有線放送大手の株式会社 USEN(東京都港区)は12日、映画配給子会社ギャガ・コミュニケーションズの全株式をギャガ経営陣などによる買い取り(MBO)方式で譲渡する意向を発表した。
USENは、ギャガの依田巽社長が経営するティーワイリミテッド(東京)と木下工務店(同)の連合グループに優先交渉権を与えた。6月23日まで6週間の優先交渉期間を設定して条件を協議するが、2社が連合してUSENグループからギャガ株をすべて買い取る見通し。
ギャガの2008年8月期業績は、売上高が前年度から横ばいの103億1800万円で、最終損益は79億1000万円の赤字だった。同社は映画の新規買い付けを停止して配給に特化するなど、事業の再構築に取り組んでおり、2009年8月期は黒字に転じる見込み。しかし映画市場は環境の変化が激しく、収益の変動が大きい映画配給会社を自前で傘下に置く必要がなくなったと説明している。
USENでは、3月には有料動画配信サービス関連会社だったショウタイムの保有株式をすべて楽天に売却したほか、4月には動画配信事業を行う「GyaO(ギャオ)」の株式51%をヤフーに売却するなど、不採算部門を中心に事業の見直しを進めている。