ロイター通信社やWall Street Journalの報道によると、現地時間の8月24日、スティーブ・ジョブズ氏(56歳)がAppleのCEOを辞任した。そして現AppleのCOO(最高執行責任者)のティム・クック氏(50歳)が新CEOに就任すると伝えている。この電撃ニュースは、以下のジョブズ氏自らの手紙が発表声明となった。
http://www.apple.com/pr/library/2011/08/24Letter-from-Steve-Jobs.html

(日本語直訳)

Apple役員会、アップルコミュニティのみなさんへ

私は常にこう言ってきたものだ― Appleの最高経営責任者として責任と期待に合うことができなくなる日が来たら、真っ先に自分の口から告げると。 残念ながら、その日が来てしまった。

これにより、私はAppleの最高経営責任者を辞職する。 役員会が認めてくれるのなら、今後は取締役会長として、そしてAppleの一社員として奉仕していくつもりでいる。

承継人に関してはティム・クックを指名し、彼がCEOとして在任している間は、今まで進めてきた計画を実行することを強く薦める。

Appleの革新性を最大限発揮する輝ける日々は目の前にあると信じている。新たな役割の立場からその成功を見守り、貢献できることを楽しみにしている。

私は人生最高の友をAppleで得た。 長年皆さんのそばで働けたことに感謝する。

Steve

「我々役員会のメンバーは、ティムが次期最高経営責任者として全幅の信頼を置いている」と、ジェネティックとAppleの役員の一人、アート・レビンソン氏は声明で伝えている。クック氏はIBM、コンパックなどを経てアップルに1997年に入社。ジョブズ氏が病気で静養中の7年間、日常業務を代行して行ってきた。なお、ロイター通信によれば、ジョブズ氏はウォルト・ディズニー社の取締役は留任すると、関係筋が伝えている。
http://www.reuters.com/article/2011/08/25/us-jobs-disney-idUSTRE77O0HA20110825

ジョブズ氏は1976年に、高校時代からの悪友、スティーブ・ウォズニアック氏、ブッシュネル氏に紹介されたマイク・マークラ氏とともに自宅の車庫でアップルを設立。その後、経営陣と折り合わず同社を離れたが、96年にコンサルタントとして復帰、翌年に暫定CEOとして認められ、2000年に正式CEOとなった。自然主義の仏教徒であり、日本の禅に没頭するほど。日本食も好み、Apple本社のカフェテリアには「刺身蕎麦」なるメニューがあるのは有名な話。

ジョブズ氏は今年1月に3回目の”病気療養宣言”をしながらも、iPad 2の発表会やiOS 5の発表会で登壇して自ら発表していたが、その後は公の場に姿を見せていない。今回の突然の辞任は、ジョブズ氏の健康状況にも関係しているかと思われる。発表を受けて同社株の時間外取引は一時中断、5.13%下落、376.18ドルで終えた。また、この辞任影響を受けてサムスン株は上昇している。

(山下香欧)