8月15日に発表されたGoogle社のMotorola Mobility買収のニュースは、Androidエコシステムや携帯端末市場だけでなく、テレビやOTTビデオ市場にも大きな反響を及ばすとして、各市場アナリスト達の間で様々な推測が飛び交っている。

モバイルハンドセット市場

Google Androidオペレーティングシステム(OS)は、2008年末にHTC製の携帯で登場した。スマートフォンOSとして急速に販売数を伸ばし、2012年までに出荷されるスマートフォンの42%以上がAndroid OSを実装すると予測されている(米IMSリサーチ社調べ)。現在、世界におけるモバイルフォンメーカーのトップ10のうち7社(Motorola社含む)がAndroid OSを採用している。2011年半ばのスマートフォン出荷量の50.1%以上は、これらOEMが占めた。その中でMotorola Mobilityは約430万台を出荷している(世界市場における4.3%のシェア)。また、Motorolaタブレット「Xoom」の売れ行きも好調で、2011年前半に69万台を出荷、最新の収益報告書によると、年内にはスマートフォンと合わせて21~2300万台を出荷する見込みだという。

Apple iOSはもう一方のスマートフォン・サクセスであり、現在まではiPhone/iPadでシェアトップの座にいた。GoogleがMotorola Mobility買収によってスマートフォン自身を取得したことは、OSとハードウェアを保有するAppleと同じ立場になったことだけなく、市場競争を保護する動きに大きな意味を持つ。Googleは過去、Android関連訴訟抑止の目的で、破産宣告をしたノーテルネットワークス社の特許ポートフォリオ取得に入札したことがある。この時はAppleやソニー、マイクロソフト、RIM(Research In Motion)など、競合する企業6社が団結してGoogleによる特許獲得を阻止した。GoogleはAndroid OSをオープンソースOSとして、多くのモバイルフォンメーカーに提供している。反面、Apple iOS、RIM Blackberyは独自プラットフォームを保有し、ライセンス提供による利益を求めていない。

多くのアナリスト達は、今回のGoogle+MotorolaがAndroid OSを使用するOEMメーカーに刺激を与えることは明らかだとする。プラットフォームのライセンス供与をする側がライセンスを受ける側と競争することになるからだ。これによりマイクロソフトの携帯端末向けOS「Windows Mobile」が、Androidの代替候補として携帯端末メーカーに提供される可能性も出てきた。また、スマートフォンOS保護としてRIMが他のOEMメーカーに、そしてスマートフォンに Microsoftの「Windows Phone 7」をメインOSとして採用しているノキアがマイクロソフトに買収される可能性も指摘している。

モバイルオペレーティングシステム
  • Apple : iOS
  • Google : Android
  • HP : webOS

    HPは2010年にPalmを買収、webOSを取得したが、2011年8月にパソコン事業の分離と共に「webOS」を使った端末事業からは撤退すると発表

  • RIM : QNX (開発中:RIMのPlayBookタブレット専用OS)
  • Microsoft : Windows Phone 7(主にノキアスマートフォンに採用)
  • Microsoft : Windows 8(タブレット趣向)
  • Intel : Meego(Linuxに類似、主にスマートCar、TVやポータブルPCをターゲットにしている)
  • Samsung : BADA(ローエンドフォン趣向)
  • Baidu(中国市場のサーチエンジン/ダウンロード音楽サービス用OS。今後モバイルフォンへも移植)
出典

(山下香欧)