、あろうことかSDカードケースを丸ごと自宅に忘れてしまい、一瞬血の気が引いた。しかし、Pocket 4の内蔵ストレージのおかげで事なきを得た(結果的にその日はPocket 4だけで撮影を完遂した)。この107GBの「保険」がもたらす精神的余裕は、数値以上の絶大な価値がある。
また、インターフェースがUSB 3.1へとアップグレードされたことで、デバイスからパソコン等への有線データ転送速度が最大800MB/秒に達し、従来の5〜10倍という圧倒的なスピードを実現している。
暗闇を恐れない!飛躍的に向上した低照度撮影性能と「補助ライト」
夜景や薄暗い屋内での撮影は、小型カメラにとって最も過酷な環境の一つだが、Pocket 4はこの弱点を見事に克服している。
新しい1インチCMOSセンサーの搭載により、ダイナミックレンジが14ストップに拡張された。これにより、4K低照度ビデオのダイナミックレンジはPocket 3と比較して最大2段階も向上している。
※画像をクリックして拡大
実際、筆者も夜桜の撮影を行ってみたが、この描写力には驚かされた。光が直接当たっているメインの桜だけでなく、周辺の木々の枝葉や夜空に注目してみてほしい。通常のD-Logを後からカラーグレーディングして無理やり持ち上げても若干しか見えなかったような部分が、Pocket 4の低照度モードなら「撮って出し」の時点ですでに十分なディテールと階調を残している。
さらに、新たに追加された専用アクセサリー「磁気式補助ライト(補光ライト)」が素晴らしい。ジンバルに磁力で簡単に取り付けられ、カメラの動きと同期する。輝度と色暖色(2800K)・中性(4000K)・寒色(5500K)と色温度をそれぞれ3段階で調整でき、夜間ポートレートでの自撮りも均一に明るく照らしてくれる。


被写体を絶対に逃がさない!「ActiveTrack 7.0」
ジンバルカメラの醍醐味とも言える被写体の自動追従機能も、前モデルの6.0から「ActiveTrack 7.0」へと強力なアップグレードを果たしている。
今回特筆すべきは、その圧倒的な「粘り強さ」とスマートさだ。インテリジェントオートフォーカスが進化し、画面上で顔を手動選択してロックする「被写体ロック追跡」や、事前に登録した顔を自動的に見つけて優先する「登録被写体優先」機能が新たに搭載された。認識された顔はハイライト表示される(黄色はフォーカス中、灰色は検出中)。
また、前モデルではズーム時のトラッキングに制限があったが、Pocket 4では最大4倍のズーム中でもActiveTrackが利用可能になった
撮って出しでも大丈夫!「6種類のフィルムトーン」
映像クリエイターにとって色味の調整(カラーグレーディング)は腕の見せ所だが、同時に時間のかかる作業でもある。Pocket 4には、カメラ内で処理を完結できる6種類の「フィルムトーン」が新たに組み込まれた。
※画像をクリックして拡大
※画像をクリックして拡大
※画像をクリックして拡大
※画像をクリックして拡大
※画像をクリックして拡大
※画像をクリックして拡大
さらに、これら6種類のフィルターと肌を滑らかに調整してくれる「美肌フィルター」と併用することで、Vlogやポートレート撮影での手間が圧倒的に削減されるはずだ。
指先だけで意のままに。直感操作を極めた「新設計ジョイスティック」
最後に触れておきたいのが、新設計された「5Dアナログジョイスティック」とタッチスクリーン下部のボタンによる操作感の向上だ。
Osmo Pocket3は、クリック感のあるジョイスティックだったのに対し、この新しいジョイスティックは、指を倒す角度(深さ)に応じてジンバルの回転速度がリニアに変化するため、非常に精密で滑らかなパンやチルトが可能になっている。
また、新設された「ズーム切り替えボタン」を使えば、撮影中でもワンタップで1倍と2倍ズームをスムーズに行き来でき、ダブルタップで一気に4倍ズームに飛ぶこともできる。片手撮影でも、指先一つで思い通りのカメラワークが実現できるのは現場で非常にありがたい進化だ。
まだまだある!本文で紹介しきれなかった驚異のアップデート
ここまで筆者が特に感動した機能を中心に紹介してきたが、Pocket 4の進化はこれだけにとどまらない。現場でも即戦力となる、細やかな(しかし超強力な)アップデート項目を最後にまとめておこう。
- 業界トップクラスの「4K/240fpsスローモーション」:数百万円級のハイエンドシネマカメラに匹敵する滑らかなスローモーション撮影が可能に。
- プロ仕様の「10bit D-Log」対応:より柔軟なカラーグレーディングが可能になり、ハイコントラストなシーンでも豊かな階調を表現できる。
- ソロクリエイターに嬉しい「ジェスチャーコントロール」:カメラから離れた場所でも、手のひらを向ければActiveTrackが開始し、Vサインで録画を開始・停止できる。
- 音の編集を変える「OsmoAudio 4チャンネル出力」:2台の外部ワイヤレスマイクと内蔵マイクの音声を、別々の4チャンネルとして同時に収録可能。後編集での音声調整が劇的に楽になる。
- 「37MP」への高画素化とライブフォト対応:写真解像度が前モデルの約9.4MPから37MPへと大幅に向上し、新たにライブフォトの撮影も可能になった。
- バッテリー容量の増加:バッテリー容量が1300 mAhから1545 mAhへと増加し、より長時間の撮影をサポートしてくれる

まとめ
Osmo Pocket 4は、「107GB内蔵ストレージの安心感」をはじめ、「新型センサーによる夜間での美しい描写力」、「新設計のジョイスティック・ボタン類」など、画質・使い勝手ともに高いクオリティーに仕上がっていた。
夜の街歩きのVlogから、SDカードをうっかり忘れた日常のふとした瞬間の記録、さらには本格的な映像制作のサブカメラとしてまで、どんな場面でも最高品質の映像を残せる、まさに革新的なポケットジンバルカメラに仕上がっている。
Osmo Pocket 4の性能をフルに活かすのであれば、ぜひクリエイターコンボをおすすめしたい。
Yasuki Shingaki|プロフィール
2004年沖縄生まれ。関西を中心に活動中。