東芝と日本SGIは、ファイルベースの番組送出システムおよびマスター設備など送出系放送基幹システムをフジテレビジョンに納入したと発表した。

フジテレビは2008年12月1日からこの新設での運用を開始している。稼動した新システムは、番組放映の直前のフローを担う基幹システムで、フルHDの高解像度によるファイルベース番組送出システムとして、世界に先駆けて稼動した大規模な先進システムになる。

放送局の主なシステムとしては、TVマスター、回線マスター、スタジオ(番組収録)、編集などがあるが、今回の番組送出システムは、収録した番組を最終的にオンエアするための基幹システムであり、高い信頼性と業務効率が求められる。

東芝はマスターAPC設備も含めた送出システム全体のインテグレーション、番組送出システムの全体設計および素材管理部分と送出サーバー部分を担当した。送出サーバー部分には、同社製のフラッシュメモリ・サーバー「VIDEOS」を採用した。東芝は、VISEOSでMXFフォーマットのファイルをそのまま記録し、再生時に自動的にMXFファイル内の映像や字幕などのデータを分解する「アンラップ」機能や、分解したデータからMPEG-2の映像・音声信号をデコードする機能を搭載した。これにより番組におけるデータの同一性を放送直前まで確保できる。

日本SGIは、番組送出システムの大容量蓄積部であるコンテンツサーバー部分をインテグレーションした。このコンテンツサーバーは収録番組の放送において、VTR搬入、ファイル搬入からファイル転送、コンテンツ・チェック、高解像度および低解像度プレビューなどの処理を行う。さらにMXFファイルベースのSMPTE436Mに準拠したアンシラリ・データ・パケットによる字幕へ対応しており、これは国内初という。

このコンテンツサーバーの構築には、米Omneon社製のOmneon Spectrumメディアサーバー、Omneon MediaGridアクティブストレージ・システムが採用されている。また、コンテンツ・チェックシステムには、テクトロニクス社製の「Certify」、解像度プレビューには、株式会社アイ・ビー・イー・ネット・タイム社製の低解像度トランスコーダが採用されている。

フジテレビは、以前からファイルベースシステムへ積極的に取り組み、放送業界をリードしてきたが、今回の事例により放送業界におけるファイルベースシステムの導入が加速するものと思われる。