ソフトバンク株式会社が、世界規模でモバイル広告ネットワーク事業を展開するInMobiグループのInMobi Pte. Ltd.(インモビ)に1億米ドル(約77億円)出資したことが、9月15日の発表で明らかになった。ソフトバンクは、来年4月にも1億米ドルの追加出資を予定しているという。InMobiの評定価格、およびInMobiに対するソフトバンクの持ち株については不明。

今回の出資を通じて、ソフトバンクとInMobiグループは、アジア地域をはじめとしたグローバルな協業を検討していく。合計2億米ドル(約154億円)という巨額な投資額を受け取るInMobiは、モバイル広告市場の世界トップの座を目指す。InMobiによると、来年の追加投資も確約されており、そのためのマイルストーン的なオブリゲーションは何もないという。ソフトバンクはInMobiとのシナジー効果で、グループの成長著しいアジアのインターネット企業群も含め、「アジアNo.1インターネットカンパニー」を目指す。

inMobi

InMobiグループは、スマートフォンやスマートパッドおよび従来型の携帯電話をはじめとした情報端末に対し、独自技術を組み込んだ広告プラットフォームを提供する。インドに創立してから4年、現在はバンガロール、サンフランシスコをメインとし、東京を含め10拠点に350人ほどの雇用者を持つ。3年前では150万人だった同社のモバイル広告における全世界リーチ数では、2011年8月時点で3.4億人までに達している。また、月間広告インプレッション数では470億回もの規模を誇る。

昨年のアメリカへの市場拡大に留まらず、現在はヨーロッパや日本でもサービスを開始、アジア太平洋とアフリカ地域において広告インプレッション数ベースではトップとなっている。InMobiの創始者 兼最高経営責任者であるナビーン・テワリ氏によると、今後はヨーロッパと日本市場への投入に注力を注ぐと言う。

InMobiは今回の巨額投資を受ける直前にも1500万米ドルをKleiner Perkins Caufield & Byers とSherpaloから受け取っている。これら2社は初期のGoogle社に投資していたベンチャー企業である。

モバイル広告ネットワーク事業では、Millennial、Apple (iAd)やGoogleが強力な企業だ。Google社は2年前に当時の市場リーダーであったAdMob社を7億5000万米ドルで買収し、業界最大手となった。Milennialは8500万ドルの投資を受け、来年IPO公開を目指している。InMobiは先月にHTML5での広告生成技術を持つSprout社を買収している。今回のソフトバンクによるキャッシュ投入により、InMobiは企業成長に必要な開発とマーケティングにおいて、Googleと同じ投資実行力が備わったとしている。