NHKは、ロンドンオリンピックを最新のスーパーハイビジョン(SHV)機材を使って収録し、パブリックビューイングを行っている。現場で使われているのは、今年5月に開催された「技研公開2012」にて一般初公開された、現行HDカメラと同等外形サイズを持つ3,300万画素SHVカメラ。7680×4320画素(3,300万画素)の映像を撮影でき、ヘッド部の重さが約4kgと小型化を図ったもの。10年前のSHVカメラは80kg。2010年時は20kgだった。
この新型SHVカメラは、NHK放送技術研究所と日立国際が共同開発した。従来のSHVカメラで実装していた複数のCMOSセンサを、7680×4320画素を1枚で対応できるCMOSセンサを実装することで小型化を実現した。SHV信号は非圧縮24GpsでHDD、SSDまたはP2レコーダへ転送される。HDD/SSDの場合20分~50分(非圧縮)、PSの場合は2時間(圧縮)ほど記録が可能。
「今回の新型SHVカメラが夏季オリンピックで試せることは、SHVを放送可能なフォーマットにするという我々の目標への大きな前進となった」と、久保田啓一NHK理事技師長は英BBCラジオシアターで行われた記者会見で語った。さらに「カメラやプロジェクタ、スクリーンの開発は順調。次の挑戦は、衛星と光を使っていかにSHV映像を伝送できるかという部分。技術革新の速度は現在、非常に高速。2016年あたりでそれら全てが確立できれば非常に嬉しい」と、4年後に試験放送時期を繰り上げられる可能性を示唆した。
NHK側は、パナソニックと145インチ「8K4K」スーパーハイビジョン対応PDPを共同開発。またシャープとは、85型スーパーハイビジョン液晶を共同開発している。
NHKは8月22日まで、渋谷など国内3カ所で「スーパーハイビジョン」によるパブリックビューイングを実施している。いずれの会場とも入場は無料。以前よりSHVトランスミッション実証試験などで提携をしているBBCでも、英国内3か所でパブリックビューイングを行っている。
(山下香欧)