キヤノン株式会社は、同社のデジタル一眼レフカメラシリーズの最上位モデル新製品として「EOS-1D X」を2012年3月下旬から発売する。希望小売価格はオープン価格で、市場想定価格は65万円前後の見込み。レンズは別売りでキットモデルは用意されていない。

撮像素子には約1,810万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。映像処理エンジンには従来のDIGIC 4の約17倍の処理能力を持つ「DIGIC 5+(プラス)」を2基装備した「デュアルDIGIC 5+」を搭載したことで、常用ISO感度を「EF50mm F1.2L USM」レンズ装着時で最高51200まで拡大。屋内など暗所での撮影においてもノイズを抑えた美しい画像が得られるとしている。なお動画撮影時の常用ISO感度は100~25600としている。

動画撮影コーデックには可変ビットレートのMPEG-4 AVC/H.264を採用。SMPTE準拠のタイムコード記録にも対応した。データはMOVファイル形式でコンパクトフラッシュカードに記録する。動画音声記録方式はリニアPCM形式を採用している。動画圧縮形式は従来のIPB(フレーム間予測圧縮)の他に、Iフレーム(イントラフレーム)のみで圧縮記録を行う「ALL-Iモード」を搭載した。

従来機種では動きの複雑なものや細かい木々が密集した風景映像などに対して動画の圧縮によるブロックノイズが発生していたが、ALL-Iモードを利用することでこれらの問題も軽減できるものと思われる。なお、ALL-Iモード時の階調情報(ビット数)、色成分のサンプリングデータなどは明らかになっていない。10/21追記:ALL-Iモード時の階調情報およびカラーサンプリングはIPBモード時と同じ8bit/YCbCr(YPbPr)4:2:0。詳細はEOSMOVIEの特設ページにて)

記録解像度とフレームレートは、それぞれ1920×1080/30p/25p/24p、1280×720/60p/50p、640×480/30p/25pに対応。ちなみに、1920×1080のIPB圧縮では約235MB/分だがALL-Iモードでは約685MB/分のファイルサイズとなることから、ALL-Iモードのビットレートは90Mbps以上となる計算だ。なお、ファイルサイズがFAT規格上限の4GBを超えた際に新規ファイルを自動的に作成することで連続記録が可能となっているが、連続記録時間の30分制限は継承しているという。

同社では、従来の同社製デジタル一眼レフカメラの最上位モデルは、高画質を追求した「1Ds」シリーズと高速性能を追求した「1D」シリーズの2系統で展開していたが、EOS-1D Xはそれらを統合し、どちらの性能も最高レベルで兼ね備えたプロ仕様のフラッグシップモデルという位置づけであるとしている。