米国大手ケーブルネットワークの米Comcastは、スポーツ専門チャンネルComcast SportsNetを運営しており、プロダクションとしてもシカゴ領域では主力な存在となっているという。高校スポーツ競技の中継に関しては、イリノイ州シカゴを拠点とする系列のCN100を通して運用している。CN100の中継車には、新しく導入した米Abekas社(アベカス社)製のプロダクションサーバ「Mira」が稼働している。
CN100が今まで使っていたシステムは、記録と再生を同時に行うことができないアナログのシステムだった。中継中にクリップシーケンスやハイライトリールを生成することも当然ながら不可能で、現在の放送システムとしてはかなり限界を超えていたと、コムキャストの地域担当、スタジオ運用兼番組マネージャのリチャード・フォレスマン氏は語っている。
フォースマン氏は少ない予算の中で入れ替えられるシステムを調査、以前にアベカス社製品に馴染んでいたこともあり、Miraサーバに着目したという。昨年のNABの後、アベカス社から検証機を借りて、現地のコムキャストチームに中継車に実装させ、クライアントがいる現場で実際に使ってみた。現在フル稼働しているMiraは、8チャンネル仕様で、6チャンネル入力、2チャンネル出力として設定されている。DMAT-ABコントロールパネルを使って6台カメラ分のソースの再生を操作、各カメラソースの切り替えで、フィールドのどのアングルからも選手達の動きを見逃さずに放送することができる。
中継ではリプレイ、スローモーション再生やハイライトシーン再生など、番組のライブカットを行い、カメラギャンギングモード設定で記録したタイムコード付きのフッテージを、ポストプロダクションにファイルベースで渡している。フッテージは同軸時間上のタイムコードにマルチカメラのソースが収まっているため、中継後に放送するハイライトや、Webサイトのオンデマンドで観られるハイライトシーン分を編集するのに便利だという。