米カリフォルニア・ウェストハリウッドに拠点を置くポストプロダクションのHollywood-DI(HDI) は、2DおよびS3Dの映画作品のカラーコレクションとフィニッシングを請け負うプロダクションである。カラーコレクションにはBlackmagic Design社製の「DaVinci Resolve8」を使っており、米国で近日公開の2作品にも携わったという。
アクションサスペンス作品「Guido(公開日程未定)」とコメディ作品「And They’re Off(米国10月末公開予定)」では、各作品に合ったルックを実現するために、双方全く異なるカラーコレクションテクニックが施された。
「Guido」は、イラク人の移民殺し屋(Guido:グイド)が暗殺者とFBIに追われながらも、間違って巻き込まれた任務をこなしていくギャング・スリラー。この作品はRED ONEカメラで撮影したクリップをAvid Media Composerで編集しており、カラーコレクションでは暗めの冷たい陰惨なルックが求められた。「And They’re Off」は、落ち目の馬調教師がキャリアを取り戻してリーディングトレーナーとなるために、元カノのジョッキーを雇って奮闘するコメディタッチの作品。
Canon EOS 7Dで撮影しApple Final Cut Proで編集、Guidoとは相反して軽快で温かみのあるグレーディングが要求された。カラーコレクション作業は、Hollywood-DIのカラリスト、ビョルン・マイアーホルト(Bjorn Myrholt)氏とアンドリュー・バリス(Andrew Balis)氏が担当した。
RED ONEとキヤノンDSLRで収録したRAW画像を映画品質の画像に仕上げるために、Resolveのコンフォームとグレーディング力が発揮されたという。HDIのカラリスト達は各作品の監督と緊密な打ち合わせをし、限られた予算内でも厳しい基準をクリアする作品を完成させた。
またHDIは、劇場作品のカラー編集プロダクションという業務だけではなく、業界専門家向けに、カラー編集ツールのトレーニングセミナーやS3D技術のセミナーを開催している。例えばカラーコレクションにおいては、無償版のResolve Liteをデイリーや編集中の映像に活用する方法を、映画監督、撮影監督やデジタル画像の専門家達に紹介するセミナーを開催し、彼らがイメージしているルックをフィニッシング作業の前にカラリストに伝えられるよう、現場のスムースな作業環境を生み出すことにも勤しんでいる。