ドルビーラボラトリーズ(ドルビー)は、米国ラスベガスで4月23日から開催されているCinemaCon2012にて、新オーディオ・プラットフォーム「ドルビーアトモス」を発表した。また、新しいデジタルシネマ音響技術を取り入れた製品群によるハイフレームレート、4Kおよび3D映像をデモンストレーションしている。

ドルビーアトモスは、ミキシングにハイブリッドアプローチを導入することで、観客を取り囲む動的なオブジェクトとして音に方向を与えられる。同時に最大128(チャネルまたはオブジェクト)までのロスレス音声入力データの転送が可能で、5.1chから64chまでのディスクリート出力をレンダリングできる。アダプティブ・レンダリングを採用しており、再生環境のスピーカーの配置などに制限されることなく音声を記録・配給し、忠実にレンダリングする機能を搭載。映画館の規模やレイアウトに最適なパフォーマンスを実現できるようにスピーカー設定をカスタマイズすることで、観客のサウンド体験を向上させられるというもの。システム構築には、ドルビーアトモス専用として設計したHarmanのJBL Professionalスピーカー、Crown Audioアンプとネットワーク技術を採用している。

本イベントでは、デジタルシネマ製品ファミリーが多数発表された。最新製品ドルビーインテグレーテッドメディアブロック(IMB)は単体として販売されるほか、シネマプロジェクターに直接組込み、同社の2Uサイズのスクリーンサーバ「DSS220」と一緒に4Kデジタルシネマ上映システムとして構築できる。

IMBは、ハイフレームレート、3D(48fps/60fps)、2Kおよび4K再生が可能。また、スクリーンサーバ「DSS200」をDCI仕様バージョン1.2に準拠させるためのソフトウェアアップグレード(バージョン4.4.0)もリリースしている。

 

5.1chから7.1chへのアップグレードできるドルビーシネマプロセッサーCP750もドルビーブースにて展示されている。CP750プロセッサーは、アナログオーディオ、PCMデジタルオーディオ、ドルビーデジタル、ドルビープロロジック、ドルビープロロジックⅡ、ドルビーデジタルサラウンドEX(TM)、ドルビーサラウンド7.1の再生が可能。ドルビーサラウンド7.1は現在、世界中で3,600箇所以上に導入、このフォーマットを使用し公開または公開される予定の長編映画は60作品以上に上るという。

(山下香欧)