日本と同じく、米国でもクリスマス商戦時期にHD対応のテレビに買い替えた家庭も少なくないだろう。キー局や大手のケーブル局では既にHD番組を配信できる準備が整いながらも、未だほとんどのTVチャンネルや番組自身はSDのままだ。せっかく新しいテレビで見ていてもコンテンツはSDであるため、画素数が高いHD対応テレビならば一層画質の良し悪しがはっきり表れてしまう。
現在1,100ほどの映画タイトルがBlu-rayで販売されているが、この数字はNetflixが配信する番組数12,000のわずか1パーセントに満たない。Netflixではその中の300タイトルがHD番組だ。それではケーブルのComcastはどうだろう、というと、7,000のうち1,000のオンデマンド番組がHD化、通常の番組は250のうち50程度がHD化されてきている。
これらHD番組の普及速度は需要率と同じく予測よりも非常に遅い。これは日本市場事情と同様、HD移行への投資能力に依存するからだろう。HD番組にはHD用機材で収録から配信に至るまで取り扱わなければならないし、SD番組をアップコンバートするための機材も必要だ。ケーブルならば新しい衛星をローンチしなければならない。また、映画については莫大な量のタイトルをHD化するにあたっての時間と費用がかかる。
米国では日本より一歩先に2009年2月17日をもって完全デジタル化に切り替わる予定だ。視聴者側の受信機の普及(浸透)に添えて、これら放送事業者側の番組移行ピッチの遅延は国家的な大プロジェクトとしてどう収まっていくのだろうか。