Blackmagic Designの発表によると、バンドKroiのミュージックビデオがBlackmagic Cameraアプリで撮影され、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされたという。Blackmagic Cameraをインストールした40台以上のiPhoneで、バンドの演奏を360°から撮影したユニークな作品は、YouTubeへの公開からわずか2ヶ月で920万回以上の再生を突破し、現在も再生回数を伸ばしている。
同作の監督を務めたのは、数々の有名アーティストのミュージックビデオを手掛ける木村太一氏。スタジオで演奏するKroiの周りにBlackmagic CameraをインストールしたiPhoneを並べて撮影し、分割スクリーンを駆使して躍動感溢れる作品に仕上げた。
木村氏は次のようにコメントしている。
木村氏:ぶっちゃけて言うと、当時は映画の撮影も控えていて、めちゃくちゃ忙しかったんです。カメラをたくさん並べて撮れば、現場で自分がディレクションしなくても済むから楽かなと思ったんですが、蓋を開けてみればスタッフは大変ですし、僕自身も編集が大変なことになってしまいました(笑)。

木村氏:クリエティブのディレクション的な話をすると、Kroiさんからエネルギッシュなものを撮って欲しいとリクエストがありました。同じことをしてもつまらないので、他の作品でやったような、カメラの動きでエネルギーを出す演出はやりたくなかったんです。レディオヘッドの「In the Rainbows From the Basement」のビデオが好きで、あの映像みたいに固定カメラを並べて撮って、カット割りでエネルギーを出す方法が面白いと思いました。どうせやるならやり過ぎなくらい台数を揃えた方がいいだろうと。台数もテクニカルな理由はなく、このくらいあればいいかなという感じでしたが、実際はスペアで用意したものも含め、47台ほど使いました。
最初は40台のVHSカメラで撮りたいと思ったんです。でも技術的に難しく、シネマカメラを40台用意するのも予算的に厳しかったので、最終的に画面に映り込んでもカッコいいiPhoneに落ち着きました。
今回、システム設計を手がけた内田誠司氏は次のようにコメントしている。
内田氏:すべてのiPhoneにBlackmagic Cameraをインストールし、Tentacle Syncアプリで同期。有線のネットワークで1台のiPadから一括コントロールするというシステムにしました。カメラの設定もネットワークで一元管理しています。撮影データは、各iPhoneの内蔵SSDに保存しました。2024年のInter BEEでBlackmagic Designの開発チームの方に、システムについて相談したときに、「同期はネットワークの帯域が許す限り何台でもいけるのではないか」と伺い、実際に検証してみたら40台でも問題なく動作しました。

内田氏:今回の撮影では間に合わなかったのですが、Blackmagic Camera ProDockがあればもっと撮影しやすかったと思います。Pro Dockがあればコネクタの向きも統一されて見た目も美しいですし、ハードウェアで同期できる点も魅力的です。同様のシステムで撮影するときは試してみたいですね。
同作のグレーディングを手掛けたのは、ARTONE FILMの西田賢幸氏。DaVinci Resolve Studio とDaVinci Resolve Advanced Panelを使用してグレーディングを行った。
西田氏:監督と話して、今回はあまり脚色せずにクリーンな感じのルックにしようと決めました。いい意味であまり雑味のない高品質な映像です。
僕の勝手な解釈ですが、監視カメラ的な映像というか、見たままを「記録している」イメージで色を作っていきました。そのためフィルムエミュレーション系のLUTなども使わず、デフォルトのLUTでグレーディングを始めて、ほんの少しだけ味付けする感じでした。
木村氏:俯瞰ショットやピアノや手元に寄ったショットなど、大きなカメラだとなかなか撮れないようなアングルが気に入っています。Blackmagic Cameraがなかったら、40台以上のiPhoneで同時に撮影するなんて、実現できなかったと思います。
