オバマ大統領の「政権移行チーム」は、およそ1ヵ月後に迫った地上テレビ放送の完全デジタル化について、政府による視聴者への十分な支援が行われていないなどとして、延期すべきだと申し入れる手紙を議会に送った。 政権移行チームの発言書はこれで2度目。

オバマ政権正式設立前にも一度、「デジタル放送への移行は、政府による十分な支援がなされないまま行われようとしている」などとして、完全デジタル化を延期すべきだと 申し入れる書簡を議会の有力議員に送っている。

ワシントンポストによると、書類はオバマ政権正式設立前19日に政権移行チームポデスタ共同議長より送られ、「国民は想像以上の多くの時間を必要としている」、「(最初に送った手紙時期よりも)状況はより悪くなっている」と述べられているという。

米国は、日本より一足早く来月17日に地上テレビ放送が完全デジタル化され、アナログ放送が終了することになっている。視聴者側は、デジタルコンバーターを用意するか、もしくはケーブルTV経由でなければテレビを続けて視聴することができなくなり、今もなおアナログ放送しか見ることができない世帯が全米でおよそ15%あるとされている 政府からはこのデジタル移行への支援策として、40ドルのクーポン券を各家庭に2枚配給し、コンバーターを購入するように促していた。しかし、このクーポン・プログラムの資金切れが原因で、入手に2週間以上も待たなければならない状況が続いている。

 

金融危機による景気低迷の影響で、消費者側のデジタル対応のテレビを買い控える動きと、クーポン券配給の行きわたっていない事実、それに重ねて消費者側への技術的な教育もないまま完全移行日を迎えることは、大混乱を巻き起こすだけのものと懸念の声が大きい。AP通信によると、米国下院エネルギーおよび商業対策委員会は現地時間本日(22日)、上院の計画を見直したいため、下院法案での採決を延期したという。

ダウ・ジョーンズの報道によれば、改めて提案されている完全デジタル化移行日は6月12日。しかし、ジェイ・ロックフェラー上院議員(上院商務委員会議長)によると、この新法案には、クーポン・プログラムの資金面における懸念事項までも含まれているため、簡単には票決に付されない恐れがあるという。