2026年8月4日、DJIの小型ワイヤレスマイク「DJI Mic Mini」シリーズに、新モデル「DJI Mic Mini 2S」が登場した。
Miniシリーズといえば、小さく軽量で、気軽に使えるワイヤレスマイクという印象を持っている人も多いだろう。しかし、上位モデルのDJI Mic 3も大幅に小型化されたことで、「小さいこと」だけではMiniシリーズを選ぶ理由になりにくくなってきた。
そんな中で登場したDJI Mic Mini 2Sは、Miniシリーズとして初めて内部収録に対応。さらにレシーバーの互換性向上や使い勝手の改善など、実際の撮影で役立つアップデートが数多く盛り込まれている。
今回はDJI Mic Mini 2Sを実際に使用しながら、その特徴や使い勝手、DJI Mic Mini 2やDJI Mic 3との違いを紹介していく。
DJI Mic Mini 2Sの主な特徴
Miniシリーズ初の内部収録に対応
DJI Mic Mini 2S最大の進化点は、Miniシリーズとして初めて内部収録に対応したことだ。トランスミッターには14.5GBの内蔵ストレージを搭載し、24bit録音では最大28時間、32-bit Float録音では約22時間の録音が行える。
これまでのMiniシリーズは、あくまでワイヤレスマイクとしての機能だけだったので、収録には必ず受信機が必要になったが、内部収録に対応したことで送信機単独でも録音できるようになった。人が多いイベント会場のような無線通信に厳しい環境でも、万が一通信が乱れてもトランスミッター側には音声が残るため、安心して収録に臨める。
内部収録したデータは、トランスミッターを充電ケースに収納してUSB-Cケーブル接続することでPCへ転送可能。この際の転送速度は、メーカー公称値で最大34MB/s。DJI Mic 3の約2倍の速さになっており、30分の24-bit録音ファイルを約8秒で転送できる。
さらにループ録音にも対応しているため、容量がいっぱいになると古いデータから自動で上書きされる。長時間の収録でもストレージ管理を意識する場面は少ないだろう。
ノイズキャンセリングなど進化した録音品質
録音性能もMini 2と比べて改善されており、Mic 3に匹敵する機能を備えている。
例えば、2種類の「アダプティブゲイン制御」をMic Miniシリーズとして初めて搭載。Mic Mini 2に搭載されていた「クリッピング制御」機能だけでなく、「ラウドネスバランス」機能にも対応する。
「クリッピング制御」は、突然の大きな音でも音割れを防いでくれる機能で音量変動の激しいシーンに適している。一方で「ラウドネスバランス」は、ゲインを動的に調整して小さな音を持ち上げつつ一定の音量バランスを維持してくれる機能で、スタジオのようなある程度安定した録音環境に適している。
さらに、ノイズキャンセリング機能がAIによって強化されている点も注目だ。「標準」(ベーシック)と「強」の2段階でノイズを抑制できるのは従来通りだが、その効果を適用した際の音声の歪みが低減されている。
実際にこの効果を試してみたところ、Mic Mini 2よりも明らかに音声がクリーンになっていた。特にノイズキャンセリングの効果を「強」に設定すると差が大きく違いがわかりやすかった。Mic Mini 2では効果「強」のノイズキャンセリングは音声の歪みが大きく、個人的には使用を避ける出来だった。一方で、Mic Mini 2Sではノイズキャンセリングを「強」に設定しても、声のトーンが自然になっており実用的なレベルに進化している。
もちろんノイズの種類や程度にも左右されるだろうが、少なくとも、エアコンやパソコンの駆動音など一定の決まったノイズであれば、自然で明瞭なボーカルを維持しつつ雑音を抑えてくれていると感じた。
カラフルなアクセサリーで「見せるマイク」としても楽しめる
Mic Mini 2Sの魅力として外せないのが、カラフルなアクセサリーだ。交換式のフロントカバーや別売りのマルチカラーウインドスクリーンを組み合わせることで、自分好みのデザインにカスタマイズできる。
