米ロイター報道が伝えたところによると、米ディズニーチャンネルがComcastの加入者向けにディズニーチャンネル番組を”いつでも、どこでも見られる”モバイル用アプリをリリースするという。これは、ディズニーチャンネルの最高経営管理者ボブ・イガー氏が5月30日に投資家たちに伝えたもの。

Comcastサービスの加入者たちが無償で使えるアプリは、ディズニーが提供するESPN番組をモバイル端末で視聴できる「WatchESPN」(上画像)サービスで使っているものと似ているという。

ケーブル事業者でも浸透している「TV Everywhere」は、NetflixなどインターネットTVサービス事業者に加入者を引き抜かれないようにする対策であることは過言ではない。ユーザーがどのような形でもコンテンツを視聴できる環境を提供することで、加入を維持させようという意図である。

ディズニーがComcastを最初に選んだ理由として、Comcastと今年1月に更新した、ディズニーおよびESPNのコンテンツライセンス契約を挙げている。WatchESPNはリリース当初はTime Warner Cableに提供されている。5月に入り、Comcastがモバイル向けのスポーツ番組サービスをTVサービス加入者へ始めたことから、Comcastへの提供に着目したという。Comcastでは加入者4000万人へリーチすることができる。またディズニーでは、今回のコンテンツ以外に、ABCとABC系列のケーブルチャンネル番組についても、モバイルアプリで提供することを検討しているという。

5月8日にディズニーが発表した1~3月期決算は、売上高が96億ドル(約7700億円)であった。ウォルト・ディズニー生誕110周年を記念した映画「ジョン・カーター」の不振で2億ドルの損失を出したものの、ESPNなどで収益をあげたという。

(山下香欧)