ACM SIGGRAPHはCGのノーベル賞とも言われるSteven Anson Coons 最高功労賞を、CG技術に生涯貢献しているピクサーアニメーションスタジオのロブ・クック氏(Rob Cook)に贈呈することを明らかにした。
現在ピクサーでアドバンスド・テクノロジ担当副社長を務めるクック氏は、CGフィーチャーアニメーションおよびビジュアルエフェクトレンダラーとしてはスタンダードと化したRenderManソフトウェアの原作および設計者である。RenderManは過去15年間のオスカーでVFX効果関連のアワードでノミネートされた、ほぼ全作品で使われた実績を持つ。
クック氏は1980年の半ばまでルーカスフィルムのコンピュータグラフィックスリサーチグループ(現在のピクサー)に所属しており、そこでGPUとゲームエンジンに非常に関与する技術、プログラマブル・シェーディングを生み出した。さらにフィールドデプスやモーションブルワ、ソフトシャドウといったカメラエフェクトのシミュレーションの主要エレメントとなる、モンテカルロ・レンダリングを開発。これらテクニックが搭載されたレンダーマンは、現代のアニメーション映画製作で欠かせないツールとなった。
クック氏は、1987年にはACM SIGGRAPHから、コンピューターグラフィックスとビジュアルエフェクツにおける業績賞を受賞、1999年にはレンダーマンでオスカー賞を受賞し、2009年には全米技術アカデミー(United States National Academy of Engineering)にも選ばれている。
Steven Anson Coons 最高功労賞は、コンピューターグラフィックス業界へ長年にわたり大きな貢献を続けてきた研究者に2年に1度与える、ACM SIGGRAPHで最も権威がある賞。2005年にはアジア初として、東京大学の西田友是教授が受賞している。