見た目を楽しめるだけでなく、複数人で収録するときに「赤はAさん」「青はBさん」というように色で識別しやすくなるため、撮影や編集時にも役立つ。
DJI Mic 3にもカラフルなウインドスクリーンは用意されているが、Mini 2シリーズはフロントカバーまで交換できるため、より遊び心のあるデザインを楽しめる。
これまで小型マイクは「いかに目立たず隠すか」を考えて運用することが多かった。しかし、今回DJI Mic Mini 2Sを実際に使ってみると、あえて色を派手にして「どのように見せるか」を考えるのが面白かった。最近のSNSコンテンツでは、ワイヤレスマイクを手に持って使うユーザーも多く見かけるが、プラットフォームによってはマイクをどう見せるかも大事なのかもしれない。
接続台数の向上&Miniシリーズとの互換性
もう一つ注目したいのが、標準付属レシーバーの接続性能の向上だ。
1台のレシーバーに接続できるトランスミッターの台数は、Mic Mini 2では最大2台までだったが、Mic Mini 2Sでは最大4台のトランスミッターを接続できるようになった。インタビューや座談会など複数人での収録にも対応しやすくなっている。
さらに、DJI Mic Mini 2S付属のレシーバーは、DJI Mic Mini、DJI Mic Mini 2、DJI Mic Mini 2Sのトランスミッターを混在して接続できる。Mic Miniシリーズ同士であれば、世代を問わずに一緒に使用することができるので、既存ユーザーにとって大きなメリットと言える。
一方で、DJI Mic 3やDJI Mic 2などは、レシーバーが専用設計になっており原則としてほかのマイクと混ぜて使うことができない。
もし、DJI Mic MiniシリーズとDJI Mic 3やDJI Mic 2を混在してレシーバーに接続したい場合は、「モバイルレシーバー」(別売り)を使うことで可能になる。
DJI Mic Mini 2・DJI Mic 3との違い
DJI Mic Mini 2Sの立ち位置が分かりやすいように、主な違いを表にまとめた。
| 項目 | DJI Mic Mini 2S | DJI Mic Mini 2 | DJI Mic 3 |
| トランスミッター重量 | 約12g | 約12g | 約14g |
| トランスミッターサイズ | 28.58×28.04×13.52mm | 28.58×28.04×13.52mm | 28.77×28.34×16.35mm |
| 内部収録 | ○ | × | ○ |
| 内蔵ストレージ | 14.5GB | ― | 32GB |
| 録音可能時間 | 最大28時間録音 | ― | 最大57.3時間録音 |
| 32-bit Float録音 | ○ | ― | ○ |
| ループ録音 | ○ | ― | ○ |
| ゲインコントロール | クリッピング防止&音量バランス | クリッピング防止 | クリッピング防止&音量バランス |
| ノイズキャンセリング | AI 2段階 | 2段階 | 2段階 |
| レシーバー | ボタン操作 | ボタン操作 | タッチスクリーン搭載 |
| タイムコード | × | × | ○ |
| 標準レシーバー1台に対する最大接続数 | 4TX | 2TX | 4TX(各TXは最大8RXと接続可能) |
| フロントカバー交換 | ○ | ○ | × |
| マルチカラーウインドスクリーン | ○ | ○ | ○ |
| 駆動時間 | トランスミッター:最大11時間 レシーバー:最大10時間 充電ケース:最大40時間 |
トランスミッター:最大11.5時間 レシーバー:最大10.5時間 充電ケース:最大48時間 |
トランスミッター:最大8時間 レシーバー:最大10時間 充電ケース:最大28時間 |
| 価格(2TX・1RX) | 27,720円 | 14,520円 | 43,890円 |
| おすすめな人 | 手軽さと内部収録を両立したい | 出費を抑えてシンプルに使いたい | 映像制作・業務用途 |
Mic MiniやMic Mini 2ユーザーは買い替えるべきか?
