日本放送協会(NHK)は1月13日、NHKエンジニアリングサービスとJVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社と共同で、従来よりも低コストでコンパクトなスーパーハイビジョン(SHV)用プロジェクターを開発したことを発表した。
従来のSHV用プロジェクターは2種類の方式がある。一つは、4Kデジタル・シネマ用の800万画素の表示素子を用いてSHVの3300万画素相当の解像度を得る「デュアルグリーン方式」、もう一つは、3300万画素の表示素子をRGB各1枚の計3枚用いて表示する方式。デュアルグリーン方式は後者よりも安価ではあるが、プロジェクター2台で構成するため、装置が大きいという問題点があった。また後者のほうが高画質だがコストがかかってしまう。
そこで、今回開発したプロジェクターでは、RGBについて800万画素の表示素子を各1枚、既存の4Kプロジェクターに実装し、新開発の「e-Shift」デバイスを用いてRGBすべてに画素ずらしを行う機能を追加し、SHVをフル解像度画質相当で表示できるようにした。e-Shiftは複屈折特性を持ち、直進する光と縦・横0.5画素分屈折する光に、切り替えることができる。これによって、低コストでコンパクトなプロジェクターを実現することができた。
NHKは今後も、2020年にSHVの試験放送を実現するため、ロードマップに沿って、より実用的なSHV機器の研究開発を進めていくという。