ロンドンオリンピックの公式放送権を持つ米NBCでは、オリンピック番組放送のスポンサーから10億ドル(796億円)近い広告収入を狙っている。NBCスポーツグループのセールスマーケティング担当の副社長によれば、既に広告枠は販売しきっており、9.5億ドル以上のオリンピック広告収入を見込んでいるという。
オリンピック放送の視聴者層は男女比が同等であるため、通常以上に広範囲なコマーシャルのカテゴリ定義が行える。今回の広告主は、U.S.オリンピックチームの公式スポンサーでもある「Chobani Greek yogurt」や「Fruit of the Loom」を含む12社以上の新しい企業が並ぶ。そのほかにもマクドナルド、VISA、Procter&Gamble、AT&TやCoca-Colaなど。AT&Tは昨年度の広告費に7.4億ドルを出資した、NBCにとって最大の広告クライアントである。自動車企業ではゼネラル・モーターズとBMWが広告枠をおさえている。
NBCは、2010年のバンクーバーオリンピックの広告収入において2.2億ドルの損出が発生した。ロンドンオリンピック放送権を国際オリンピック連盟より11.8億ドルを支払って獲得したこともあり、今回は一社の広告主のロスもクリティカルになる。しかし同社の役員からは今回のオリンピック放送での広告収入はマイナス計上になることを認めているという。市場調査会社Miller Tabak社では、NBCの広告売上が推定11億ドルでプロダクションコストが1億ドルとして、約1億ドル~2億ドルのマイナス計上になると予測している。
NBCは北京オリンピックでは17日間の放送で平均2770万視聴者を記録した。7月27日から始まるロンドンオリンピックはNBCOlympics.comからのライブストリーミングも含め、総合3500時間の放送を予定している。中継放送はNBC Sports Networks、CNBC、MSNBCで朝と日中で実施されるが、プライムタイムではハイライト放送となる。
(山下香欧)