英ARM社は8月6日(現地時間)、GPU IPコア「Mali-T600」の第2世代シリーズを発表した。ラインナップはスマートフォンおよびスマートテレビ向けの「Mali-T624」「Mali-T628」およびタブレットデバイス向けの「Mali-T678」の3モデル。
これらはARMのGPUアーキテクチャ「Midgard(ミッドガルド)」に基づくGPU IPコアで、統合型シェーダコアを最大8基搭載できる。基本仕様は第1世代シリーズから変わっていないが、レジスタ転送レベル(Register Transfer Level)の最適化および動作クロックを引き上げたことで、シリコン・プロセスで既存よりも性能的に50%以上向上できるという。
また、独自開発でもある次世代テクスチャ圧縮技術「ASTC」(Adaptive Scalable Texture Compression)に対応し、GPU処理を最適化することでモバイル機器のバッテリー消費量に貢献できるとしている。このASTCは、「OpenGL 4.3」、「OpenGL ES 3.0」での採用が同日発表された。オープン標準に重点を置く業界コンソーシアムKhronosグループに認められたことで、ARMとしては近い将来ASTCがオープン標準化されることを期待している。そうなれば、開発者側はプラットフォームごとにテクスチャ圧縮のコーデックを選ぶ必要がなくなる。
ARMのGPUの特徴として、同社のCPUとGPUの技術が互いに補完し合うように設計されているところが上げられる。 Android系のスマートフォンやタブレットの大半は、ARMベースのプロセッサを実装していることを考えると、これは大きな利点である。サムスンでは、同社製プロセッサExynosにARM Cortex A9を採用したGalaxyモバイルをリリースしているが、次世代モバイル機器には、この新GPUを採用する予定だという。
Android系モバイル上でのリアルタイムの写真編集や、グラフィック豊富なゲームが一層楽しめるだろう。しかし第1世代シリーズを採用した製品も登場していない現状、実際に第2世代シリーズを採用したSoCが完成し、それがモバイル機器に実装されるまでにはかなり時間がかかると予測される。
(山下香欧)