韓国Samsung Electronics(サムスン)は2月20日(現地時間)、液晶ディスプレイ(LCD)事業を分社化することを発表した。赤字が続いているLCD事業をスピンオフする計画が取締役会で承認された。

ディスプレイパネル市場は、有機EL(OLED)がLCDに代わって急速に主流になりつつある。同社の発表によると、「LCD事業のスピンオフはディスプレイ業界の変革を見据えた事業再編の一環」としている。まずLCD事業を完全子会社とし、将来的にはグループ会社のSamsung Mobile DisplayおよびS-LCDとの統合を検討していくという。

S-LCDは、過去に同社とソニーの合弁会社だったところ、今年1月にサムスンがソニーの保有する株式を9億4000万ドルで取得して完全子会社化した事業。テレビや携帯電話など家電向けのLCDパネルを製造しており、ソニーへも供給している。

新会社はSamsung Display Company(暫定)というサムスン電子の100%子会社となる。2012年3月16日の株主総会で株主による承認を得たのち、4月1日に新会社として発足する。今後は事業の焦点を液晶ディスプレイ(LCD)から有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに移していくという。

サムスン電子のLCD事業は需要が落ち込む市場の中、2011年には営業損失が9億ドル近くに達している。市場調査会社DisplaySearchが1月に発表した報告書によると、OLEDテレビの市場は2011年の売上は40億ドルを超え、2018年までには市場の16%を占める200億ドルに達すると予想されている。

(山下香欧)