米ロイターやニューヨークタイムズ紙などの報道によると、米アマゾン・ドット・コムが近々タブレット型端末を発表する可能性があるという。同社は米ニューヨークで28日に報道陣向け発表会を行うと告知したことから、前から噂されていたオリジナルタブレットが浮上した。当日の内容は明らかにされていないが、モバイル商取引とデジタル商品などの販売を拡大するための新製品の発表だろうと、アナリスト達は説明している。

タブレット端末は、iPadがApple社から登場して間もなく、スマートフォン市場のごとく他社メーカーがこぞって参入を試みた。iPadは2010年4月の発売以来、2900万人のユーザーを取得。対して、ブラックベリー(BlackBerry)の大元Research in MotionがリリースしたPlayBooksは3カ月間で、Apple社がiPadを3日間で売り上げた20万ユニットしか売り上げることができなかった。この夏ヒューレットパッカードからリリースされたTouchPadの売り上げ数は皆無、今のところタブレット市場はApple社の一人勝ちの様相だ。

ここでAppleのファイナル・チャレンジャーとして噂が立ちあがったのが、アマゾンだ。アマゾンはKindle(キンドル)で電子リーダー市場の52% シェアと独占の地位にいる(IDC調べ)。現在のキンドルの価格は114米ドルと、初期発売価格の1/3になっており、アマゾン直販でしか入手できない。

アマゾンは、キンドルを2007年の11月19日に発売したが、クリスマス商戦を狙ったにしては発売日が余りにも遅くあっという間に品切れになり、在庫切れが5カ月間も続いてしまった結果となった。今回は、その教訓を十分に加味しての市場リリースと見込まれる。アナリスト達によると、アマゾン・タブレットはiPadのベーシック価格の半値の250米ドル程度で出てくるという。スクリーンサイズはiPadより3インチほど小さい7インチクラス、既存のキンドルと違ってタッチ式操作、次期タブレットのロードマップも出ているという。

Apple社はハードよりもソフト側(コンテンツ)を拡販することが主流で、その方針は曲げられることはない。アマゾンはXデーの2日前(9月26日)に、FOXとのコンテンツライセンス提携を明らかにした。24、NYPD BlueやXファイル、FOX人気テレビ番組シリーズが現在のアマゾンのオンライン・ビデオライブラリに加わり、11,000タイトルへと拡充される。ユーザーはアマゾンから2.99米ドルで各タイトル(HDフォーマット)を観賞することができる。

アマゾンは電子書籍リーダーを世の中に出した最初のメーカー、対してApple社はタブレット端末の最初のメーカーで、両社とも各市場のトップとなっている。アマゾンはタブレット端末では後発組だ。それでもクリスマスシーズン中には既存キンドルの買い替えを狙って、200万ユニットは売り上げるだろうと予測されている。ただ、消費者達を引きつけられる魅力がアマゾン・タブレットには見られるか、アナリスト達の期待は厳しい。

(山下香欧)