DJI Mic Mini やMic Mini 2から買い替える人が最も魅力を感じるのは、やはり内部収録への対応だろう。これまでは「内部収録が欲しいからDJI Mic 3を選ぶ」という人も少なくなかったが、Miniシリーズでも同じ安心感を得られるようになった。Mic Mini 2Sはノイズキャンセリング機能やゲイン自動コントロール機能も進化しており、より自然で聞き取りやすい音声を収録できるようになっている。
また、Mini 2Sのレシーバーは最大4台のトランスミッターに接続可能で、多数の音声収録にも対応できるようになった。Mic MiniやMic Mini 2のトランスミッターとも接続可能なので、DJI Mic Mini 2を買い足して多数収録に利用するという使い方も良いかもしれない。
細かな使い勝手の改善も印象的だった。充電ケースにはモバイルレシーバーを横位置で収納できるようになり、3.5mm TRSケーブルとモバイルレシーバーの両方を収納できるようになった。スマートフォン撮影とカメラ撮影をどちらも利用する人にとって携帯性が向上している。派手な進化ではないが、頻繁に使う道具だからこそ、こうした改善の積み重ねは実際の撮影でありがたく感じた。
[DJI Mic Mini 2の価格]
- DJI Mic Mini 2(2 TX+1 RX+充電ケース):14,520円
- DJI Mic Mini 2(1 TX+1 RX):8,580円
- DJI Mic Mini 2 トランスミッター:4,840円
[DJI Mic Mini 2Sの価格]
- DJI Mic Mini 2S(2 TX+1 RX+充電ケース): 27,720円
- DJI Mic Mini 2S(1 TX+1 RX):14,300円
- DJI Mic Mini 2S トランスミッター:10,120円
本格仕様のMic 3と、コスパに優れたMini 2S
DJI Mic 3は、タイムコードやタッチスクリーン付きレシーバーなど、映像制作向けの機能を豊富に備えた上位モデルだ。内部収録用の内蔵ストレージは32GBと容量が大きく長時間の収録ができる。1台のレシーバーに最大4台のトランスミッターを接続できるほか、各トランスミッターを最大8台のレシーバーに接続できるなど、多数の機器を扱う現場でも対応可能だ。
DJI Mic 3のレシーバーは、タッチモニター付きのおかげで細かな設定のしやすさでも優位性がある。さらにDJI Mic 3は音声モニター用のヘッドフォン端子があるのに対して、Mini 2Sにはそれがないという差もある。
一方で、DJI Mic Mini 2Sもストレージ容量14.5GBの内部収録や32-bit Float録音、4台同時接続など、多くのユーザーが求める機能はしっかり搭載している。インタビューなどの取材収録、YouTubeなどのSNS向けコンテンツやVlogなど一般的な映像制作であれば、Mini 2Sで不足を感じる場面は多くないだろう。
また、DJI Mic Mini 2Sのレシーバーはスクリーンのつかない簡易的な設計だが、充電ケース内側にはボタン操作のガイドが記載されているため、操作方法を忘れてしまってもすぐに確認できる。コンパクトでシンプルな操作性や、Miniシリーズならではのカラフルなデザインは、Mic 3とはまた違った魅力になっている。
機能的に上位なのはMic 3だが、そのぶん高級で2TX・1RX付属のモデルの価格は、43,890円。Mic Mini 2S(2TX・1RX付属)の価格は、27,720円だ。必要な機能と費用を鑑みて、どちらのモデルを選ぶべきか考えると良いだろう。
[DJI Mic 3の価格]
- DJI Mic 3(2 TX+1 RX+充電ケース):43,890円
- DJI Mic 3(1 TX+1 RX):28,600円
- DJI Mic 3 トランスミッター:14,300円
[DJI Mic Mini 2Sの価格]
- DJI Mic Mini 2S(2 TX+1 RX+充電ケース):27,720円
- DJI Mic Mini 2S(1 TX+1 RX):14,300円
- DJI Mic Mini 2S トランスミッター:10,120円
まとめ:Mini 2Sは今後のワイヤレスマイクの新定番に
DJI Mic Mini 2Sは、Miniシリーズ初となる内部収録への対応によって、シリーズの立ち位置を大きく変えたモデルだ。従来の「小さくて気軽なワイヤレスマイク」という魅力はそのままに、内部収録やより自然なノイズキャンセリング、4台同時接続など、実用性が大きく向上している。
DJIのワイヤレスマイクの最新世代のラインナップとしては、安価な「DJI Mic Mini 2」と、高級本格仕様の「DJI Mic 3」があり、今回新たに登場した「DJI Mic Mini 2S」がそのちょうど間を埋めるような形で位置している。性能と価格のバランスに優れた製品なので、これまでMiniシリーズを使ってきた人はもちろん、初めてワイヤレスマイクを導入する人にとっても、有力な選択肢となるだろう。
尾田章|プロフィール
カメラのある日常の楽しさを発信する"くらしフォトグラファー"。カメラ機材の使い方、写真の撮り方などをYouTube、運営ブログ「KOBE FINDER」にて"Aki"として初心者にもわかりやすく解説。




