米Apple社が、クラウドコンピューティングを利用した音楽配信「クラウドミュージック」のサービス開始に向けて準備を進めていることが、先週末より米国メディアから報道された。メディア報道によると、Apple社は米Warner Music Group、米Sony Music Entertainment、英EMI Groupと契約を締結しており、また現在、米Universal Music Groupとも交渉中であり、今月末までには締結する方向だという。
アナリストの間では、Apple社は6月6~10日に米サンフランシスコで開催する世界開発者会議(WWDC)でこの新サービスを発表すると予想しており、オンラインサービス「MobileMe」の拡張サービスになるかもしれないとしている。米Amazon.comや米Googleでも既に、クラウド上の音楽ライブラリをブラウザで再生できるサービスを始めている。ただしこれらは、個人が所有する音楽ファイルをネット上のストレージにアップロードし、Webブラウザやモバイルデバイスでストリーミング再生するというもので、レコード会社傘下のそれぞれの音楽出版社とライセンス保護について話し合いをせずにサービスを開始している。
米ブルームバーグは5月20日付の記事で、Appleがクラウドミュージックサービスを始めるためには、音楽出版社ともライセンス保護について協議する必要があるとしている。またAppleInsiderによると、Apple社が2009年に米国特許庁に申請した内容「”Local Storage of a Portion of Streamed Media Items」の手法を採用すればiTune経由で曲の一部を同期することによって非常に早い再生が可能になるのではないかと予測している。
このメソッドでは、ユーザー側は各自のモバイルデバイスにある音楽ライブラリのストレージ容量をかなり節約することができる。トラック(曲)のセグメントだけ各自のモバイルデバイスに保存されており、iOSがそのセグメントをたどってクラウド側のファイルからトラックを探し出して、全体を埋めあわせて1つの曲としてダウンロード再生をするという仕組みになる。