NAB会場の新設だったサウスホールに大きなブースを構えていたソニーだが、今年は古巣のセントラルホールに展示拠点を移動する。ソニー・ブロードキャスト&プロフェッショナル事業部が中心となるNAB出展は、今年は1月に開催されたCESと同じブース場所に拠点を移した。これにはいくつか理由がある、と米ソニーのシニア・バイスプレジデントのAlec Shapiro氏は語っている。

セントラルホールの新ソニーブースは、新しいNABシャトルバスの停留所近くであること、そして、CESでのアプローチを再現させる目的でもある。ソニーは、現状の経済の逆風の影響で、各企業からのNABへの視察人員が減ることを予測しており、会場に出向けない人たちのため、昨年同様に今年もバーチャルNABを同社のWEBサイトで開催する予定だ。

他のベンダー同様、主要新製品の発表はNAB 2009開催当日までお預けだが、先週先駆けていくつかの新製品が発表された。 HDVフォーマットのHVR-Z5U、コンパクトカムコーダーHXR-MC1に新LCDモニターのBVM-170とPVM-L2300だ。特にニュース市場はXDCAM HD(オプチカルディスク)フォーマットへの移行を推奨しているところもあり、新フィールド用レコーダPDW-HR1では、MPEG IMX、 DVCAM や 4:2:0 HD 24Pといったレガシーフォーマットも対応できる。

PDW-HR1は、XDCAMデュアルレイヤーメディア(50ギガバイト)で、50MbpsのHDコンテンツを95分、25Mbpsで200分収録できる。インターフェースには、VTRライクなジョグ・シャトルが装備されており、リモートでも制御できるようになっている。入出力には、HD-SDI入出力、HDMI 出力、SD-SDI入出力のほか、i.LINK TSや DVB-ASI も装備。出荷予定は6月、米国では定価21,000ドル。

PMW-EX3といったXDCAM EXカムコーダは本来スタジオ専用ではないが、ソニーはオプチカルファイバーアダブター「Nipros」を開発、PMW-EX3カムコーダに組み合わせ、スタジオ環境でも使えるようにした。米国は地上波デジタルへの完全移行が6月と定められている。経済事情が厳しい2009年であることは間違いないが、その状況の中、放送事業者達は予算編成で削られつつもどれだけHD機材を揃えられるか、どの機材を優先に揃えるかが課題だと、Shapiro氏は語っている。